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伊野孝行のブログ

NewYork日記 その1

10月18日(火)晴天。 まさか自分がニューヨークに行くとは思っていなかったが、いざ行くとなると俄然興味もわいて来る。わざわざ絵を見に行く旅であるが、聞くところによると美術館はほとんどが公立ではないという。なぜだ?…そんなことも気になるが、やはりニューヨーク自体がどんなところか知りたい。期待が僕を眠らせてくれないのか、旅慣れてないのか、結局全く寝ないでケネディ空港に着く。(写真•NY第一食。テーブルが面白い店「The Prime Burger」)

ニューヨーカーはとにかくみんなデカイ、デカイ。肥満が普通の国だ。ガリガリに痩せている人とすれ違うとなんだかホッとする。肥満は当然社会問題になっているが、子供の肥満予防の教育係の先生がすでにデブだったり、ダイエット給食を開発している会社の社長がこれまたデブだったり…という、これは実話だそうな。人にあわせて全てが大きめでゴミ収集車の巨大さには驚いた。

さてまずはグッゲンハイム美術館へ。なんといってもあの有名なカタツムリみたいな螺旋のスロープを降りながらの名画鑑賞を楽しみにしていた。…しかし!ちょうどニコラロペスという人の特別展示をやっていて、この展示のために吹き抜けの上から下まで隙間なく厚い和紙のようなものでピッタリ塞がれていて、建物の内部を全く見ることができない。ただ通路の中を進むだけであった。本番での驚きを損なわねないように極力写真などで見るのは我慢してきたというのに、なんと間の悪いことだろう。いや、このインスタレーション自体、この建物ならではの展示でなかなかおもしろかったのではあるが…。(だいたいの記憶にもとづく展示の様子。青い部分がインスタレーションである。青いカーテンの中身はまったくうかがい知ることが出来ない。)

他にカンディンスキーの部屋があった(素晴らしい!)。常設コレクションもこじんまり出ていたがゴッホは2点のみだった。1点は小さい油絵で見た記憶のないものだったので、眼に焼き付けておく。セザンヌがふんだんにあった。セザンヌは、絵の中に写実ではない方法で自然を再現しようとした人だ。自然とは調和のことで、デッザンの正確さよりも全体の調和を優先させた。いや、むしろそのためにデッサンは狂わなければならなかったのである。それこそが絵画だ…などと考えこの日はこれで満足した。(写真•晩ご飯メキシコ料理店「Toloache」イナゴのタコス)
ホテルに戻って眠る準備を万端にして床に着く。かれこれ30時間くらい起きてるからさすがに眠い。…ところがなぜか眠れない…。お風呂に浸かってもう一度床に着く。…眠れない…。睡眠導入剤はぜんぜん効かず。結局朝までには、記憶のない時間をつないで計算すると2時間くらいはトロトロしただろうか。夜中に大便を5回、小便を10回以上行った。下痢ではない。一体僕の体はどうなっているんだ。

10月19日(水)雨。 今日はMOMAだ。ホテルから歩いて行ける距離。開館前に行ったけどすでに長蛇の列!びっくり。入館料はKさんがMOMAの会員だったので他のメンバー5人も割引にしてもらえる。たったの5ドルで済んだ。ラッキー。しかもだよ、会員特典として列に並ばなくてもいいということで、どんどん中に入って行けた。上の階から順に見る。一番上の6階は「デクーニング」の特別展。デクーニングといえば半抽象のような女性像が有名だけど、それ以外にも大量の抽象作品や初期のいいデッサンなどが色々見れた。かなりのボリュームで満足。ここは写真がNGだったので画像はない。

デクーニングはこんな絵を描く人です(クリック!)
感動の記憶というものはすぐに忘れるものだ。あの体験はまだ自分のどこかに残っていてくれるだろうか?下の階はMOMAのコレクション。傑作がゴロゴロ。これだけでもわざわざ来てよかったなと思う。人はいっぱいなのだが展示は楽に見れてストレスがない。それだけMOMAがデッカイということか?それに日本の美術館とちがってとても楽しい空気が流れている。去年、ロンドンの「テートモダン」に行った時もそう感じた。この違いはなんだろう?まわりが外人ばかりだから?日本だと他の観客がだいたいどんな人でどんな反応してるかもわかっちゃうからかな?写真がOKなのもあるかもしれない。気に入った作品と記念撮影していると、堅苦しい雰囲気はどこかへ飛んで行ってしまう。マチスの「ダンス」はどこかに貸し出し中でした。またしても間が悪い!「アヴィニヨンの娘たち」ってこんなデカかったのか!実際思ってたよりも大きかった小さかった、という驚きも本物を見る喜びのひとつだ。印刷物にもサイズが記されてるけどほとんど気にしないから。勝手に想像のサイズで見ている。それが裏切られたおもしろさ。マチスのこれもでかいなぁ。こういうのを見てるとでかい絵も描きたくなってくる。これはジャコメッティだったと思うけど、こういう意外な作品見れるのもいい。多くの画家はそれと知られた作風以外にも色々実験をしているものだ。
昼食後、また観る。しかし、もう疲れ果てて特別展のほうはほとんどパスした。大きなソファは人でいっぱいだ。誰かどかないかそればかり狙っている。やっとあいて座る。もう、ヘトヘト。昼のワインも効いてるし。夕方ホテルに戻る。30分だけストンと眠りに落ちた。

夜は川向こうのブルックリンへ食べに行く。「ピータールーガー」という十何年も連続でナンバーワンに輝く老舗のステーキハウス。運良く予約が取れた。タクシーがなかなかつかまらず15分遅れて店に入ったが、そこからまた30分ほど待たせられる。どういうシステムなんだ?しかし活気がすごい店だ。期待が高まる。デクーニングやその他の絵の感動の多くは今、忘れてしまったが、味は結構覚えたりするんだな…。非常〜においしかった!一人77ドルなり。(老舗ステーキハウス「peter luger」)

さて、今日こそ眠れるはずだし、寝なきゃヤバい。もうかれこれ何時間起きているのか計算もできない。平たいお風呂に無理矢理体を浸けてあたたまる。ボーッとしたところで睡眠導入剤を飲んでベッドに潜り込んだ。おやすみー!………あれ?ね、ね、眠れない!!!!!(続く)