伊野孝行のブログ

巫女蕎麦古寺雲水大統領

まずは、似たようなタッチの仕事を二つ。一つ目は双葉文庫、早見俊さんの「千代ノ介御免蒙る 巫女の蕎麦」番付侍シリーズの3冊目。デザインは長田年伸さん。img_2183%e5%b7%ab%e5%a5%b3%e3%81%ae%e8%95%8e%e9%ba%a6%e3%82%ab%e3%83%90%e3%83%bc二つ目は角川文庫、井沢元彦さん「はじめての古寺歩き」。デザインは須田杏菜さん。img_2185最近、アニメ「オトナの一休さん」の絵を描いているから、前から気になっていた禅に興味が向いている。

日本美術を見ていると、例えば、若冲、蕭白、蕪村らの時代の絵も、禅の影響があるとか、禅の高僧の誰々と友達だったとか、色々ある。当時、禅はどんな存在だった?カルチャーか?あれ、蕪村って浄土宗の僧侶だったよな、とかおぼろげな自分の知識が余計にややこしくする。

この「はじめての古寺歩き」の中にも禅のお寺への影響が書いてある。

〈そもそも禅というのは、中国で起こり、日本に伝わったものなのですが、中国では禅のよき伝統が残りませんでした。韓国でも残りませんでした。いちばんよく残ったのが日本なのです。〉

〈禅宗では座禅という修行をすることが大切であって、仏像を熱心に拝むということは考えにはありません。(中略)そうしますと、仏像はそんなに重要ではないが、建築は逆に重要になってくるわけです。建築はあくまで修行の器としてですが、大切なものになってきます。〉

〈禅宗の世界観では、天地というものが一つの象徴であり、その天地の原理を知ることを重要視しました。そのため、それを身につけるために、さまざまな庭園が造られるようになりました。

いちばん有名なのが龍安寺の石庭です。〉

なるほど、枯山水ってそのために作られたのね。そういうのも昔どこかで読んだかもしれないが、その時は疑問にも何にも思っていなかったので、頭の中を素通りだった。今はいちいち疑問に思うので、ジグソーパズルのピースが埋まるような感覚です。 img_2186佐藤義英  画・文「雲水日記」。禅文化研究所発行。佐藤さんは大正10年生まれで、京都東福寺で修行した後、三重県上野市の法泉寺に住職し、病を得て昭和42年、47歳で世を去った、と略歴にある。

この本は「オトナの一休さん」の藤原ディレクターにいただいた。白隠や一休の研究で知られる芳澤勝弘先生が「オトナの一休さん」の絵を見て「この人は、雲水日記を見てるはずだ」とおっしゃったそうで、それで探して私にくれたのだった。img_2189img_2190 img_2192 img_2194 img_2193  img_2196自分の修行体験をもとに描かれた雲水の日常。これはほんの一部である。禅の修行をしながら、どこで絵の修行をしたのだろう。うまい!もちろん私はこの本は見たことがなかったが、花輪和一さんの「刑務所の中」ではないが、体験していないと描けない絵だ。

ところで、岩波文庫、中村元訳「ブッダのことば」を拾い読みしていたら、こんな一節があった。

〈笑い、だじゃれ、悲泣、嫌悪、いつわり、詐欺、貪欲、高慢、激昂、粗暴なことば、汚濁、耽溺をすてて、驕りを除去し、しっかりとした態度で行え。〉

なんとブッダはだじゃれを戒めておられた!しつこいだじゃれを言うおじさんには、このブッダのことばを教えてあげよう。

ちなみにこの「ブッダのことば」は数多い仏教書の中で最も古い聖典と言われる「スッタニパータ」を訳したものだ。

%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%ef%bc%91 %e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%ef%bc%92 %e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%ef%bc%93だじゃれの好きな業の深いブックデザイナー、日下潤一さんに「ブログでトランプのことを書きたいから、トランプの絵を描いて」と頼まれたので描いた絵。「日曜までに欲しい」と頼まれた。こういうのは鮮度が命。あんまり似てなくてもいいや、サッと描いてサッと出そう。

ところが、日下さん、忙しいとか言ってブログを更新しない。なのでこっちで絵だけお先に。

一休さんの頂相とキャラ

「頂相(ちんそう)」とは禅僧の肖像画のことだ、というのを知ったのは実は最近。そう「オトナの一休さん」の絵を頼まれてから。一休宗純の頂相は22点も現存し、これほど多く描かれた禅僧は珍しいようだ。%e4%b8%80%e4%bc%91%e8%82%96%e5%83%8f%ef%bc%91%e4%b8%80%e4%bc%91%e8%82%96%e5%83%8f%ef%bc%92

左上の木彫は、一休の晩年に作られたもので、頭とあごに空いた穴には、一休の毛髪が実際に植え付けられていたみたい。ほかの3点も、飄逸で皮肉な一休の人柄が出ていて、これらの表情をアニメのキャラの参考にした。でも、この3点は角度が全く同じなので、どれかを元に写したのかもしれない。

一休の頂相の中には「え?これが一休さん?」と思うような顔もあるが、そんな顔をしていたとは信じたくない。%e4%b8%80%e4%bc%91%e9%a0%82%e7%9b%b8坂口尚さんの『あっかんべェ一休』(一休宗純の生涯と時代を重層的に描いた優れた漫画)の一休さんの顔は主人公補正されて、かなりカッコイイ。そしてライバルの兄弟子、養叟宗頥(ようそう・そうい)の人相がめっちゃ悪い。物語を作っていく上で一休の対抗軸として欠かせない人物が養叟なわけだが、今に至る「大徳寺」の発展は養叟なくしてはありえない、というお方でもあるらしい。%e3%83%a8%e3%82%a6%e3%82%bd%e3%82%a6%e8%82%96%e5%83%8fこれが養叟宗頥の頂相だ。そしてアニメのキャラにするとこうなった。%e3%83%a8%e3%82%a6%e3%82%bd%e3%82%a6%e9%a0%82%e7%9b%b8

「オトナの一休さん」でも養叟は毎度やり込められているのだが、制作スタッフの間では時々「養叟萌え」の声を聞く。もちろん、ふじきみつ彦さんの脚本と、養叟の声を担当されている尾美としのりさんの演技が加わってのことだが。
視聴者の皆様にも是非「養叟萌え」していただきたく日々制作に励んでおります。
そして「一休さん」と言えば蜷川新右衛門さん。本当は一休さんより年下だった。蜷川新右衛門の肖像画はないので、アゴが割れていたかどうかは定かではない。でも青っぽい着物とくっきりとした眉は往年のアニメの蜷川新右衛門さんぽくしておきました。%e6%96%b0%e5%8f%b3%e8%a1%9b%e9%96%80%e3%81%95%e3%82%93%e8%82%96%e5%83%8f
%ef%bc%99%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%91%ef%bc%97この3人は一休の弟子たち。頭が青剃りでカワイイ。%ef%bc%95%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%91%ef%bc%92こちらは養叟の弟子たち。頭がツルツルで、あんまりカワイクない。私の勝手な味付けです。%e5%9c%b0%e7%8d%84%e5%a4%aa%e5%a4%ab%e8%82%96%e5%83%8f地獄太夫。地獄太夫は一休の彼女の設定。声を担当している大堀恵さんにちょっと似てますかね?
%e8%87%a8%e6%b8%88私も頂相を描いてみました(僧侶でもない私が描いたものはただの似顔絵かな?)。臨済宗の開祖、臨済義玄がトイレットペーパーを持っている肖像。一休さんのセリフにこうある。「我々臨済宗の祖、臨済はこう言った、人がありがたがる経などトイレットペーパーと同じだと。そして臨済は、自らの経で何のためらいもなくケツを拭いた」
この絵は、曾我蛇足が描いたと伝えられている頂相を元にしている。ちなみに曾我蛇足は室町時代の絵師で(江戸時代には曾我蕭白が「ワシは曾我蛇足十世だ!」と勝手に言い出した)一休さんのお弟子でもあり、一休は曾我蛇足の絵の弟子だったと言われている。
%ef%bc%95%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%91%ef%bc%94 大燈国師の肖像。一休さんのセリフに「大燈国師は権力や高貴な暮らしから離れ、五条大橋の下の河原で暮らす貧しい者たちに交じり、人間地獄の暮らしをしていたのだ…。しかも、二十年」とある。この絵は白隠が描いた大燈国師の絵の写しです。
そんなわけで、毎週水曜夜10時45分から絶賛放映中!
(11月13日午前1時40分から、四、五、六則の3話を連続で放送するみたいです)
一休さんも600年後に、まさか自分がこんなアニメになっているとは思わないでしょうね。

妖怪はしわたし

10月22日(土)
今年も妖怪になる日がやってきた。
午後三時に日本橋、山本海苔店に集合。今年もご好意で変身用の部屋を貸してもらえる。普段からしょっちゅう会っている友達もいれば、「一年ぶりのご無沙汰ですね」と、妖怪になる、その一点だけで繋がっている人間関係もある。もはや”妖怪関係”と言い換えてもいいかもしれない。
女子更衣室から「わ〜っ!」「すご〜い!」「可愛い〜!」とテンションの高い声が男子更衣室に漏れ聞こえてくる。
男子更衣室でもお披露目の盛り上がりはあったが、なにせ男子は三名、うちおじいさんが二名ということもあって、ご覧のように縁側的雰囲気になっていた。%e7%b8%81%e5%81%b4ま、それはいいとして、せーので、変身!!%e9%9b%86%e5%90%88%e5%86%99%e7%9c%9f%e3%81%a0%e3%82%88撮影:神藏美子さん(そうなのです、豪華なことにこの日撮影してくれたのは、あの神藏美子さんなのでした。以下日本橋界隈のカッコイイ写真の多くは神藏さん撮影。我々の撮った写真、見に来てくれたお友達の写真もちょこっと混じっています。※この記事の最後に、神藏さんが撮ってくれた動画もありますのでリアルな我々の様子もご覧ください。とっても物静かなんですよ、ボクたちって。)
変身したところでぶらりと日本橋を散歩。普段の地味な人生が一変!一躍街の人気者になって実にいい気分。%e7%88%aa%e3%81%8b%e3%82%86%e3%81%84%ef%bc%92「ちょっとまって、その前にわたし爪が痒くなってきちゃった。この棒で研ごうかしら」と妖怪猫おんな。%e3%81%84%e3%81%96%e6%97%a5%e6%9c%ac%e6%a9%8b1「ツルツルしてて爪がひっかからなかったから、やめちゃった。さ、みんな行きましょう」%e3%81%84%e3%81%96%e6%97%a5%e6%9c%ac%e6%a9%8b%e3%81%ae3妖怪夜泣きじじいと釜おんな。夜泣きじじいは夜泣き支那そばの付喪神である。手に持っている笛でチャルメラの音を鳴らし、日本橋の街を哀愁で包むのが得意技だ。

%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%93%e3%81%84%e3%81%84%e8%a1%971%e6%a8%aa%e9%a1%941「ねぇ、夜泣きのジイさん、アタシ見てのとおりの砂かけババァだけど、去年も口裂け女で顔出ししてたのよ」%e4%bf%a1%e5%8f%b7%e5%be%85%e3%81%a11 信号待ちの妖怪たち。%e3%81%84%e3%81%84%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%82%e3%82%8b%e3%81%ad「あら〜、きっと何かいいことあるわね〜」と記念写真を撮る食品関係の仕事に従事する女性。%e7%88%aa%e3%81%8b%e3%82%86%e3%81%84「ね〜!!ここ、爪磨ぐのにちょうどいいわ〜!化け猫犬之坊さんもいらっしゃいよ〜」%e3%81%84%e3%81%96%e8%a1%97%e3%81%b8「ワシも爪研ぎたい思てたとこですね〜ん!」%e4%b8%89%e8%b6%8a「あいつら派手で目立ってるよなぁ……」と三越のショーウィンドウに腰を下ろす、地味目の妖怪たち。%e7%99%ba%e8%b5%b7%e4%ba%ba%ef%bc%8f%e7%a5%9e「ねぇ、あたしたちこれから船に乗せられてどこかに連れて行かれるんだってね」「深川に行くんだってね。向こうじゃ子どもの河童たちが待ってるって話だけど」「あ〜それで今日のイベントは『妖怪はしわたし』っていうのね」「なんか説明的な会話だね」%e3%82%a6%e3%83%8a%e3%82%ae%e3%82%a4%e3%83%8c「ウナギイヌだ!ウナギイヌだ!」と呼ばれていたがウナギイヌではありません。でも彼女は「ウナギイヌだ!ウナギイヌだ!」と返すでしょう。なぜなら彼女は妖怪「山びこ」だからです。%e8%88%b9%ef%bc%8f%e7%a5%9eかくして妖怪軍団は渡し舟に乗り込んだ。ここで神藏さんとはお別れ。写真どうもありがとうございました。%e5%ba%a7%e3%82%8b%e8%a8%ad%e8%a8%88座る設計になっていないいったんもめん。%e8%88%b9%e5%87%ba%ef%bc%91%e8%88%b9%e5%87%ba%ef%bc%92

大勢の取材陣にフラッシュをたかれいざ船へ。見物人が橋から落ちそうなくらいいた。涙のお別れ、拍手の見送り、のはずが、船はぐるっと元いた場所に旋回。船頭さんがはりきって合計三回も行ったり来たり。三回目には橋の上はかなり寂しい状態になっていた。我々の気分も落ちぶれた芸能人のよう。%e3%83%9c%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%a9ボスキャラ感のあるナメクジの妖怪、なめたろう。
この日、日本橋、深川界隈に出没した妖怪には「プロ妖怪」と「遊び妖怪」の二種類がいる(プロ妖怪たちは一番最後の動画のリンクに映っているよ)。
遊び好きの妖怪とは我々のことで、仕事を一切しない。「お化けにゃ学校も試験も何にもない」のだから、当然仕事もやらないのである。
しかしプロ妖怪達には、イベントの告知や、子どもたちの先導、盛り上げ……などなど様々な仕事がある。

プロ妖怪の中の「河童」と「油すまし」が船上で、ちょうど私の後ろの席にいたのだが、体に直接ペイントをしている(つまり裸が露出している)河童が「めっちゃ寒い……」と凍えていた。それに対して油すましが「俺はまだ蓑があるからマシなんだよね」と言っていたのを耳に挟んだ。おつかれさまです!妖怪も仕事となると大変だ。%e3%82%af%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%82%ba隅田川クルーズを楽しんだ後(これが結構良かった。特に高速道路が頭上からなくなると、一気に情緒が漂い始める。そして深川の船着場へ。そこには総勢二十名の子ども河童と無数の見物人が待っていた。落ちぶれた芸能人気分から一気に世界のスーパースター気分へ!%e3%81%8a%e5%87%ba%e8%bf%8e%e3%81%88%ef%bc%92%e3%81%8a%e5%87%ba%e8%bf%8e%e3%81%88

ここから深川江戸資料館までまで四十五分ほど歩く。町はもうお祭り騒ぎさ!って実際これはお祭りの前夜際のイベントでもあった。この日は妖怪の姿で九千歩くらい歩いただろうか。
ここで妖怪からのパレード中のレポートをどうぞ。
〈夜泣きじじい(伸坊さん)が子ども河童に「眼鏡貸して」って言われれ渡したらそのまま持ってっちゃって、あわてて追いかけて取り戻しに行ってました。by釜おんな〉
〈子ども河童に「テングはどこに住んでるんですか?」と聞かれたので、「練馬区」と答えたら「え、練馬区…」とつぶやいてた。by天狗〉
〈子ども河童に「いったんもめんは普段どんなことをしているのか?」って聞かれた。byいったんもめん〉
〈尻尾のひらひらを踏まれて破壊され、ずるずる引きずって歩いてた。byいったんもめん〉
〈いったんもめんの尻尾をこっそり踏んづけてしまっていた。byからかさお化け〉
〈子ども河童「つくも神ってどんな神様なんですか」から傘「ナベとか釜とかいろいろ道具がね‥」子ども河童「ほかにもいるんですか」から傘「えーとね」子ども河童「つくもってどういう意味ですか」と詰め寄られた。byからかさお化け〉
〈やたら妖怪好きのナゾの女性(四十代くらい)に「からかさオバケ大好きなんです、触ってもいいですか」「キャー可愛い~」とからまれてリアクション出来なかった。byからかさお化け〉
〈子ども河童に提灯を貸したら持って行かれそうになったので「返せ」と言って慌てて取り返した。byからかさお化け〉
〈取材の人とかあんなに沢山来て撮影していたはずなのに全然記事とか見つけられなかった。byからかさお化け〉
〈子ども河童に「杖を貸して」とせがまれ、何をするのかと思って見ていると、自分の持っているでんでん太鼓を杖に合体させようとしていた。by琵琶ぼくぼく〉
〈ハロウィンゾンビや吸血鬼より、百鬼夜行はやっぱり日本人体型には合う。たまたま描いてた絵本の話がゆるキャラの被り物のお話でまさか実体験できるとは。(モモリン11月中旬発売!)←チャッカリ。by化け猫犬之坊〉
結局プロ妖怪でない我々も、深川江戸資料館の控え室に着いた時はさすがに一仕事した気分であった。「あ〜疲れた!」「あ〜蒸し風呂!」「あ〜足痛い!」と妖怪を投げ捨てるように一気に人間に戻ってしまった。何せ上が七十の爺さんから下は四十のおばさんだ。「自分なのに見てる人には自分じゃない体験」「報道陣にフラッシュ焚かれてキャーキャー言われるスター体験」「視界も狭く不自由極まりない体験」ひっくるめて「クセになりそう」とみんな言っている。来年もやるのでしょうか……。

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%e8%88%88%e5%a5%aeいまだ興奮冷めやらぬご様子。
今年の妖怪
ぬめぬめ妖怪なめたろう(足立さん)/化け猫犬之坊(いぬんこさん)/琵琶ぼくぼく(伊野)/天狗(海谷さん)/いったんもめん(霜田さん)/からかさお化け(丹下さん)/砂かけばばあ (戸塚さん)/山びこ(二宮さん)/妖怪お化けガエル(花尻さん)/妖怪釜おんな(古谷さん)/妖怪夜泣きじじい(南伸坊さん)/妖怪猫おんな(南文子さん)以上、あいうえお順。

 

↑神藏美子さん撮影編集の「妖怪はしわたし」の動画。

最近の挿絵 2016・秋

バイトをしていた時は、新聞はお店(喫茶店)で何紙も読めたので、家では取っていなかった。バイトを辞めてしばらくして、また読んでみる気になり、 M新聞の販売店に電話をした。集金に来た男性にいまいち好感が持てなかった。この人に毎月会うのは嫌だなと思い、講読料は引き落としにしてもらった。契約の更新も自動的になされる。契約更新時に人が来ないので、更新の手土産もない。私は販売所にとっていいカモであった。

二年くらい経って、小さい庭の掃除をしていたら、A新聞社の営業マン(勧誘員風ではなかった)が通りかかり、「ウチに変えてくれたら、1万円分くらいのサービスをしますよ」と声をかけてきた。お米もあります。ミネラルウォーターもつけます。チケットもいかがですか?契約解除の連絡は私が責任をもってします。ということなので、そっちに乗り換えてしまった。

集金の人が好感の持てない人だったら嫌だなと思い、また引き落としにしようと思ったが、挨拶に来た配達の人がとても好感度の高い人で「私は集金もしています」というので、引き落としをやめて、集金にしてもらった。おかげで更新時にはわずかな手土産をもらうことができた。

そんなことがあって、また二年が経ち、先週の話であるが、以前に袖にしたM新聞社の販売店から「今週から一週間、お試しでポストに入れますので、読んでいただけませんか」と電話がかかってきた。今、我が家のポストには二紙届けられる。M新聞の販売所が1万円分くらいのサービスをつけてくれたら、すぐさま乗り換える腹づもりだ。

……そんな話はどうでもいいのだが、新聞小説の載っているページを開くたびに「いったい私に新聞小説の挿絵の依頼がくるのはいつのことだろうか?」と思うのである。

……いや、挿絵の仕事自体、最近は少ないのだが、わずか一本の小説挿絵の連載と、単発の仕事を今週はアップして、終わりにします。さようなら。%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%82%8c%ef%bc%91%e3%81%97%e3%82%87%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%82%8c2

小学館の「STORYBOX」で連載中の谷津矢車さんの『しょったれ半蔵』。それにしても、イラストレーターのクレジットがチョイト小さすぎやしないだろうか。いや、それが今のイラストレーターの立場を示しているとも言える。頑張らなければ。%e3%83%9e%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%95%e3%82%93%ef%bc%91%e3%83%9e%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%95%e3%82%932

「オール讀物」で読み切りの平岡陽明さんの『マリーさんの101日』

 

yes! no! good!

今売りの「日経おとなのOFF」で高須クリニックの高須克弥院長が教える「若返りとはコンプレックスをなくすこと」というページに絵を描いています。「日経おとなのOFF」はちょくちょく仕事をくれるいい雑誌です。わりと最近細かいカットの注文が多かったのですが(贅沢言ってすみません!わたくしは仕事をいただけるだけでありがたいことだと肝に銘じております!)久々に大きいサイズのものを頼まれたので、はりきって描きました。YES!no%e9%ab%98%e9%a0%88yes%e9%ab%98%e9%a0%88高須院長って今、71歳なんですね。いろいろとスゴイです。

ところで、グッドデザイン賞ってありますよね?

Eテレで放送された「昔話法廷」という番組が、グッドデザイン賞を受賞したそうです。番組も対象になるんだ?私はイラストレーションでお手伝いしていたのですが、受賞チームに名前を入れてもらっていたので、私もグッドデザイン賞を受賞したってことになります。

グッドデザイン賞「昔話法廷〜『三匹のこぶた』裁判〜」

以上、自慢コーナーおわり。

10月のオトナの一休さん

6月にEテレで3話だけ放送された『オトナの一休さん』がレギュラーになって帰ってくる!

毎週水曜日の午後10時45分から放送です(10月5日スタート)。5分間番組なので、なかなか気合を入れないと見逃してしまいますので、ぜひ毎週録画の予約を入れておいてください。
世に広まっている一休さん像とは、すなわちとんち小僧。有名なアニメにより日本だけでなく海外でも人気があるとか。
ところが史実の一休さんはポクチンはしません。ではどんな人だったかって?それを再びアニメ化して伝えるのが『オトナの一休さん』なわけです。%e4%b8%80%e4%bc%91%e7%94%bb%e5%83%8f1
いや〜、本当にスゴイっすよ史実の一休さんは。アニメとして脚色している部分は当然ありますけど、基としている文献に書かれていることがすでに滅茶苦茶なんですから。
私は脚本を読んで、ディレクターとアニメーターと相談しながら絵にしているわけですが、あまりに面白い人なので自然に一休研究をしたくなってきます。本当にこんな人がいたんだな〜と、感に打たれます。勉強するなら今でしょ、なんですけど、何しろ私一人でアニメの絵を全部描かなくちゃいけないんで、なかなか時間が取れません。%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%96
そんな私が、だいたい想像するにですね……禅がロックだとすると一休宗純はパンクかな?ロックンロールの本質を思い出せ!っていうのがパンク、だと私は理解しているのですが、『オトナの一休さん』を見ると一休さんが伝えたかった禅の本来の姿が解る?いや、それすらも飛び抜けて自由?……描いている私にも未だハッキリとは掴めません。
無縄自縛(むじょうじばく)という言葉が『オトナの一休さん』には時々出てきますが、「ありもしない縄で己を縛るな」というのが一休さんのメッセージです。
◯10月5日第一則「クソとお経」
弟子たちが読経をしているところに現れた一休さん。持ってきたのは、まだ湯気が立っているクソ。その下にはなんとお経が!%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%96%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%92
◯10月12日第二則「すずめの葬式」
涙を流しながら読経する一休さん。誰の葬式かと新右衛門がいぶかると、なんとかわいがっていたすずめの葬式だった!%ef%bc%92%e5%89%87-%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%92%e5%89%87-%e2%88%92%ef%bc%91%ef%bc%92
◯10月19日第三則「思春期の一休さん」
新右衛門が一休さんのとんち小坊主エピソードをたずねると、兄弟子はそんなものは皆作り話だと否定。では本当の一休さんはどんな少年だったのか?
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◯10月26日第四則「ストリート禅問答」
一休さんと新右衛門が京の町を歩いていると、見知らぬ僧侶が禅問答を仕掛けてきた。「市中に隠ありや否や?(町の中で修行する僧などいるのか?)」さあ、一休はどう答えた?%ef%bc%94%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%97%ef%bc%94%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%98
第一則〜第三則は6月に放送されたのでご覧になった方もいらっしゃると思います。第四則はなんと一休さんが歌っちゃうもんね〜。もちろん作曲は大友良英さん。お楽しみに!
配役やあらすじ、スタッフ紹介、ディレクター藤原さんと脚本家ふじきさんへのインタビュー、などは下記の番組サイトでどうぞ〜。