伊野孝行のブログ

考えすぎた人

新潮社から発売中、清水義範さんの「考えすぎた人 お笑い哲学者列伝」のカバーイラストレーション描きました。デカルトさんです。カントさんです。ニーチェさんです。ソクラテスさんです。サルトルさんです。マルクスさんです。考える人ならぬ考えすぎて足の裏をじっと見つめる人です。扉と表4に使いました。

昔は哲学者は数学者も兼ねてたりしたんですよね。僕は理数系がさっぱりで、文系のほうなら大丈夫かと思ったけど哲学の本もさっぱりわかんなかったから、絵を描いているわけだけど、そんな僕が読んでもこの本はおもしろい。しかもなんか哲学もわかった気になっちゃうから得だ。これらの絵は鉛筆で描いたんですが、偉人の顔写真を見ながらちょっとふざけたかんじに描きなおしてるっていうのは、まさに授業中のらくがきですな。数学も哲学も得意じゃないヤツがひまつぶしですることですわ。

ジビエを食べれば

ジビエ(仏: gibier)とは、狩猟によって、食材として捕獲された野生の鳥獣である。主にフランス料理での用語。(以上ウィキより。)八坂書房より発売された和田一雄先生著「ジビエを食べれば『害獣』は減るのか」のカバーイラストレーションを担当しました。和田先生は京大の霊長類研究所などにおられた方であります。
この本の中で先生はオオカミを日本に放つことも害獣対策のひとつにあげておられるが、そういえば僕も何年か前に、日本にオオカミを入れようという運動に署名したことがある。余談だが、この本、デザイナーのクレジットがないが、聞くところによると八坂書房の社長自らがデザインされたとのこと。学術書にこんな絵をOKしてくれた懐の広さに感謝したい。あとこの絵で推してくれた担当編集者の畠山さんにも。肉の脂身が鹿の形になっています。どうぞよろしく!

毎週火曜に絶対更新の当ブログ、先週の6/18はサボってしまいました。というのはワケがあって梅雨休み(?)ということで海外に行っておったのでした。大の旅行嫌いの僕は放っておくと10年くらいはどこにも出かけないので、誘われて都合のつくときはなるべく行くようにしているのです。今回はウィーンでした。

追記!こんどの日曜6/30にフジテレビで「ザ・ノンフィクション」という番組があります。14:00~14:55です。世間を騒がせた「八百長問題」とは、一体なんだったのか? そこで以前わたしが勝手に描いた蒼国来関の法廷画が使われるようですので、蒼国来裁判に興味がある方ない方ぜひご覧下さい。いや〜インディーズ法廷画家がメジャーデビューするとはな…。

次回、6月30日(日)放送のザ・ノンフィクションは「やってないものは やってない」

 

 

巨泉の印象派入門

幻冬舎から発売中の大橋巨泉「知識ゼロからの印象派絵画入門」にいろいろ絵を描きました。巨泉さんは印象派にすごくくわしいってことは前にラジオに出演しているのを聞いて知っていました。そのとき、巨泉さんはピカソはわからないとおっしゃっていた。ピカソ以降のモダンアートはわからない、と言う巨泉さんは正直だ。一般にモダンアートからさかのぼると近代絵画の父セザンヌはものすごくエラい人になるのだが、巨泉さんに言わせると「人間がただのモノにしかみえない多くの作品は失敗だったのではないでしょうか」と手厳しい。世の中にはモダンアートがわからないと思っている人は大勢いるし、べつにわかんなくったって生活に支障はきたさないから、「わからない…」と悩むより「わかんねーよ、バカヤロウ」と巨泉さんのように正直に言って好きな絵だけを存分に楽しむのも絵の見方です。なのでこの本は普通の印象派入門より正直な本です。50代の巨泉さんを想定しております。ウッシッシ!ドガの似顔絵ルドンの似顔絵ピサロの似顔絵ボナールの似顔絵ルノアールの似顔絵マネの似顔絵セザンヌの似顔絵この画家ならこんな音楽を聴きながら、こんな酒を飲み、こんな女優と見てみたい(!)という巨泉さんらしい「巨泉の特等席」というコラムがあります。マネはペネロペ・クルスと生ハムをつまみながら。ゴッホはナタリー・ウッドと「イエローサブマリン」を聞きながら。モネは大原礼子ちゃんと。

その後の立身いたしたく候

小説現代で連載中の梶ようこさん「立身いたしたく候」の挿絵です。夜食のおにぎり食べてます。刀が刀らしく見えないって?そう、木刀です。じぶんでもそれを忘れてて、掲載誌が届いたときに、「なんて刀がヘタクソなんだ!」と情けなくなりました。そうそう木刀だったんだ。木刀としてもヘタだけど…。このお侍(主人公ではない)が、今で言う「新型うつ病」にかかってて、世間や他人にうらみを抱いているというおはなし。だからタイトルが「うらみぶし」ウマい!この侍は「矢場」で遊んでるときは生気を取り戻すという…。
西宮の苦楽園にある「ウラン堂」では6/30まで「伊野孝行 画家の肖像」やってます!(click!)

 

 

画家の肖像atウラン堂

またか!もうこの絵は見飽きたよ、という方も多いとおもいますが、「画家の肖像」今度は兵庫県西宮市に巡回いたします。最寄り駅は阪急甲陽線「苦楽園口駅」です。苦楽園なんてシャレた名前ですね。なにやらウィキによると「西宮市内の甲陽園、甲東園など「園」がつく地域から成る西宮七園の一つに数えられ、関西屈指の高級邸宅街である。西宮七園の中でも最も山手(六甲山麓)に位置しており、財界人、文化人の豪邸が多く建てられている。市境を挟んで苦楽園五番町の西隣には同じく高級邸宅街で著名な芦屋市の六麓荘町がある。苦楽園四番町、苦楽園五番町、苦楽園六番町にかかる山手一帯は芦屋市六麓荘町に隣接しており、数百、数千坪の豪邸が軒を連ね、企業家・資産家が多く住む界隈である。」と。そういえばウラン堂に下見に行ったときも前の道を通る車がすべて高級車だった。ウラン堂はそんな「苦楽園口」から徒歩2分。ホームページがありますのでそちらをたよりにお近くのかたは是非いらしてください。月曜と火曜が定休日です。会期は6/1〜6/30までやっております。ぼくは6/1はおります。ウラン堂へのアクセスはこちら!

巡回展といえども新作を何点か描きました。デジカメでとったので綺麗ではないけど「ルーチョ・フォンタナの肖像」キャンバスをナイフで切ってそれを作品とする画家です。なので切ったキャンバスから顔だしてる絵にしてみました。みなさま、お近くにお寄りの際はいらしてくださいね〜。もちろん「画家の肖像」の本も売ってます。というか本を売るために巡業してるので…。

はい、話かわって先日、某出版社の某賞の授賞式がありました。なぜ隠すかって?授賞式でとった写真をむやみにネットに載せないようにとのアナウンスがありましたので。まあ、これは顔出しNGの漫画家の先生かなんかの写真を勝手に名前つきで載せたりして問題があった、とかそういう経緯があったのかな?と勝手に想像してます。なので検索にかからないようにこっそり載せてやる…。一生に一度のことだし、当事者だし、写ってる人は問題ない方ばかりのはずですが、「表現の自由」「プライバシーの侵害」どっちもこの写真にかんしては問題ナス!と思うけど何かあったら言って下さい。けっして調子にのってません。道は遠く険しいのでこれからも精進いたしたいと思います。

 

 

経済学者の肖像

講談社より発売された佐々木実さんの『市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像』のカバーイラストレーションを描きました。経済学者、竹中平蔵氏の評伝であります。氏はいったいどこからあらわれたのか?「経済学者、国会議員、企業経営者の顔を使い分け、”外圧”を利用して郵政民営化など「改革」路線を推し進めた竹中平蔵がつぎに狙うものは!? 8年におよぶ丹念な取材があぶり出す渾身の社会派ノンフィクション」とは帯の言葉ですが、私も読んでみて「この人は日本をどこに導こうとしているのだろうか…」とすこし怖くなりました。ブックデザインは日下潤一さん。日下さんとはかれこれ10年くらいのおつきあいになり、最近はいっしょに旅行に行ったりもする仲ですが、なんと本の装画の仕事は実は今回がはじめて(!)でありまして、世の中そんなに甘くないわけです。しかも10年目にして実った絵がシルエット!!という…。当初、竹中平蔵氏の顔をわたくし得意の悪意を全面に出して描く予定だったのですが、もう少し幅広く売りたいという会社の意向もありシルエットとなりました。竹中平蔵のシルエット。いやー、シルエットなんて簡単簡単なんて思ってたけど、竹中平蔵は正面からシルエットで見るとただのまるっこい人になってしまい誰かわからない。いろんな写真や動画をストップモーションして合成してつくったんですが、なんとか竹中さんらしく見えますかね?ブッシュ大統領と小泉首相のなかよしシルエット。小泉さんは髪型に特長あるから竹中さんにくらべれば簡単でしたが、それでもちょうどいい写真がなくて合成したり変形したりしています。