伊野孝行のブログ

近況報告

最近は、5月にある個展のために絵を描きためています。2010年に開いた「画家の肖像」という個展の絵を本にしてくれるという奇特な人が現れ、それがようやく今年2012年5月に発売されます。5月の個展は本の発売記念展でもあります。
展示の方は「画家の肖像パート2」といった内容になりますが、全て新作で臨みたいと思っています。
こんな時代に画集を出してもらうなんて、ありがたいことでとてもうれしい。それも僕のようなブレイクしていない人間に声をかけるということは、賭けでもあるのでなんとか期待に答えなければいけません。
本のタイトルはそのまま「画家の肖像」です。50人ほどの画家たちの肖像画をおさめます。原稿の〆切りまでにはまだ少しありますので、本に追加する絵も制作中です。昨日は「小林清親」を描いてみましたが、失敗。失敗がつづくと焦ります。
本には文章も入れますが、稿を重ねるごとにどんどんマジになってしまい、ユーモアほぼゼロの大マジ文章になってしまいました。絵にはどれも冗談が入ってますが、文章は大真面目。このとりあわせもいいかなと思いまして…。
文章というのは自分にはむつかしい。そして不思議なものです。頭の中にある「考え」を文章にしてみると曖昧で隙だらけ。文章にしてはじめてちゃんと考えることができた、という感じです。おもしろいのは、文章自体の流れによってそれまで考えもしなかったことがフト浮かび、答えがみつかるようなことがある。頭の中で考えていてもこういうことはあまり起こらない。
どんなことを書いているかというと、僕はイラストレーターですが伝統芸の芸人のように、先人の芸を見て我が芸を考えてみる、という内容です。絵と絵は国や時代が違ってもつながっている部分があるので、自分の抱える問題の答えが巨匠の絵の中に見つけられたりします。また逆にナゾを与えられることもある。巨匠も我々も創作していく中で、みんな何か問題を抱えているはず。共通するものもあると思います。
僕はこういうことを問題に思っている、というのを文章にし、その実験として絵を描きました。それが一冊になったのが「画家の肖像」です。
個展は5月8日からタンバリンギャラリーで。本はハモニカブックスから発売されます。ハモニカブックスの吉田宏子さんが冒頭の奇特な人です。本作りはこれからが本番です。(本と展覧会は少し先の話ですが、今週はブログのネタがなく、近況報告をお送りいたしました。)
ハモニカブックスのサイト
タンバリンギャラリーのサイト