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伊野孝行のブログ

谷崎 冬の伊野まつり

絶賛発売中の芸術新潮12月号「谷崎潤一郎の女・食・住(にょしょくじゅう)」は、没後50年、生誕130年を記念した情痴の文豪大特集です。まだ読んでない人は女房(旦那)を質に入れても買いに行こう!
この不敵な微笑み…「大谷崎」と称される小説家の肖像です。丸でかこまれたところに注目していただきたい。〈死にいたる夫婦のエロス「鍵」を絵で楽しむダイジェスト版も掲載!〉とあります。特集のタイトルページの前に、「鍵」の絵物語が6ページに渡って載っています。これは今から5年前、丹下京子さんとHBギャラリーで開催した二人展の絵です。夫の日記を私が、妻の日記を丹下さんが絵にしています(誌面にあわせてすこし場面は絞られています)。この展覧会は今をときめく大スターイラストレーター丹下さんの出世の糸口であります。後世のために言っておきますが、「鍵」を思いついたのは私です。そして丹下さんの絵が良すぎたので、私は引き立て役にまわってしまいました。はからずも奉仕してしまった形になったこの展覧会、男が女に奉仕するという形は、実は谷崎文学の本質に合致しているわけです。谷崎家夕餉之掟
一.六時半開始 遅刻厳禁
一.全員必ずよそゆきに着替え、化粧もバッチリ
一.御馳走は食べきれぬほど並べよ

谷崎家の夕餉にはこのような掟があったのです。見開きの絵で再現してみました。料理を描くのが面倒くさかったです。谷崎先生の食いしん坊エピソードは「台所太平記」で挿絵を担当していた横山泰三のパロディで。「谷崎潤一郎先生の柿の葉鮨談義」は和田誠さんのパロディで。特集以外でも、毎度おなじみ、アートテラーのとに〜氏との展評連載「ちくちく美術部」も描いてます。今回はふたつの黄金展をみくらべてちくちくしています。これは伊賀美和子さんによる谷崎ヒロイン10選の作品。いいですね。谷崎のナンセンスな面とマッチしてます。芸術新潮ではこれまでも、夏目漱石、川端康成、小林秀雄、三島由紀夫と文豪特集はありましたが、今回の谷崎潤一郎は「美術」という切り口ではないので、今までの文豪特集とはひと味ちがってます。編集部の工夫が見て取れるおもしろい誌面になっています。