伊野孝行のブログ

NewYork日記 その4

NY日記その1NY日記その2NY日記その3

さて4週にわたって書いて来たNewYorkレポートも今回でやっと最終回。

10月22日(晴れ)今日はいつものように朝から美術館には行かない。蚤の市に出かける。蚤の市にもホームページがある。「Hell’s Kitchen Flea Market」

僕はもともと物欲が少なく、いろんなものがゴチャゴチャ置いてある蚤の市とかでモノを買うのが苦手だ。ちょっとおもしろいなー、とは思っても欲しいかな?と自問自答するとたいがい「いらないな…」という答えがかえって来る。日本でも世田谷の「ぼろ市」など何度も出かけたことがあるが、結局何も買わない。でも雰囲気が好きだ。NYの蚤の市も同じような気安さがあった。そして売っている人の人相がみな良かった。英語の発音が聞き取りやすい。古いものが好きな人はいい人なのか?でもどこかでぼったくられるのではないかという気持ちも拭えない。特に何も買う気はなかったが、アフリカの木彫りの人形を一体買った。象牙海岸の産だそうだ。45ドルを25ドルに値引きしてもらう。まわりの友だちが掛け合ってくれて、僕は何もしていないが安く買えた。人の良さそうな黒人青年が売っていた。コートジボアールのビジネスマン。この人形、他にも種類があったが。これがきわめて形も色も良く、いくら見ていても飽きがこない。お腹の出っ張り具合。腕のライン、顔の造作、み、み、み、見飽きないヤツだな〜。見飽きないということは、見る度に何かしら発見があるということだ。こんな木彫り人形からも教えられることは多い。

さて、お昼は「Corner Bistro」という老舗ハンバーガー屋に行く。
角にあるから「コーナービストロ」という名前だね。やはり一度は本場のハンバーガーを食わないと!「コーナービストロ」のサイト
今日はやっとこれから美術鑑賞。とあるギャラリーでやってたアレクサンダー・カルダーを見に行く。
「The Pace Garelly」
たくさんモビールを見ることができた。美術館でなくてギャラリーだから雰囲気も違う。つい身近に感じて「フーッ」と息をモビールにかけてしまった。そうするとユラユラ、動き出す。触っちゃダメでもコレはいいかな?”ものの本”によると、この「モビール」というのはカルダーが新しい彫刻を模索する中で誕生し、それを見たデュシャンが「モビール」という名前を付けたそうだ。みんな小学生のときに作った人も多いだろうけど、意外なところでカルダーだけでなくデュシャンの恩恵まで受けてるとは…。それから我々は「ホイットニー美術館」へとハシゴした。ここはマルセル・ブロイヤーの設計で、美術館自体に見惚れるところが多かった。パッと見奇抜なグッゲンハイムに負けていない。照明から階段の細部に至るまで唸らせる。グッゲンハイムとホイットニー、どっちかもらえるんだったらホイットニーかな。近々ここはメトロポリタンの一部(別館?)になるそうだ。ホッパーの作品も良かった。デイヴィッド・スミスという人の鉄の彫刻の展示がワンフロア全部でやっていて、これがまたまた良かった。カルダーもそうだけど、まとめて見るというのはいいっすね。デイヴィッド・スミスさん戦争中は溶接工の仕事をしていたそうだ。
「ホイットニー美術館」
そうそう、ホイットニーの前に露天商が出ていて、そこはアフリカの民芸を売っていた。そういえばこの手の店はグッゲンハイムの前にもいたぞ。観光客相手の商売だ。アフリカのお面やらを見ていると、なんとそこに昼間買ったコートジボアールの人形達もあるではないか。しかも下のダンボールにはゴロゴロ入ってる。でも僕の買ったのと同じのはいない。この人形はビジネスマンだけではなくいろんな職業の人形がある。やはり僕の買ったのが一番いい。くやしまぎれではなく、これはマジだ。しかし、ザラにあるものなんだな。一応値段を聞くと40ドルだと言った。あれ、蚤の市より5ドル安いぞ。まあ、25ドルで買ったのはけっこういい線まで下げたかな?どこかで元締めがいるな、この商売。
さあ、今日はNYも最後の夜。最後の晩餐はホテルの近所のイタリアン。美味しいけど量が半端なく多い。しかし、Kさんの注文の仕方がうまくて、腹十分目でピッタリとおさまる。この量で、コースでいうなら2人分くらい。それを6人で食べてもお腹いっぱい。デザートはきっちりひとり一個食べたけど。少し高級なお店だとやはり白人の人が多い。お店によって客層が違うのはどこの国でもそうだが、それが人種となって現れるのは、シビアだ。ちなみに美術館の監視員はほぼ黒人の人。

10月23日(曇り)今日の昼前にはもう出立する。今日は最後の朝食。ホテルには朝食はついていない。近所の「オリンピック」という店に行く。ここは2度目に行くと「アミーゴ!」と呼んでくれる。働いている人達はメキシコ系の人で、太った女将さんをはじめみんな親しげな雰囲気濃厚。旅行も終わり頃になると、僕も気が大きくなって、コミュニケーションしてみようという気になった。(基本的に僕は、話しかけられても、言葉がわからないのでニヤニヤしているだけの典型的日本人なのだが…)というわけで最後はこのツーショットで決めてみました。
近くに行ったら寄ってあげよう。2回行けば常連とみなされる。「オリンピック」はこんな店