伊野孝行のブログ

最近のさし絵

今週は最近描いた挿絵から。「小説新潮」で連載中の木内昇さん「球道恋々」5回〜7回の挿絵。木内さんの「球道恋々」は明治時代の高校野球の話。つけペン(Gペン)で描いてます。筆記用具の歴史でいっても明治時代にペンも使われだしたわけなので、挿絵もペンで描いてみました。つづいては「野性時代」で連載中の赤川次郎さん「鼠」シリーズ。鼠小僧を主人公にした小説ですが、赤川さんだから、どこかかわいらしさがあります。あんまり渋くならないように、明るい挿絵をこころがけております。3つ目は「オール読物」の読み切り短編小説。平岡陽明さん「床屋とプロゴルファー」。筆のタッチをつけて描くのは時代物には合うのですが、現代ものにはどうも合わない。しかも「床屋とプロゴルファー」というタイトルがすっとぼけた組み合わせなので、絵でもそれをあらわしたい。というわけでサインペンで描きました。最後は「小説現代」の読み切り短編小説、夢枕獏さんの「手鬼眼童」。江戸の長屋にすむ妖術使いの先生のお話。先生は40代なのに白髪頭でなぜか中国の道人のような格好をしている。つまり、奇妙な中国古典のお話の雰囲気が、この小説にはあります。不定期に発表されるらしいですが、すでに私はこのシリーズのファンです。夢枕獏さんの手書きの原稿を読むのもうれしいです。