伊野孝行のブログ

怪談を書く怪談

KADOKAWAのメディアファクトリーから発売中の、加門七海さんの新刊「怪談を書く怪談」のカバーと扉絵を担当しました。加門さんといえば、怪談の名手。この本は小説ではなく怪談エッセーなのだが、このジャンルを「怪談実話」と呼ぶ。タイトルは、怪談を書くことがまた怪を招く、という加門さんの経験によるものです。「加門さんらしき作家が文机で原稿を書いているところはどうでしょう?」「加門さんは実際に着物をたくさんお持ちなので、着物を来ているところは?」「愛煙家で猫をかっているので、絵の中にいれてみるのは?」「竹久夢二くらいのレトロな雰囲気がいいんじゃないでしょうか?」…次々に私はアイデアを出した…のではなく、編集の岸本亜紀さんとデザインの横須賀拓さんが次々にアイデアを出してくれたのであった。ぜんぜん構想をまとめないまま打ち合わせにのぞんだので、助かった。わたしの考えたことは「煙草の煙がガイコツになっている」くらいです。打ち合わせは横須賀さんの事務所で行われたのだが、「こどもの城」にほど近い、居心地のよいところで、打ち合わせ自体も雰囲気良くとてもいい感じであった。ときどき、最初の打ち合わせで「な〜んか、ヤダなぁ〜ヤダナぁ〜」「な〜んか、おかしいなぁ〜、おかしいなぁ〜」と稲川淳二のように肌で感じる時がある。そういう場合はあとあとトラブルが起こることが多いのである。べつにこれは怪のしわざではないけどね。上は表4の絵。下は扉に使ったカットを集めてみた。というわけで真冬の怪談話はいかがでしょう?