新・伊野孝行のブログ

タグ:益軒さん

2020.10.13

8時だよ! 猥褻の誕生

2号前の「芸術新潮」は「猥褻とは何か」という特集だった。
猥褻のはじまりは明治時代。
猥褻という漢語はもとからあったが、江戸時代には、色情、好色、淫風、淫蕩、淫ら、などの言葉がもっぱら使われていた。
「猥褻」は明治初期に新鮮な響きを持って使われ出した。
単に言葉を言いかえただけでなく、意味する中味も少し変わったようだ。
刑法で取り締まる対象になるから、何が猥褻かを決めなくてはならない。フランスから来たお雇い外国人ボアソナード先生と鶴田皓(あきら)、箕作麟祥(みつくり りんしょう) の3人が決めた。

マンガにも描いたけど、幕末や明治の初頭に日本を訪れた外国人の見聞録などを読むと、道を歩く人々の中に半裸状態の者が多数いて驚いている。
彼らは猥褻な存在なのか。
「猥褻」の導入は、もともと平気で半裸でいた日本人の身体を隠してしまい、かえってヤラシイ範囲は広がった。
芸術新潮で、辛酸なめ子さんは「最近はみんなマスクをしてるから、人間の口がだんだん猥褻なものに思えてくるんじゃないかと心配になります」と面白いことをおっしゃっている。
確かにマスクをずっと外さない人といると脱がしてやりたくなってくるかもしれない。

夏に軽井沢に3週間滞在していた時、ギャラリーの隣のお店の店員さんで毎日のように会う人がいた。挨拶もするし、世間話もする。でも、コロナ禍エチケットして、マスクをつけておられるので、ずっと顔の半分がわからないままだった。どんな顔なのか気になって仕方がない。
個展の会期も終わりに近づいた時、みんなで焼肉を食べに行った。くだんの店員さんもいた。その時はじめて顔全体を拝見した。ご開帳である。踊り子さんが最後の一枚を脱ぎ捨てた身体を凝視するように、見てしまったかもしれない。
店員さんはマスクをしてても、外しても、とても素敵な女性だったのだが、頭の中で想像していた顔とは少し違った。
私の想像の中で作り上げられていた顔は誰だったのだろう。

私のように妙な想像をする者もいるから、初対面でも頃合いを見て、マスクをアゴにかけるなりして顔全体をさらしておくのが良いと思う。私も頃合いを見て、帽子を脱いでハゲてますとインフォメーションしておかないといけない。
それともずっと被りっぱなしの方が、頭部が猥褻に思えてくるだろうか。

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