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伊野孝行のブログ

蒼国来裁判を傍聴してきた

先日、7月19日、東京地方裁判所に生まれてはじめて行ってきた。大相撲の八百長事件で、ずさんな調査のみ、確固たる証拠も何もないまま、一方的にクビを言い渡された内モンゴル出身の力士、蒼国来栄吉関の公判を見るためである。蒼国来関は身の潔白を証明するために、内モンゴル人の平均年収の200年分にも相当する退職金を辞退し、もう一度土俵に上がりたいの一心でうったえているのである。

わたしは、好角家(朝の序の口の取り組みから相撲を観に行くような人でないと好角家とは言えないかな…)を名乗れるほどではないが、相撲は大好きだ。このあいだ坪内祐三さんの「大相撲新世紀」という本を読んで、久々にまた本腰を入れて相撲を観てみたくなった(そのためには地上波しかうつらないTVはなんとかしなくてはいけないが…)。本の中にも「私も蒼国来を支援する」という文章があり、この裁判のことを思い出した。自分や世間はもう忘れているが、まだ蒼国来の闘いは続いているのだ。

以前からおつきあいのある「日本語教育ジャーナル」で最近も仕事をしたのだが、担当編集者のAさんが実は蒼国来の土俵復帰を勝手に応援する「勝手連」のメンバーであり、M編集長も以前蒼国来にインタビューしたことがあり、傍聴も何回か行っているとのことであった。「ごいっしょにどうですか?」と誘われて、今回、傍聴席の人となった次第である。ちなみに「日本語教育ジャーナル」は日本語を学ぶための雑誌であるが相撲部屋が日本語教育に抜群の環境であることは皆さんも周知の通り。蒼国来関もとても日本語が上手い。
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さて、裁判は写真、録音は禁止だがスケッチは自由。わたしも「勝手」にスケッチしてきた。蒼い国から来た力士の名の通りとても綺麗な青色の着物の蒼国来関。これは開廷前の様子。厳粛な裁判の場だが、「おすもうさん」がいると祝祭的な雰囲気を勝手に感じてしまう。やっぱおすもうさんは「まれびと」なのかも。蒼国来関は外国人だけどそんな雰囲気もありつつかっこよい。壁には2つの大型モニターが設置されていた。春日錦(八百長の中心的力士)との取組をくわしく検証するためにビデオが流された。取組のビデオを見つめる裁判官たち。なんだか蒼国来関がきつく問いつめられているようにも見えるが、この人は蒼国来の代理人の弁護士で、質問に蒼国来関が答える形で証言をしているところ。聞いていて最後は胸が熱くなった。こちらは相撲協会の代理人。反対尋問の時に用意していた質問(取組内容について)があまりにトンチンカンで傍聴席からは何度も失笑が起きていた。なぜなら傍聴席にいる人の多くは熱心な相撲ファンなのだ。好角家たちである。好角家たちはクサい(八百長らしき)取組を見抜くほどの見巧者でもある。この日は最終弁論のはずだったが、10月にもう一度やることになった。行く末を見守りたい。

ところで…蒼国来裁判の前に時間があったので他の法廷ものぞいてみた。一件、マヌケな性犯罪者の裁判があったが、内容が、まるであのさすらいの裁判傍聴人、阿曽山大噴火氏のレポートを聞いているようでおかしかったのだが、なんととなりの列には阿曽山大噴火氏ご本人がいたので、おもわずスケッチしてしまった。