伊野孝行のブログ

茂田井武の怖い絵

茂田井武は僕にとって最高の画家の一人である。茂田井武のことは、気の利いたイラストレーターならもちろん知ってると思う。え?ご存知ない?今からでも遅くない。吉祥寺のトムズボックスには茂田井武の本が充実してるから、買いに行こう!ついでに僕の「ゴッホ」も置いてあるから買ってね♡

それはさておき、なんでこんなに可愛い絵が描けるんだろう、と何度もため息をつかせる茂田井武が、怖い絵も描いていたという話である。まずは絵を見てもらおう。クリックするとでかくなります。

これは僕の持っている「名作挿絵全集」の第8巻「昭和戦前・推理怪奇小説篇」に載っているものだが、最初見た時は、こんなのも描いてたんだと驚いた。そして絵がめちゃくちゃイイ!この後、茂田井武は童画に本格的に取り組みだす。その天才は時代を超えて我々を魅了してやまないが、「かわいい」の奥にはこんな「こわい」があったのだ。しっとりとした絵の肌合いがこちらの心も潤してくれる。茂田井武の絵は何度見ても、その度にヤラれたな〜と思う。こんな風に描けないなと、絶望しながらも絵が描きたくなる。だから茂田井武は最高だ!

なのに去年「ちひろ美術館」でやっていた展覧会を見逃した!馬鹿だ!