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伊野孝行のブログ

あんな鍵こんな鍵

伊野孝行・丹下京子二人展「鍵」宣伝特集、第三弾。今週もやりますよ〜。なぜって見に来て欲しいからでーす!

谷崎潤一郎は、妻の千代に自分の弟子の美青年を近づけ、不倫をけしかけ、それを同時進行で小説「蓼食ふ虫」として新聞に連載したおそろしい人です。「鍵」では登場人物の背景などほとんど語られておらず、夫の職業も大学教授とあるだけで何の教授かさっぱりわかりません。不要な説明はばっさり切られています。抽象絵画を観ているようです。観念的エロの世界でここまでひきつけるのは、やはり天才の筆に体験が加わっているからでしょう。ちなみに「鍵」を書いた時は七十歳。

「鍵」の連載時は棟方志功が挿絵を描いてます。古本で見つけた本には収録されてました。とてもいいです。いつものように仏教画っぽいですが。(毎度おなじみ、このブログのソフトのせいで画像がぼやけてみえますがクリックすると綺麗にみえますので、どうぞよろしく)

映画は有名な市川崑監督作品の他、日本で3本、海外で1本、映画化されてます。ロマンポルノの神代辰巳版「鍵」を観た丹下さんによると「爆笑」とのことでした。どういう意味なのか僕もこの眼で確かめなければなりません。市川崑版「鍵」は脚本に奥さんの和田夏十さんが加わっていて、鍵と日記、というキーワードを映画とは全く違った使い方にしています。絶対重要なこの二つを外して使いながら、原作を濃厚に再現しているのはお見事!と万歳するしかありませんでした。キャストは、中村鴈治郎、京マチ子、仲代達矢、叶順子とびったしあってます。山茶花究も顔を出します。さらに撮影は宮川一夫だし、音楽は芥川也寸志だし、とにかくこの映画は参考になるのですが、打ちのめされました。京マチ子は45歳の役だけどこのとき34歳。貫禄ある。宮川一夫映すところの京マチ子の肌の素晴らしいことよ。

一番最近に映画化されたのは、川島なお美と柄本明が主演です。篠山紀信が撮った川島なお美の「鍵」という写真集もあるらしい。海外版の「鍵」の画像はネットで見つけました。なにやら別物になっていそうでおかしい。展覧会が終わったら全てを見比べて、我々の「鍵」が何番にランクインするかやってみたいと思います。

現在、小説は新潮文庫で表紙は、森英二郎さんが描かれて(彫って刷って)います。森さんはご近所でもあるので、時々お茶をごいっしょしたりしています。このあいだは「宮の坂」の駅近くの、そこはかとなく西海岸を思わせる喫茶店でだべりました。

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二人展「鍵」は8/27から9/1まで。