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伊野孝行のブログ

平成の相撲絵師たち展

昭和最後の年に、いや正確には昭和64年は1月7日までしかなかったので、実質最後の昭和63年(1988年)の12月、元横綱の輪島がプロレスラーを引退した……そんなこと誰も覚えていないでしょうけど、今年は平成最後の年。後年それぞれの胸に「あれは平成最後の年だったんだなぁ」と思い出される出来事もあるはずです。

きっとそんな思い出になるイベントがあさって5月16日から開かれます。

題して「”平成の相撲絵師たち”展」。

この展覧会を主催している音楽&相撲ライターの和田静香さんはこうおっしゃっています。

平成の相撲絵師たち展をやります!と決めたのが1月。大相撲がボコンボコンにやり込められてる時でした。

くそ~~~~、と悔しさにイライラして(あんとき血圧高くなったんだわ、私)

何か反撃したい!と思いながらでも、憎しみに憎しみで返したら、そこには憎しみの連鎖しかない。。。

そうだわ、愛よ、愛! 愛で返せばいいんだわ!

と、にわかに私、マーティン・ルーサー・キングJr.の教えに従い、あなたたちがどんなに大相撲を憎もうと、私たちは大相撲を愛して楽しむのよ!その姿を見なさい!というつもりでやったるで~~~~~~~と

そんな気持ちも込めて開催を決めて。。。。果たして人、集まってくれるのかな?と、思っていたら、じゃんじゃんじゃん。総勢26名、30点以上の作品が集まりました!

みなさん、本当にありがとうございます。どんな会になるやら? 実はまだ分かりません。でも、きっと楽しい会になるはずです。

そう、どんな展覧会になるのか私も予想がつきません。時々イラストレーターのグループ展みたいなのには参加することもあるのですが、それとは趣を異にするでしょう。別にプロとかアマとかそんなの関係なく、ただ相撲が本当に好き!ってことだけで絵を描き、集まり、開かれる展示だからです。

しかし、5年前に私が描いた絵が2種類あるDMのうちの1枚になっているのですが、今見ると妙に意味深な絵になっています。和田さんが〈平成の相撲絵師たち展をやります!と決めたのが1月。大相撲がボコンボコンにやり込められてる時でした。くそ~~~~、と悔しさにイライラして(あんとき血圧高くなったんだわ、私)〉と思ってた時の、心の置き場所がない心象風景を描いた絵のようにも見える。

私は他に蒼国来裁判を傍聴した時の法廷画をファイルにして出します。

ちょっと心配なのは、オレめちゃくちゃ相撲に詳しいわけではないんで、幕下以下の力士の名前とかそんなによく知らないし、オープニングで集まる人の話についていけるかどうか。いや、愛する気持ちがあればそれでいい?相撲ファン「一兵卒」からやりますんでどうぞよろしくお願いいたします。

「平成の相撲絵師たち展」
5月16日(水)~20日(日)
午後13時~19時半
入場無料
両国「緑壱」(ライオン堂さん斜め前あたりに、りそな銀行あり。その並びに建つザ・パークハウス両国を入って5軒目
ベージュ色の一軒家の1階です)16日の18時~19時半に オープニング・パーティー。

両国「緑壱」はこちら

真珠庵での”など”の格闘

今週の土曜日、4月21日夜9時からNHKのBSプレミアムで『傑作か、それとも…京都 大徳寺・真珠庵での格闘』が放送されます。

90分のドキュメンタリー番組で撮影は4Kのカメラを使用。しかもこれは「スーパープレミアム」なのです。スーパープレミアムとは、〈BSプレミアムのフラッグシップとして、大型エンターテインメントや、長期取材に基づくこれまでにないスケールの番組など、多彩な視聴者の関心を呼ぶ番組を土曜夜間に2~4時間編成。NHK BSプレミアムで随時放送している〉ということになっています。

はい、前置きがウザいですが、この番組に私は出ております。

昨日昼間にNHKを見てたらたまたま番宣をやってて、私が一瞬映ったので急いでスマホで撮ったのが、この写真です。この写真は実に貴重なものなのです。なぜなら、悲しいかな番組のホームページには、私は名前も写真も出ていないからです。

今まで散々、親や親戚や友達に「オレ、今度スーパープレミアムに出るんだ」って自慢しといて、さぁ!いよいよだ!って時に、番組ホームページには自分が出てる痕跡がないってさ……ほんとこのブログでもどうやって宣伝しようか頭を抱えてたし、もう宣伝なんかしないやい!と拗ねてたんだけど、昨日偶然スマホで撮れて良かったよ。

(追記、さっき番組ホームページ↓を見たら予告動画が上がっていました。てへへ。)

傑作か、それとも…京都 大徳寺・真珠庵での格闘の予告動画を見よう!

番組紹介ページの5人並んでいる写真の中に私はいません。襖絵に挑戦する私以外の絵師たちと和尚様です(私はこの日どうしてもスケジュールが合わず、京都に行けなかったんでね)。襖絵に挑戦する5人の絵師は〈ゲーム『ファイナルファンタジー』のアートディレクター・上国料勇、アニメ『オネアミスの翼』監督・山賀博之、長寿漫画『釣りバカ日誌』作画・北見けんいちなど。〉です。仕方がないので私が残りの「など」を紹介しましょう。

1人は私、伊野でございます。アニメ『オトナの一休さん』も再放送中ですが、この真珠庵という塔頭は一休さんのために建てられたお寺なのです。また一休さんは大徳寺を再興したお方でもあります。もう1人の「など」は濱地創宗さんという方で、この人は真珠庵で修行をしていた若き画僧であります。画家兼僧侶。男前です。

番組の概要は下記のリンク先↓から知れます。

現代の”絵師”たちはどんな襖絵を描くのか?

私が「など」になった理由は無名だからということ以外にもう一つあるような気がします。

上国料勇さんと山賀博之さんは半年間の長きにわたり真珠庵に住み込んで絵を描かれていたのですが、私は2泊3日で描いて帰ってきてしまったのでした。だって普段のイラスト仕事の締め切りもあるし、それに私の場合、カンタンな絵なので2泊3日あればじゅうぶんだし、あの絵を半年かけて描く方が難しい……。

〔写真:私が担当したのはこの六畳間。襖絵は曾我蛇足(2代目だったかな?)の絵です。ここに寝転んでのほほん気分になれる絵を描こうと思いました。

大徳寺・真珠庵は長谷川等伯の襖絵もあります。等伯は他に、大徳寺・三玄院の襖絵も描いていますが、その襖絵は、三玄院の住職に「絵など必要なし」と断られたものの、諦めきれずに住職の留守中に勝手に上がりこんでバババっと描いてしまったのです。

絵の良し悪しに制作時間は全く関係ないのです。

でも、番組的には大いに関係がありましょう。だって番組のホームページにはこうあります。

〈現代の”絵師”たちは何を思い、どんな襖絵を描くのか?しかし、はじめての挑戦に、絵筆はなかなか進まない…。〉と。

編集された番組は当然私は見ていないのですが、たぶん予想では私は前半に出た後はほとんど出ないような気がします。

これも私の予想ですが、この番組は笑えるヒューマン・ドキュメンタリーという仕上がりになるのではないかと思います。ナレーションは高橋克実さん。

襖絵に挑戦する絵師の一人、山賀博之さんは監督・脚本家でありアニメ制作会社「ガイナックス」の社長さんです。

2014年のドラマ『アオイホノオ』でムロツヨシが演じていた人です。ドラマの中で美大時代の山賀さんの心の声として「俺は絵が描けん!描くつもりも無い!だがアニメ界でひともうけしたいのだ!つまり、人を働かせる!俺のために!くはははは」というようなセリフを庵野秀明さんの後ろで言う場面が出てくるのですが、その山賀さんが絵を描くってんだから、それも長大な襖絵を。

ドキュメンタリー的にはぜったいに美味しいです。

山賀さんて「この霧吹きが使いやすいですよ」って貸してくれたり、暗がりで描いてたら後ろで照明をセッティングしてくれたり、とてもやさしいの。予告動画で私が握っているのは山賀さんの霧吹きです。

〔写真:合宿2日目の昼食の様子。近所の「中華のサカイ本店」より取った出前の冷やし中華を食べる撮影スタッフ。手前は上国料さん。「中華のサカイ本店」は素晴らしい店。是非行ってください〕

座禅と庭掃除込みの合宿は楽しかったですが、何より大きな絵を描けることが気持ちが良かった。大きな絵は全身を使って描くので、軽い筋肉痛になる。こんなに集中できるのかっていうくらい、ものすごく集中できる。描いてる間に何度も「あ、失敗しちゃった」と思う瞬間が訪れる。やり直しはきかない。焦る。そこから何とか立て直していくしかない……短い期間ではあったけど自分としては格闘でした。

もう予告動画に全貌が映っちゃってるけど、私の描いた襖絵は実力以上でも以下でもないってカンジかな。『傑作か、それとも…』というタイトルに照らし合わせれば、後者かも(笑)。

私は他の人たちの絵がその後どうなってるのか知らないんです。すぐ帰ってきちゃったから。でも予告動画でチラッと見る限りめちゃめちゃど迫力ですね。まぁ、私のは六畳間の禅画を目指してますから(言い訳)。

まぁ、襖絵の出来はどうであれ、私の出番の尺はどうあれ、ドキュメンタリー番組として傑作になってくれればそれでいいですわ。番組はディレクターの作品なんだから。

自分の声や動きを映像で見るというのはすごくヘンな気持ちですね。自分は自分の存在に耐えられません。また、やっかいなのはウチはBSが映らないってこと。誰の家で見ようかなと思ってたら、「当日はみんなで真珠庵に集まって酒を飲みながら見るんですが、来ませんか?」と山賀さんからお誘いを受けた。どうやらみんな自分一人じゃ見る気になれないようです。

調子にのって

調子にのって、先週、溜まってた仕事の絵を一気に載せてしまった。そのため、今週特に載せるものがなくなった。というわけでお休みです。

一回休み

風邪ひいちゃって、なかなか治らなくて、ただいま展示期間中につき、ギャラリーに出向いたりしているうちに、いろいろやることも溜まってしまったので、今週のブログは一回休み……という更新をしてしまいました。

風刺画展はじまるよーっ!

11月22日から人形町のビジョンズというギャラリーで『風刺画ってなに?』がはじまるよー!絶対に見に来てね!来なきゃ絶交だぜ!楽しいトークショーもあるよ!

「風刺画ってなに?」詳しい情報はこちらをクリック!

風刺画ってなに?

『風刺画ってなに?』っていう展覧会が来週からはじまりますっ!

イマドキ、風刺画の展覧会なんて誰もやらないでしょ?
いや、なに、ネットにはいっぱい、風刺画というのか、ポンチ絵っていうのか、クソコラっていうのか、上がってるんですけどね。そうやってみんなで息抜きして楽しんでるんです。健康的なことではないですか。
でも、僕は風刺画って、好きじゃないんだよ。風刺画ってだいたいは面白くないんだもん。面白い風刺画は好き。宮武外骨の「滑稽新聞」とか。あ、全然関係ないけど、明治時代に「なまいき新聞」というのもあったみたい。内容は知らないけど、いい名前だ。
明治時代ってさ、言論の自由がそんなにないから、命がけじゃん。今だってそういう国は結構あるだろうけど、そこで風刺画描くのはスリルあるよね。日本で描いたって、なにも起こらないよ。だから面白くないのか。
いや、そういうことじゃないんだよな。なんだろう風刺画=政治風刺漫画だというイメージが僕は嫌いなのかも。基本的に毒のある絵は大好物です。
面白くない風刺画は、善悪二元論みたいになっちゃってるのがつまんない。
たとえば、個人と全体は必ず矛盾するでしょ。
もし無人島から10人が脱出するために、9人乗りの舟しかなかったら、どうするの?誰か一人選んで、みんなのために犠牲になれって言うの?それともみんなで船に乗らずに、無人島で飢えて死ぬの待つの?それとも沈むの覚悟でみんなで漕ぎ出すか…自分は船に乗ってる方か、乗れない一人の方か。基本的にこの構造は変わらないと思うんだけどな、国でも、地球でも。
そういう矛盾に向き合わなきゃいけないリーダーとして、トランプは最悪なやつだ。でも人間ドナルド・トランプを見てると、うっかり「ちょっと面白い……」って思っちゃうじゃん。金正恩とかも、実の兄を殺して、側近のおじさんも粛清して、戦国時代か!?ってやつだけど、本人見てると、うっかり「ちょっと面白い……」って思っちゃうじゃん。あと、北朝鮮の女性アナウンサーのアジテーションのような喋り方ってクセになるなとか。
深沢七郎さんはこう言っている「こっけい以外に人間の美しさはないと思います」。
人間は本質的に何の意味もない存在だけど、政治というのは正反対に意味を植え付けてくる。
僕が描くとしたらこんな風刺画かなぁ〜。
タイトルは「床屋政談」って言うんだけど、どうでしょうか…?
まぁ、ここに書いたのは、僕の意見であって、他のメンバーがどういう考えかは知らない。だから、展覧会のタイトルも『風刺画ってなに?』になってるわけでね。
政治家の絵なんて描くつもりなかったんだけど、DM用に先に一枚描かなくてはいけなくて、妙にサービス精神出して、描いちゃったよ……。
だから他の作品は、こういうのじゃない。風刺画って本当はもっともっと幅広いものなんだし。
26日のトークショーでは、いろんな風刺画的作品をスクリーンに写し出してしゃべる予定です。
というわけで、最近、毎回ブログではよろしく、よろしく、と言ってますが、今回もどうかひとつよろしくお願いいたします。

歴史を学びたい

昔はこれでもいっぱしの歴史通であった。
昔……というのは小学3年生の頃である。他の子ども達が漫画やアニメに夢中になっているのを横目に、学校の図書館で、豊臣秀吉、織田信長、徳川家康の伝記を借りては読んでいたものである。
だが、悲しいことに私の歴史の知識(特に戦国時代)はその頃で止まってる。
小学4年生まではほとんど友達がいなかったので、自分独自の文化圏を作っていたのだが、5年生になって、急に友達ができ、私も他の友達と同様に漫画やアニメに夢中になってしまったからだ。
フツウの小学生になっちゃったわけ。
去年も大河ドラマ『真田丸』を見て、「真田、真田ってよく名前を聞いてたけど、こんな一族だったんだ〜」ってやっと知ったくらいの歴史知らずなのだ。
イラストレーターとして時代物や歴史物の仕事もしているのに、そんなのでいいのだろうか?
そりゃアカン!でしょう。(↑日本史に限らず、今までよくわかってないまま歴史上の人物をたくさん描いてきてしまった。これは秦の始皇帝です)
イラストレーターとしてのデビュー作が童門冬二さんの新聞小説『小説 小栗上野介』の挿絵だったので(当時私は29歳、一回2千円のトホホな画料)、幕末〜明治はそんなに知らなくもないのだが、特に戦国時代以前、日本の中世となるとぜんぜんわかんない。
先日、最終回まで放送し、また同じ時間帯で再放送中の『オトナの一休さん』は室町時代の話である。
ちょうど応仁の乱の回を描いている頃に、呉座 勇一さんの『応仁の乱ー戦国時代を生んだ大乱』 (中公新書)がベストセラーになっていた。応仁の乱というのはなんだかよく分からないままだらだら続いた戦らしい…ということは知ってたので、この本を読めば、面白く理解できるのかも!と飛びついたものの、何度も途中下車したくなり、なんとか最後まで読んだが、歴史が面白い!という気持ちは一向に芽生えてこなかった。
後日、「芸術新潮」の私の担当者(れ)氏が『応仁の乱ー戦国時代を生んだ大乱』 を読みたいというので、差し上げた。
お礼でも言ってくれるかと思ったら、(れ)氏はわざわざツイッターで
〈話題の『応仁の乱』、「ちくちく美術部」を弊誌に連載するいのっち氏からの下げ渡し本にて遅ればせに読了。いのっち氏は、なかなか乱が始まらない、人名多すぎでその個性の書き分けもないとか低評価のアマレビューみたいな文句を言ってましたが、中世史の本ってそういうもんです。ベストセラーというの は本来の読者でない人が買うからベストセラーになるわけで、当然、ミスマッチ多発と推測。数ある中世史本の中では普通に読みやすく、普通に面白いと思います。現代人から見て感情移入できる登場人物がおらず、著者も冷静ですが、畠山義就にだけは微妙な好感を寄せている風なのもいとおかし。(れ)〉
などと書き込んで、私の浅はかさを世間に知らしめてくれた(リツイートされまくっていた)のだが、人から本をもらっておいてなんてことをしてくれるのだ。(↑これは(れ)氏が担当している「ちくちく美術部」。今月は江戸東京博物館の『没後150年坂本龍馬』展を取り上げています)
(れ)氏は美術雑誌の編集者だが歴史博士と言っても良いくらいに詳しい。私が歴史を勉強したがっているのを知りこんなメールをくれた。
〈ここ数年の中公新書では、『贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ』がやはり15世紀日本を扱っていて巻を置く能わざる面白さでした。でもまあこれも、伊野さんが読んで面白いかどうかは……〉
とまたもや、嫌味な一言を添えて、本を紹介してくれた。
実際読んでみると、的が絞ってあるので『応仁の乱』ほどは退屈しなかったが、”巻を置く能わざる”には程遠く、やはり私にとって歴史の壁は高いままなのだった。
そんな私を歴史好きにしてくれる救世主のような本がついに発売された。5月20日のことだった。
本の名は『秘伝・日本史解読術』(新潮新書)。著者は荒山徹さんである。
この本は新潮社のPR誌「波」で『歴史の極意・小説の奥義』というタイトルで連載されていたのをまとめたものなのだが、連載当時から私は「あ、なんか歴史って面白そう……」という気持ちになっていた。その感触が残っていたので、待望していたのである。
あらためて本になったものを読んでみると、これこそまさに”巻を置く能わざる”面白さだった。
ま、私の感想などより、ご本人の紹介文の方が的確だと思うので、ここに貼り付けさせていただきましょう(クリックするとデカくなる)。
〈特筆すべきは、解説をほどこした歴史時代小説の名作を縄文から幕末まで年代順に配置したことで日本史の流れがイッパツで概観できるようになった工夫でしょうか〉
とありますが、小説を読んで興味を持つというのはナイスな入り方ではないですか。考えてみりゃ、いきなり私が歴史学者の先生の論文みたいな新書を読んで面白いと思うのは相当にハードルが高い。
荒山さんがオススメする歴史小説を読んでいくのが、今年の趣味の読書の方針なのです(八木荘司『古代からの伝言』、杉本苑子『檀林皇后私譜 』、永井路子『王朝序曲』、三田誠広『桓武天皇―平安の覇王』、吉川英治『新平家物語』、津本陽『夢のまた夢』……)。
でもせっかくなので、まずは荒山さんご自身の小説を読んでみた。『白村江』(PHP研究所)です。歴史の授業で習ったあの「白村江の戦い」だ。はい、もちろんぜーんぜんよくわかってない。最初から、余豊璋とか金春秋とか聞いたこともない名前の人が出てくる。あ、蘇我入鹿は知っている。けっこう分厚い本なので、読み通せるか不安だったが、3分の1を過ぎるあたりから、またまた”巻を置く能わざる”状態になってきた。手に汗握る冒険小説だったのだ。
教科書で名前だけ知っていた「白村江の戦い」は今ではすっかり頭の中に映像で描ける。なお、荒山徹さんは『白村江』で第六回歴史時代作家クラブ賞を受賞されております。パチパチ!
そしてもう一つ付け加えるなら、荒山徹さんは私が2013年に講談社出版文化さしえ賞をもらった時の小説『長州シックス 夢をかなえた白熊』をお書きになった方なのです。

そしてさらに付け加えるなら、荒山さんは毎回「オトナの一休さん」の感想をツイッターで書いてくれるのです。だからって、お礼の意味で本を紹介しているわけではありませんよ。

スカーフと一休さん

みなさんGWいかがお過ごしですか?

私は今まで一度も有給休暇というのをもらったことがありません。バイト時代も今も、休みの日=無給なので、働かなくても金がもらえる有給休暇に憧れています。

一度だけ有給休暇がもらえるチャンスがありました。

10年ほど前キンコーズで半年だけバイトをしていた時のことです。キンコーズはちゃんとした会社なのでバイトにも有給休暇がつくことになってました。キンコーズは当時、求人をある人材派遣会社に委託していたので、私はキンコーズで働きながらも、その人材派遣会社からお給料をもらっていました。労働条件はキンコーズに直接雇用されている人と全く同じでした。

やっと半年が過ぎ、有給が5日ほどつくことになったので、どう使おうかと、楽しみにしていました。ところが、ちょうどそのタイミングで、キンコーズとその派遣会社は契約を解消してしまったのです。

派遣会社から電話がかかってきました。

「もちろん、伊野様には引き続き、キンコーズ様で働いていただけるのですが、そうすると伊野様とキンコーズ様とで再度契約を結んでいただくということになります」

「はぁ……ってことは今まで半年間働いて、やっと有給休暇がつくことになったんですが、それも白紙に戻るということですか?」

「そうですね。そういうことになります」

「え〜!私、有給休暇だけを楽しみに働いてたんですけどぉ〜」

というわけで、有給休暇はまぼろしと消え、ムカついたのでキンコーズを辞めてやりました。

さて、主に関西方面の方にお知らせです。

「しあわせのスカーフ」展

ウラン堂ギャラリー & galerie6c 合同企画展、30人のクリエイターによる正方形のメッセージ。苦楽園口駅前の2つのギャラリーを巡って楽しむ「しあわせのスカーフ」展というのに参加します。2017.5/10wed〜5/28sun

「しあわせのスカーフ」展はコチラ!

これはスカーフのデータ。古代中国をモチーフにしております。これはバンダナ。茂田井武をモチーフにしております。どっちも絵は使いまわしですけども。これは去年のマン・レイのスカーフとゴッホのバンダナ。

「ウラン堂」さんは『画家の肖像』の巡回展をやらせてもらったギャラリーです。

さて、『オトナの一休さん』見てますか?

友達も「あ、ごめん、最初は見てたけど、最近は忘れてた」とか「え、シーズン2もやってるの?」とか油断がならねぇ。

シーズン1は時系列にあまり関係なくエピソードを並べていましたが、シーズン2は時系列に沿って話が進むのです。だから1回たりとも見逃してはならないのでございます。

今日(5月2日)も夜10時45分から放送されるよ!今回は一休は兄弟子の養叟とマジで大喧嘩します!次週は、そんな兄弟子の養叟が死んじゃう!再来週はいよいよ応仁の乱がはじまる!これは見逃せない!でも5分間番組なので普通は見逃してしまう。だから毎週録画してね〜。

オトナの一休さんはコチラ!

 

オトナの一休さん2

本日4月4日(火)22時45分から『オトナの一休さん』のシーズン2がスタートします!シーズン2は二枠あって、放映日時は毎週火曜の22時45分毎週金曜の11時45分です。ついに健全なお昼の時間帯にも進出したわけです。

シーズン1が放映される前には、LINEニュースをはじめ各ネットニュースに取り上げられたり、ホリエモンがいいねと言ってくれたり、関係者一同、狂喜乱舞したものですが、シーズン2直前は静かなもんですねぇ……ていうか、宣伝が「他力本願」ですなぁ、仏教だけにね……。

というわけで、誰も見ていないに等しいこのブログでもガンバって宣伝いたします。

シーズン1では、如意庵の住職を請われた一休宗純が、商人たちとズブズブになっているお寺の実態に嫌気がさし、たった十日で住職をやめ、旅に出てしまうところで終わりました。

あれから半年後……狂った風とともに一休宗純は来たりぬ!(第十四則「帰ってきた一休さん」より)
シーズン1で憎めないクソジジイっぷりを見せつけてくれた一休和尚ですが、シーズン2でもそれは相変わらず。でも、室町という時代は、いま大流行のあの「応仁の乱」が待っています。
中公新書のベストセラー、呉座 勇一著『応仁の乱 – 戦国時代を生んだ大乱 』はすでに28万部を突破し、20秒に1冊売れている!と、このまえ電車の広告で見ました。お読みになりましたか?
かくいう私もその1冊を買った者です。ちょうどタイムリーに『オトナの一休さん』で応仁の乱の絵を描くところでしたから。
しかし、自分に歴史の知識がなさすぎるのか、『応仁の乱 – 戦国時代を生んだ大乱 』は大乱が始まるまでの文章がちょっと不親切で、よく分からない固有名詞や、似たような名前がポンポン出てきて、名前も最初はルビがふってあるのですが、次のページからはなくなってしまい、なんという読み方だったかわからなくなり、余計に頭に入ってこない。でも文章自体は読みやすく、ツルツルと読めてしまう。ハタと気づくと何も理解できていない……という具合で、何度か途中下車してやろうかと思いましたが、我慢して読みました。その甲斐あってか、大乱が勃発した後は、わりと面白く読めました。
他の「応仁の乱」の本と読みくらべたわけでないので、この新書がどれほど画期的なのか、自分ではよくわかりません。
それでも、一休宗純が生きた時代がどんな時代だったか、その一端をうかがうことはできましたし、読んで損ということは絶対になかった。ただ、これがなぜそんなにベストセラーになっているかわからなかっただけで……。
という話がしたかったわけではないのです。『オトナの一休さん』シーズン2ですよ。
シーズン2では、親しい人たちとの死別、先ほど言った「応仁の乱」による世の中の混乱、一休自身の老いなどがからまりつつフィナーレに向かっていくでしょう(まだ絶賛制作中です)。でも一休さんは人目を気にせず笑ったり、泣いたり、怒ったり、自分がわからなくなったり、恋に落ちたり……あの調子でやってますので、最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします!
(第十四則「帰ってきた一休さん」)より(第十五則「一休、自殺を図る」より)(第十六則「一休さんは強がり坊主」より)
登場人物・キャスト
一休宗純(いっきゅう・そうじゅん)=板尾創路/養叟宗頤(ようそう・そうい)= 尾美としのり/蜷川新右衛門(にながわ・しんえもん)=山崎樹範/弟子たち/=夜ふかしの会
スタッフ
作 ふじきみつ彦/絵 伊野孝行/アニメーション 野中晶史 飯田千里 幸洋子 円香/音楽 大友良英 マレウレウ

10月のオトナの一休さん

6月にEテレで3話だけ放送された『オトナの一休さん』がレギュラーになって帰ってくる!

毎週水曜日の午後10時45分から放送です(10月5日スタート)。5分間番組なので、なかなか気合を入れないと見逃してしまいますので、ぜひ毎週録画の予約を入れておいてください。
世に広まっている一休さん像とは、すなわちとんち小僧。有名なアニメにより日本だけでなく海外でも人気があるとか。
ところが史実の一休さんはポクチンはしません。ではどんな人だったかって?それを再びアニメ化して伝えるのが『オトナの一休さん』なわけです。%e4%b8%80%e4%bc%91%e7%94%bb%e5%83%8f1
いや〜、本当にスゴイっすよ史実の一休さんは。アニメとして脚色している部分は当然ありますけど、基としている文献に書かれていることがすでに滅茶苦茶なんですから。
私は脚本を読んで、ディレクターとアニメーターと相談しながら絵にしているわけですが、あまりに面白い人なので自然に一休研究をしたくなってきます。本当にこんな人がいたんだな〜と、感に打たれます。勉強するなら今でしょ、なんですけど、何しろ私一人でアニメの絵を全部描かなくちゃいけないんで、なかなか時間が取れません。%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%96
そんな私が、だいたい想像するにですね……禅がロックだとすると一休宗純はパンクかな?ロックンロールの本質を思い出せ!っていうのがパンク、だと私は理解しているのですが、『オトナの一休さん』を見ると一休さんが伝えたかった禅の本来の姿が解る?いや、それすらも飛び抜けて自由?……描いている私にも未だハッキリとは掴めません。
無縄自縛(むじょうじばく)という言葉が『オトナの一休さん』には時々出てきますが、「ありもしない縄で己を縛るな」というのが一休さんのメッセージです。
◯10月5日第一則「クソとお経」
弟子たちが読経をしているところに現れた一休さん。持ってきたのは、まだ湯気が立っているクソ。その下にはなんとお経が!%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%96%ef%bc%91%e5%89%87%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%92
◯10月12日第二則「すずめの葬式」
涙を流しながら読経する一休さん。誰の葬式かと新右衛門がいぶかると、なんとかわいがっていたすずめの葬式だった!%ef%bc%92%e5%89%87-%e2%88%92%ef%bc%92%ef%bc%92%e5%89%87-%e2%88%92%ef%bc%91%ef%bc%92
◯10月19日第三則「思春期の一休さん」
新右衛門が一休さんのとんち小坊主エピソードをたずねると、兄弟子はそんなものは皆作り話だと否定。では本当の一休さんはどんな少年だったのか?
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◯10月26日第四則「ストリート禅問答」
一休さんと新右衛門が京の町を歩いていると、見知らぬ僧侶が禅問答を仕掛けてきた。「市中に隠ありや否や?(町の中で修行する僧などいるのか?)」さあ、一休はどう答えた?%ef%bc%94%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%97%ef%bc%94%e5%89%87%e3%83%bc%ef%bc%98
第一則〜第三則は6月に放送されたのでご覧になった方もいらっしゃると思います。第四則はなんと一休さんが歌っちゃうもんね〜。もちろん作曲は大友良英さん。お楽しみに!
配役やあらすじ、スタッフ紹介、ディレクター藤原さんと脚本家ふじきさんへのインタビュー、などは下記の番組サイトでどうぞ〜。

プリンセスの物語

毎週ブログを更新すると決めてしまったので、仕方なく今週も更新します。

アクセス数も横ばいで、いつまでたっても無名なまま。有名になりたいなんて気持ちはとうに消えてしまったけど、それでも業界で生き残っていくには、ある程度名が知られていないと、仕事を頼むときに思い出してももらえない。

それに有名だと何かしら楽なところもあるのではないかと推測する。あつかいや何かの面で。

先日もとある展示のオープニングに行ったときに、平澤一平さんがそこにいた若いイラストレーター(女性)に

「あ、〇〇ちゃん、紹介するよ、伊野くんです、知ってるでしょ?」と紹介してくださったが「知りません」とにべもないお返事だった。

(いくら興味がなくても、せめて本人を目の前にしたら「すみません、存じ上げなくて。私〇〇と申します」くらい言うのがそういう時の八百長ではないんかい……)と内心では思ったが、自分の口からは

「いえ、知らなくて当然です。知ってる方がおかしいです。私は、無名な人間なので」という言葉がスラスラ出てきた。逆にペコペコ頭を下げておいた。

きっとこちらの内心などはバレバレだろうし、よくある出会いの一例にすぎないようなことも、サラッと流せない自分のこのウザイ性格が、ほとほと嫌なのであるが、同じ業界の若手にも認知されていないようでは、まだまだオレも頑張らねばならない……という燃料にもなるのである。

はい、今週の枕はこれにて終わり。書かなくてもいいことまで書いて、余計に人気がなくなっちゃうよ……。照手姫1今週はずいぶん前に描いた絵を載せます。去年の仕事です。主婦の友社から出ている「頭のいい子を育てる」シリーズ。今回の本は『お姫様や魔女がいっぱいでてくるおはなし』です。絵は『照手姫と餓鬼阿弥』より。照手姫3もう一つはギリシャ神話より『アドリアネーの糸』です。アリアドネ1アリアドネ2どちらもプリンセスが主役のお話です。はい、そんなわけで今週はネタに困ったから、アップする機会を失っていたものでお茶を濁しました。

ついでに告知。大阪の「オソブランコ」さんで『一筆箋展』が開催されています(台湾にも巡回するってさ)。私以外の参加者の皆さん、クォリティ高いです。「リソグラフ」という印刷機を使って作るのです。そうするといい感じのチープな出来になるのです。上が仕上がりで、下がデータ。ちょっと青の指定が濃すぎたな。ino3伊野B見本伊野A見本伊野C見本

「一筆箋展」

会場 オソブランコ
(大阪市浪速区幸町1-2-36 2F)
会期 2016年9月3日~30日
時間 12:00-20:00 (土日祝-19:00) 水曜、第二土曜休日
あともう一つ告知あった。
毎年恒例の銀座のリクルートG8で開かれているTISの展覧会も今日より始まります。今年は『158人の漱石 百年後ノ我輩、こゝろ、それから……』にも出品しています。
2016年9月6日(火)~ 10月6日

クリエイションギャラリーG8〒104-8001 東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F TEL 03-6835-2260

11:00 ~ 19:00  日・祝日休館  入場無料

昔話法廷2016

昨年の夏、「もし昔話の登場人物が訴えられたら?」という斬新な企画とシュールな着ぐるみ(私は再現VTRの代わりに挿入される絵を担当していた)で大いに話題を集めたEテレの『昔話法廷』が今年も開かれる。

今回の裁判は「アリとキリギリス」「舌切りすずめ」「浦島太郎」の3本。放送は明日8月3日から。

昨年の放送した「三匹のこぶた」はドイツのミュンヘンで2年に一度行われる子ども番組のコンクール「プリ・ジュネス」で、世界各国の子どもたちの投票により第1位となり、「国際子ども審査員賞」を獲得したという。そして何故かグッドデザイン賞にもノミネートされたとかいう話も聞いたけど、私は結果を知らない。アリとキリギリス1修正この昔話法廷は人間が入った着ぐるみで裁判を行うので、絵も着ぐるみに合わせている。つまり、アリとキリギリスはあまり身長に差がない。アリとキリギリス3修正アリとキリギリスは昔から仲が良かった。ほら、子どもの頃はこうやって虫取りに夢中になったものである。虫のくせに……。さ、どんな展開が待っているでしょうか。裁判を乞うご期待。

舌切り雀1はい、お次は「舌切りすずめ」。アメリカの肥満児がアイスクリームを食べるように、すずめはおばあさんが米で作った洗濯のりを全部食べてしまった。舌切り雀11当然、おばあさんは怒り心頭!ヘッドロックで首を決めてすずめの舌を切った!確かに舌を切るにはヘッドロックしないとなぁ。浦島太郎1お次はご存知、「浦島太郎」なぜ浦島太郎が竜宮城に行ったかというと……浦島太郎5助けた亀に連れられて、なわけですが。これらの場面は今までに絵本などで繰り返し描かれたことでしょう。でも絵本には載っていない場面が「昔話法廷」では見られます。

「“アリとキリギリス”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月3日(水) 午前9:00〜午前9:15(15分)

「“舌切りすずめ”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月4日(木) 午前9:00〜午前9:15(15分)

「“浦島太郎”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月5日(金) 午前9:00〜午前9:15(15分)

みなさんよかったら見てね〜!再放送もあるし、ネットでも見られるようになる(教材番組なので)と思います。

一休さんと曾我蕭白

昨日は「オトナの一休さん」第1則が放映されました。みなさん、見てくださいましたか?

私はテレビの前で緊張して待ち構えていたのですが、急にあくびが出て、眠くなってきました。緊張すると眠くなるタチなのです。IMG_1632

でも、はじまったらすごく集中して見ました(我が家には録画機器がないので、その分余計に)。大友良英さんの音楽とマレウレウさんの歌がつくと、雰囲気が変わりますねー。良い意味で気持ちの置き所を安定させない、つまり無縄自縛(むじょうじばく)から解き放ってくれる音楽と歌でした。
放送前からネットで話題にしてもらっていて、番組の制作に携わった人たちで集まった時に、「ありがたいねー」と話してました。どれくらいの人が見てくれたかわかりませんが、たとえば、視聴率1パーセントでも120万人の人が見たってことになる(この計算は合っているでしょうか?)わけで、そう考えただけでも頭がクラクラしてきます。私が普段、主な仕事場としている出版の世界とはケタが違うので、なんだかおっそろしいです。
……こうやって、注目されていると思っている自分がすでに恥ずかしいです。結局自慢話になっているところが、さらに恥ずかしいです。自意識過剰気味ですので、今週のブログはあっさりこのへんで筆を置くことにします。ではバイバイ。

と思ったけど、もう一つご報告。IMG_1621

先日「本の場所」で行われたトークショー、ご来場くださった皆様ありがとうございました。曾我蕭白の本物の絵を、ガラスケースも何もない状態で見ることができました。円山応挙も伊藤若冲も与謝蕪村も1点づつ出てました。コレクターの方の心の広さに感謝であります。トークは南伸坊さんが7割くらい喋ってくれました。まだまだ私のトークベタは改善されておりません。「オトナの一休さん」が始まるから気をつかっていただいたのでしょうか、会場のメインには曾我蕭白の描いた一休さんの肖像画(南伸坊さんと私の間にある絵)が飾られておりました。
曾我蕭白は「曾我蛇足十世」を名乗っていました。つまり自分は曾我派の開祖、曾我蛇足の十代目であると。これは蕭白による全くのデタラメなんですけど、実はこの曾我蛇足という人、室町時代に活躍した絵描きで、一休さんの弟子でもあったのです。そして一休さんは曾我蛇足の絵の弟子でもあったようです。お友達みたいな関係でしょうかね。一休さんの肖像画というのはいっぱいあるんですけど、曾我蕭白の描いた一休さん、全然似てないんですよね、笑っちゃうくらい。ハイ、おしまい。

特報!オトナの一休さん

Eテレで新感覚アニメ「オトナの一休さん」はじまります!アニメの絵を描いております。まずは6月に3本放映!

みなさんご存知の名作アニメ「一休さん」は日本だけでなく世界でも人気があり、特にお隣、中国では「最も親しみのある日本アニメ」というくらいに評判がいいらしいです。ところがちょっと待った!史実の一休宗純(1394~1481)は、ほんとは可愛らしいとんち小僧なんかではないのです!とんち小僧のイメージは江戸時代の説話集『一休咄』からつくられたフィクションなのです。

ZEN…それは究極の自由…すべてのしがらみにZENZENとらわれるな!

op2史実の一休さんは、禅宗の僧侶ながら、破戒の限りを尽くし、ぶっとんだパフォーマンスで室町時代の都びとをあっと言わせた人物であります。その、一見悟りとは無縁に見える一休の言葉や行動のすべてには、見てくれや形式にとらわれて安心する「無縄自縛(むじょうじばく)」な人々への身をもってのメッセージが込められているのでした。常軌を逸しためちゃくちゃな行いの中に、実は深〜い禅の教えがあったのです!「オトナの一休さん」は、知らず知らずに縛られている我々現代人の心を解き放ち、一日の終わりに見ることで、笑ってラクになれる5分間アニメなのです!1則−11第1則「クソとお経」放送予定日 6月6日(月)23時50分~55分 再放送6月16日(木)22時45分〜50分2則 −2第2則「雀の葬式」放送予定日 6月8日(水)22時45分〜50分 再放送6月20日(月)23時50分〜55分3則ー 5第3則「思春期の一休さん」6月13日(月)23時50分~55分 再放送6月22日(水)22時45分〜50分op4

「はまり役」という言葉がありますが、この「オトナの一休さん」の絵、120パーセント自分の素の部分で描ける感じがして、ノリノリです。「当たり役」にもなってほしい。そうすれば私もちょっとは有名になれるかもしれませんしね…。
「オトナの一休さん」は一休宗純の自作の漢詩集『狂雲集』や弟子たちがまとめた『一休和尚年譜』などを元にしています。
脚本はふじきみつ彦さんです。
まずはこの脚本がなければはじまりません。コント台本や不条理劇の脚本で活躍するふじきさんの書きおこす一休さんが、本質は外さないまま、アップトゥーデートされていて、すごくおもしろいです。
絵を動かしてくれるアニメーターは
野中晶史さん、幸洋子さん、飯田千里さん
のお三方が、一人一本を担当。それぞれの動きの持ち味の違いも楽しめます。この方たちに動かしてもらわないとアニメになりません。元祖「一休さん」がアニメなんだから、「オトナの一休さん」もアニメでなくてはならんのです!
そして豪華な声優陣!

一休宗純=板尾創路さん

蜷川新右衛門=山崎樹範さん

養叟宗頤=尾美としのりさん

そんでもって音楽は大友良英さん

みんな〜見てね〜!喝ーっ!1則−26

ちなみにこれが、本当の一休さんのお姿であります。一休さんのお弟子さんが写生して描いたらしいですが、私は日本美術史上屈指の肖像画だと思っています。早く国宝に指定すべきでしょう。
とんち小僧アニメ「一休さん」の中国人のファンの方が、この肖像画を見てこう言ったそうであります。「アイヤ〜!あの可愛い一休さんが、歳をとってこんなオジさんになっちゃったんだ〜」てね。IMG_1602

 

モランディ/長沢節

モランディを知ったのは20代の半ば頃、セツに通っていた頃だったかな?くわしい時期は忘れてしまったけれど、はじめて見た時はそりゃ驚いた。絵の冒険というのはチョモランマやアマゾンの秘境を訪ねなくても、ごく身近な庭のようなところで出来るんだなと思った。

練習曲がそのまま作品たりえるというか、細かい実験の差が、作品ごとの個性になっている。バッハの平均率クラヴィーア曲集を聴いてるようで気持ちいい。

バリエーションをつけまくった画家の絵よりも、逆にモランディの方が楽しめるかもしれない。同じような絵に見えるけど、みんな違う。間のとり方が無限にあるのを、目の前でやって見せてくれる。

先日、東京ステーションギャラリーにモランディ展を観にいったのだけど、意外に画集で見ていたときのほうが刺激的に感じた。ページをめくると次の作品がパッと現われる。その方がモランディの実験がくっきり見えた。

展覧会の広い部屋にずらっ〜と絵が並んでると、一つ一つの作品の差より、同じような絵が続くという空間の印象を先に受けてしまった。モランディの絵を並べるのはむつかしいのかもしれない。

いや、そのとき私は少し急いでいた。そもそもそんな見方はいけない。急いでいる奴には気づかない時間を押し広げて、そこで仕事をしているのがモランディなわけだから。モランディ静物画っぽくモランディの肖像を描いてみた。この絵は「画家の肖像」という作品集に入っている。「画家の肖像」はハモニカブックスより発売中です。クリック↓

「画家の肖像」はいつのまにかamazonで買えるようになっているではないか!

……なんだよ、モランディのことを語り出したと思ったら、おいおい、宣伝か〜い!

オマケにもうひとつ宣伝じゃーい。小説すばるで連載中の「ぼくの神保町物語」第2回は「長沢節信者」と題して、セツに通いはじめた頃の話を書いてます。IMG_1498IMG_1511思い起こせば昨日のことのよう……であるが、なんと22年も前の話であった。そして先生が亡くなってからもうすぐ17年。あの頃から気分は全然変わってないので、昔話をしている感じがまったくしない。最近は作文を書くにあたって、あの頃のことをよく考えているので、なおさら昨日のことのようだ。IMG_1512絵の隅に”This picture on Mr.HozumiKazuo’s work”と書き入れましたが、この挿絵はセツの第一期生、穂積和夫先生がかつてお描きになられた「セツ・モードセミナー案内図」を下敷きに、っていうかオマージュ、っていうかパクリ……はい、そんな絵です。IMG_1513細かいところは色々私なりに……描いてます。今年はこの作文のことで頭がいっぱいです。

読み物の連載はじまる

今日は2月16日、そして当たり前のことですが明日は17日。明日発売の「小説すばる」3月号で連載がはじまります。それも読み物の連載です。さっきポストをのぞいたら明日発売の「小説すばる」がすでに届いていて、どっきり。連載開始のおしらせは来週する予定でしたが、ゲンブツを見てしまって落ち着かなくなりました。来週までこの気持ちを引きずるのが嫌なので、今週の更新でお知らせしてしまおう。掲載誌が届いてこんな気持ちになるのは、はじめてイラストレーションの仕事をした時以来かも……。さいしょ掲載誌を手にとって、眺めてみましたが、表紙にも背表紙にも名前がなく、期待の低さがうかがえて、とりあえずひと安心。はじめてこの文章を読む一読者の立場になって、読もうと思いましたが、すでに何回も読んでいるので無理でした。おもしろいかどうか全然わからない……。

『ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像』と題されたこの読み物は、去年の秋に、人形町のビジョンズというギャラリーでやった展示が元になっています。わたしが19年間働いていた神保町の街のことを絵にした展覧会だったのですが、展示にあわせて原稿用紙で20枚ほどの文章も書き、冊子にして会場で売っていました。

展示を見にきてくれた集英社の編集者の方が、この連載の形につなげてくれました。第一回は「憂鬱なコーヒーボーイ」というタイトルで、神保町で働きはじめた頃のこと、つまりそれは、わたしがイラストレーターになる決心をした頃の話であります。まだ、物語自体が動いていないので、おもしろくないかもしれないです(いいわけ)。

神保町のことを書いた本は、これまでにもありました。ただ、それらのほとんどは古書店のことを中心に書かれているので、喫茶店のボーイの目から見た神保町の話は、今までにないはずです。そしてそのボーイはイラストレーターになりたい男で、なるまでにすごく長い時間がかかりました。同じところで延々と働いているのは情けない気分にもなりますが、おかげで街の定点観測ができていました。その間に街は変わりました。なにより自分も変わりました。街の話だけではなく、通っていた絵の学校セツの話や、絵の話、イラストレーションの話も入って、どちらかというと、そっちが主であるかもしれません。

これをうまく書き通せば、そこそこの読み物になることは自分でもわかっているのですが、いかんせん長い文章なんて書いたことがないので、一番の悩みの種。文章も書いて絵も描く、というスタイルは憧れでもありましたが、文章の方に慣れるまで時間がかかりそう。毎回8000字くらい書かなくてはいけないのです。書きあぐねたら、半分まで文章で書いて、残りは漫画にするのもアリ……それくらいの楽な気持ちで臨んだほうがいいですね。与えられたページ数だったら、文章と挿絵を自由にしていいと言われています。つづくそんなわけで、1年間くらい続く予定。本屋で見かけたら立ち読みでもしてください。

 

 

 

ほろ酔い茂田井トーク

【おしらせ】「茂田井武 日本橋〜paris」オープニングほろ酔いトークイベントが 3月1日(火)19:00~21:30にあります。場所は日本橋のギャラリーキッチンKIWIでおこなわれますmotai

↓以下、KIWIのサイトより転載。

【トークイベントの内容】
 郷愁とユーモア溢れるイラストレーションで戦後に人気を集め、
 いま再び評価が高まる早世の天才画家・茂田井武。
 近年では、江國香織の『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』や『いくつもの週末』装画に『トン・パリ』(講談社)や『古い旅の絵本』(JULA出版局)絵が使われています。
 そんな茂田井武が、幼年から青年時代を過ごした日本橋本町。その地ならではのエピソードと絵、その後渡ったパリでの暮らしと創作活動についてなど、茂田井武の研究家でもある広松由希子さんと、自他ともに認める茂田井武ファンで、「芸術新潮」などで活躍中のイラストレーター、伊野孝行さんが語り合います。
 茂田井武も食べたであろう日本橋の老舗の味と選び抜いたお酒をご用意します。

 たっぷりのお酒+食いしん坊が選んだ日本橋の老舗のつまみとごはん/5,000円(税込)
 ※21時半以降はキャッシュオンで追加のお酒をお召し上がりいただけます。
 ※会期中に計3回、お酒とおいしいモノが楽しめるトークイベントを開催します。

【展示の内容】
 茂田井武が日本橋で過ごした幼年からパリの修業時代を含む貴重な資料と、ポスター作品、絵本などをゆっくりご覧ください。グッズ販売もあります。
 会期:2016年3月1日(火)〜3月28日(月)
【日時】3月1日(火)19:00~21:30
【定員17名

【ゲスト・プロフィール】
 ◎広松由希子(ひろまつ・ゆきこ)
 編集者、ちひろ美術館学芸部長を経てフリーに。 絵本の執筆、評論、翻訳、展示企画などをおこなう。ボローニャ国際絵本原画展やブラティスラヴァ世界絵本原画展など、国内外の絵本コンペの審査員もつとめる。著書に『おめでとう』『茂田井武美術館 記憶ノカケラ』(講談社)「いまむかしえほん」シリーズ(全11巻 岩崎書店)など多数。
poche(絵本家 広松由希子のHP)

 ◎伊野孝行(いの・たかゆき)
 イラストレーター。1971年、三重県生まれ。スタイルにとらわれず自由に描くことをモットーにいろんな媒体で絵を描く。「芸術新潮」で『ちくちく美術部』、「小説すばる」3月号から『ぼくの神保町物語』を連載開始。第44回 講談社出版文化賞(2013年)第53回 高橋五山賞(2015年)。著書に
 『画家の肖像』(ハモニカブックス)など。 
「伊野孝行のイラスト芸術」

お申し込み・お問い合わせ▶▶▶
 ※メールフォームで送信できないときは、info@kiwi-lab.comへ直接ご連絡ください。

↑以上ここまでKIWIのサイトより。

e88c82e794b0e4ba95e6ada6efbc91この絵は茂田井武が「新青年」という当時最もモダンな雑誌に描いていた挿絵です。子どもの世界だけではなく、こういうあやしげな雰囲気の茂田井さんも私は大好き……というか、茂田井武はわたしの中では最重要画家の一人であります。でも日本美術史の本を開いても茂田井武の名前を見つけることはむつかしいでしょう。だから美術史なんて真剣には勉強する気がしない……という言い訳が成り立って、ますます私は勉強しなくなりそうです。しかし、歴史というものは固定されたものではなくて、常に書き換えられる可能性をもった生き物なので、いつかわたしの好きな画家たちにスポットが当たる日もくるかもしれない。でも、あんまり有名になって欲しくない。そんなわがままなファン心理……。

トークをご一緒する広松由希子さんは、茂田井さんのことをずっと応援し、研究していらっしゃるので、わたしは色々聞きたいことがあります。わたしは単なるファンなので、いいな〜、こんな風に描きたいな〜、う〜ん、どうやっても描けっこねぇや……だってオレは茂田井武じゃないんだもの……仕方ない……そんなことを繰り返しているだけ。

茂田井武はいかにして茂田井武になったのか?わたしはよく知らないままだ。日本橋の「越喜」という大きな旅館の次男坊として生まれた。戦前という時代はカラー映像で見ると、たいそう美しい。やがて実家の稼業は傾き、茂田井青年はパリへ渡り、日本に戻って「新青年」などで絵を発表しはじめる。その間、茂田井さんはいろんな仕事につきながら生活苦というのも舐めている。ざっと、こんなことくらいしか知らないけれど、もっと広松さんに教えてもらおう。e38282e3819fe38184e3819fe38191e38197

↑「伊野孝行ゑがく茂田井武」

さて、KIWIのトークイベント。

「たっぷりのお酒+食いしん坊が選んだ日本橋の老舗のつまみとごはん/5,000円(税込)」

高けぇ!と思った方も多いでしょうが、KIWIの主人、畠山さん(編集者)に聞くと、

「日本橋弁松の弁当、鮒佐(浅草橋のほう)の佃煮など、日本橋ゆかりの味をセレクトしようかと思っています。他にキッチン付きのスタジオとして、前もって作れる料理(当方イベントの定番料理)は用意したいなとも思っていて、料理担当と相談しています。既製品でも調理するものでも、うまいものを出しますのでご安心ください。」

たっぷりのお酒ってどれくらいですか?

「よく飲む方はベロベロになります。飲まない方には、ペリエ、アップルジュース、ご希望があればあたたかいお茶もご用意しています。」

つまり、食べて、飲んで3,000〜4,000円くらい払うバル並みの満足感はあるということじゃないか。そう思えば高くない!それにわたしは畠山さんとは親しいのだが、畠山さんが連れて行ってくれるお店、畠山さんが鍋会に持ってきてくれる食材というのは、必ず美味しい、ということをご報告しておこう。

というわけで、茂田井さんも食べたであろう、日本橋ゆかりの味をあじわいながらの、茂田井話いかがでしょうか?

長々と宣伝御免。

 

 

わたしと街の物語(終)

あー、展示が終わった、終わった!来てくださった方、ほんとうにどうもありがとうございました!!
人形町は江戸の中心地だけど、イラストレーションのギャラリーが点在している青山界隈(江戸の田舎)からはちょっと離れている。
気合いをいれて見に行こうと思わなければ、行きにくいところかな?だから余計に来て下さった人には心から感謝しております。おかげで冊子も完売しました。便利なネットの世の中だから、展覧会も、昔とはやる意味合いがちがうと思っています。単なるプレゼンの場ではないし。イラストレーションの仕事は自分からはじまることはない。でも展覧会ならゼロから自分ではじめられるのが楽しいところ。

綺麗なフォームで跳べるハードルなんて用意しても意味はない。跳べるか跳べないか危うい高さに設定すると面白いと思う。たとえ着地に失敗しても、そこは成功と大差ない地点になっているはずだ。すべてはテーマの決め方による。テーマは「お題」とはちがうな。モチーフを探しにいかないと。自分にむかって外からやってくるものに対して、自分の中からも盛上がってくるものが出てくる。ぶつかりあって作品が生まれるように仕向けてくれるもの、それがいいテーマだと私は思う。
自分のことは自分がいちばんわかっているつもりでいるから、逆に意外なテーマはみつけられなかったりする。実際、今回のテーマは自ら進んでやろうとは思わなかったもの。

ここのギャラリーでイラストレーターの展示を企画しているKさんに話を持ちかけられたとき、19年間バイトしていた街の話なんて、文章にはしてみたいと思ったけど、絵にしようなんて思わなかった。神保町の話なのに人形町でやるなんてややこしい、なんて最初はゴネてた。
でも、やって良かった。
意識しないでも人は街とともに生きていることが判明した。

とってもパーソナルなことばかりで、どれだけ人に伝えられるか苦心したけど、考えてみれば表現や芸術というのは、それが基本だと改めて思いました。ロンドンを描いた大河原健太君も、この展示のために絵がガラッと変わった。変わらざるをえなかった。それはテーマをこなすために。それがイラストレーターである。いつもの手慣れた手法を捨てて、愚直とも思える描写で、一年半いたロンドンの街や人を描いてくれました。
とてもカワイイ絵ばかり。感じが伝わる。こういう絵ははじめて描いたって言ってたから、そりゃヘタッピなところもあるけど、ヘタな絵はいつも気持ちと共にあるのです。技術は気持ちを伝えるためにあるべきで、ウブな気持ちをわすれた技術は空虚だろう。

技術なんてものは工夫してるとすぐに身につくものである…とヘタを装うテクニシャンのわたしは思うが…。大河原君にもこの展示が意味のあることになってもらわないと、引きずり込んだ私は寝覚めがわるい。今回も昔のバイト仲間が見に来てくれた。みんな絵に興味があるわけではないから、これまでの展示はちゃんとおもしろがってくれたのか心もとないが、今回はみんなが最も共感できる内容のはずだ。たとえバイトであっても仕事は楽しいにこしたことはなく、彼らがいたことで僕も楽しかったから、ちょとした恩返しができたことが、オマケとして良かった。

見慣れた街の風景を自分のアングルで描いたら、そこで過去にすでに会っていた人と、もういちど再会するような出来事もあった。それはまたお話する機会があれば。
おわり。

 

 

わたしと街の物語(開催中)

秋本番。一年を通してもっとも好きな季節である。真夏の猛暑日は近所のスーパーに行くだけでも、シンドイ。生き物にとって温度は生死に関わる条件であり、事実、熱中症で亡くなる方は大勢いるのである。今こそが、活発に行動してなおかつ快感を得られる時期である。さぁ、《伊野孝行×大河原健太 わたしと街の物語 神保町とロンドン》を見に出かけよう!23日初日。オープニングパーティーでにぎわう会場。当然のことながらほぼ知り合い。挨拶する大河原健太氏。「矢沢はさぁ…」と言ってそうな横顔の雰囲気が、この写真にはある。有名人と写真をとるときは腰をかがめて小者感を出すべし。古いつきあいの友人(おもに遠藤賢司ファンで構成されている)たちと。横からピースサインを出そうとするタイポグラフィの巨人。二次会で大河原君に説教されているのだろうか。神妙な顔つき。ナウなヤングに人気の大河原健太作品。伊野孝行作「イラストレーター残酷物語すごろく」に我が人生を重ねあわせて見入る中年男性。伊野孝行作「コーヒーボーイの日記帳」を笑いをこらえながら読みふける、小澤征悦に極似の中年男性(田嶋健さん)。いつも心にあたたかい太陽をもつ詩人、ロックンイラストレーターの小林ヒロアキさんも、大枚をはたいて新幹線で来てくれた。27日は関川夏央さん大竹昭子さんをゲストにむかえてのトークショウ!満員御礼。芸術家は才能で生きていると思ったら大間違いで、義理と人情によって生かされているのだ、とあらためて思わざるをえない。来てくださったみなさまありがとう!恩に着ます。背骨があしらわれたTシャツは、さきほど横からピースサインを出していたタイポグラフィの巨人、小宮山博史先生である。小宮山先生の発案でこのギャラリーのイラストレーター企画展は出発したのであった。会場は5分に一回爆笑の渦につつまれた。関川夏央さんによるロンドン時代の夏目漱石の話、大竹昭子さんによるニコラ・ブーヴィエが書いたの30年代の神保町の話など、タメになるお話をしてくださった。イラストレーションとアートは違うのか?エッセイと小説は違うのか?…答えは会場に来た人にしかわからないが、芸術の本質はすべて同じであることが判明した芸術の秋ではなかったか…。お客様の中に内田春菊さんがおられ(もちろん関川さんのトークを聞きに来られた)トークショーを聞きながら描いたスケッチを見せていただく。おもわず写メをとらせてもらう。期間中はお菓子などの差し入れを頂くこともある。箱詰めのクッキーの間に黒い紙でできた緩衝材があったので、カツラがわりに遊ぶ。いや〜、展示期間中というのは気が張りつめていて、ただぼ〜っと会場にいてもクタクタに疲れるのである。誰も来ないとよけいに疲れが出るのである。こんなことでもしないと気分転換ができないよ…。みなさん来てね!10月3日までやってます!

Vision’s presents The Illustrator’s Gallery Vol.3 わたしと街の物語その1 伊野孝行+大河原健太「神保町とロンドン」

 

 

わたしと街の物語(初日)

毎週火曜に律儀に更新されるだけがとりえのこのブログ。昨日はさぼってしまった。というのは昨日は展示の搬入で疲れたから。で、昨日が搬入ということは今日(9月23日)が〈わたしと街の物語  伊野孝行+大河原健太「神保町とロンドン」〉の展覧会初日ということではないか!

人形町VISON’Sの空間は広い!HBギャラリーの3倍はある。左の壁に飾られた絵は100号以上あるのだが、ぜんぜん大きく見えない…。自分のことばかり宣伝してきたが、この展示は二人展である。相棒の大河原健太君は去年まで2年弱、ロンドンにいた。ワーキングホリデービザを使ったということである。絵はロンドンの《Waterlooで見かけたグラフィティ》だそうだ。足はスタッフのKさん。ついでに大河原君の作品を何点か紹介しよう。奥に見える青いシャツの男性が大河原健太君です。今まで、シンプルで強い絵を版画やシルクで描いていたが、今回は愚直なまでにロンドンの町や人を描いております。

搬入の日の朝まで作業していたようだ。フィキィサチーフ(定着材)をかける余裕がなかった、とか言いやがって、作品を持つたびに手が汚れた。初日に早く来て、フィキィサチーフをかけるという。ちなみにフランスではオープニングパーティーのことを「ヴェルニサージュ」と呼ぶ。ヴェルニとはニスのことで、油絵に仕上げのニスを塗る日、という意味である…なんてことを長沢節センセイに聞いた覚えがある。上が大河原健太作、ロンドンの地図。下は伊野孝行作、神保町の地図。まん中は何の絵でしょう?こんな絵もある。伊野孝行作《コーヒーボーイの日記帳》。拡大しても読めないとおもうので、是非いらしてください。会場の広さにおびえて二人はやや作品を多く描きすぎた(笑)二人あわせて70点くらいある。さて、これを読まなきゃはじまらない「わたしと街の物語」の冊子。僕と大河原君の作文と挿絵が入って、お値段なんと200円!(限定300部)200円くらい財布の小銭を集めたらあるでしょ?

本日(23日)は夕方からオープニングパーティーがあります。27日の関川夏央さんと大竹昭子さんをむかえてのトークショーは残りのお席が少なくなってきました。確実に座ってお聞きになりたい方は早めのお申し込みを。

下記のビジョンズのホームページから予約できます。
Vision’s presents The Illustrator’s Gallery Vol.3 わたしと街の物語その1 伊野孝行+大河原健太「神保町とロンドン」