伊野孝行のブログ

『腹ペコ騒動記』

岡崎大五さんの新刊『腹ペコ騒動記』発売中です!カバー、中の挿絵などふんだんに絵を描いております。「小説現代」で連載している時から、このブログでも時々紹介していましたが、一冊にまとまると、やったぁ!って感じがしますね。私としても気合を入れてやった仕事です。ブックデザインは日下潤一さん赤波江春奈さんです。

文章を読み、写真資料を見て、地図を描いているうちに、それぞれの国に親近感が湧いてくるのですが、親近感がわく一番の元は、岡崎さんのアングルです。

岡崎さんが見ている景色や人や料理がいいんですよ。たとえば、岡崎さんが嫌な目にあっている場面でも、読んでて楽しい。災難に読者は巻き込まないのです。巻き込んで読ませる方法もあるでしょうが、そうするとこの本の気持ちよさはなくなるかもしれません。
自分もたま〜に文章の仕事をしますが、この辺のさじ加減が難しい。
岡崎さんは旅の達人であり文章の達人だなぁ、と思います。旅の作家なんだから、当たり前なんですけどね。
天はこの二物をなかなか授けてくれません。
なぜ断言できるかというと、毎回作画のために、岡崎さんの訪れた国をネットで調べるのですが、必ず誰かが旅行していて、ブログに書いているのです。(家にいながら資料が探せるまことに便利な時代です。画像検索を駆使しして、あたかも見てきたかのような情景を作るのが私の仕事なのでした。)でも、面白い旅行記はそうそうないね。
映画や小説の中で、食事のシーンがうまく使われていると、ドラマ自体の味も良くなるもんですけど、『腹ペコ騒動記』にはそんなシーンが、毎回それぞれの国ごとにあるんですから。
食べることで、世界の国の人間はわかりあえる気がする……大げさだけど、そんな風に思ってずっと読んでました。
だから、カバーは連載で出てきた人や食事をみんな並べてみたのです。なんてピースフルな絵なんだ……自分で描いててそう思っちゃいました。
さて、11月7日に代官山蔦屋書店で岡崎さんのトークショーが開催されます!
一足先に書店に偵察に行かれた岡崎さんよりディスプレイの写真も届きました。私の絵も何点か飾られています。
↓くわしくは岡崎さんのブログでお確かめください!