伊野孝行のブログ

新宿はじっこ巡り

さっきから「散歩の達人」3月号を探しているのだが、見当たらない…おかしい。「新宿は、はじっこがおもしろい」という特集でなかなか読みごたえがあったのだが、いざ、紹介しようと思ったら、どこへいってしまったか。片付ける才能より散らかす才能の方が上まわっているのでよくあることだが、そのうち出てくるだろう。わたしは特集のなかで、ライターの中野純さんと「新宿おんな地獄ツアー」というのをやった。江戸時代、新宿は江戸のはて、というか宿場町だったわけです。江戸時代の内藤新宿には飯盛り女がたくさんいて、飯盛り女が慕う奪衣婆(だつえば)がまつられ、水の匂いがする町だった。その痕跡をおいもとめて、新宿のはじっこを中野さんと編集長と私でうろついてきたわけなのであった。天龍寺のおっぱい観音

一日がかりでめぐった場所は約20カ所。天竜寺に待ち合わせて取材スタート。ここの観音様はおっぱいがあるのだ。そのあと旧旭町(天龍寺裏の黒線の名残)→緑苑街(白線の名残)→太宗寺(閻魔、奪衣婆、江戸六地蔵、三日月不動等)→百合の小道(番衆町川跡)→成覚寺(飯盛女の投込寺)→正受院(綿のおばば)→仲通り(赤線の名残)→新宿御苑(玉川上水跡)→多武峯内藤神社(神馬殿の白馬)→鎌倉街道(蟹川跡)→西向天神社(富士塚)→大聖院(紅皿の墓)→抜弁天(江戸六弁天、犬小屋跡)→箱根山(戸山2丁目)→稲荷鬼王神社(崩れ富士塚、鬼の水鉢)→円照寺(寄せ乳奪衣婆)→成子天神社(富士塚)→熊野神社(十二社大滝跡)→十二社(池跡の窪み、花街跡)とまわる。いやー、長年、新宿はよく使う街ではあるけど、今回まわるところはほとんど行ったことがない。たとえ通ったとしても、時空をこえて過去と対話することなど思いもよらない。でも、案内人の中野純さんについてまわると、新宿がまるで違う街のように思えてきてすんごく楽しかった。わたしのブログでは同行したときに撮った写真(特集内容とはほとんど関係ないものばかり)とカットしか載せないので是非「散歩の達人」で読んでもらいたい。いきなり特集とはなんの関係もないが、あるお宅の玄関ドアがヘンだったのでおもわずシャッターをきった。またまた特集とは無関係だがイチゴちゃんたち。これは特集と関係ある写真だ。こののっぺらぼうのお地蔵さんはどこにあるでしょう?知りたい人は本屋さんに走ろう。左が中野さん、右が編集長。いよいよ我々はレズビアン地帯に入る。レズビアンの街角になぜか「男」の看板が。一文字の看板は他にもまだあった。そうそう、新宿御苑では狸にも遭遇したっけ。太田道灌の山吹の花のエピソードも、場所は新宿である。またまた関係ないけど、らくがきがちょっと判子っぽかったので。さぼてんです。抜弁天の近くには、かつて綱吉将軍のときのお犬小屋があったのだ。このお犬様はそれをあらわしておる。新宿の西、熊野神社の下にはかつて大きな池があったんだって。知ってた?そのまわりは花街として栄えたが、いまは埋め立てられている。でも窪んだ地形はそのままだし、かつて池の縁だったとおもわれる奇妙な小道も発見。なぜかそこはゴミ捨て場みたいになっててちょっと不気味だった。詳しくは中野純さんの渾身のルポを読んでもらいたい。

しかし、ふだん家でばかり仕事しているので、たまにこういう取材についていくと、たのしいもんだなぁ。