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伊野孝行のブログ

僕おしゃ六本木ナイト

講談社の「ベストカー」(日本で最も発行部数の多い車の雑誌だという)で連載されている藤田宜永さんのエッセイに絵を添えています。タイトルは『僕のおしゃべりは病気です』。藤田宜永さんは、長髪にサングラス、ロッカー風ないでたち……にもかかわらず、文壇一のおしゃべり男であるらしいのです。%e3%81%8a%e3%81%97%e3%82%83%e3%81%b9%e3%82%8a10%e5%9b%9e%e3%81%8a%e3%81%97%e3%82%83%e3%81%b9%e3%82%8a11%e5%9b%9e連載が始まって半年が過ぎたので、「このへんで顔合わせを……」という担当さんの提案で、先月だったか藤田さんと担当さんと六本木でお会いする機会がありました。藤田さんは普段は軽井沢に住んでおられるのですが、六本木には事務所があるそうです。僕がお店に行くとすでに担当さんは来てました。これから藤田さんが来られるのかと思うと緊張します。12%e5%9b%9e13%e5%9b%9eこの連載はおしゃべりの楽しさを説くエッセイなので、読んでいると藤田さんの気さくな人柄も伝わってくるのですが、やはり御本人に会うというのは緊張します。約束の時間に藤田さんはやってきました。写真で見る通りのロッカースタイル。背が高くて足が細い!昼間は講演会で夏目漱石についてしゃべりたおしてきたという藤田さん、座談の名手のリードによって酒席は和やかに始まりました。14%e5%9b%9e15%e5%9b%9e担当さんは藤田さんのおしゃべりに反応しながらも、連載に使えそうなことをメモったりしています。プロです。僕の立場は何をするべきなのか。おしゃべりを聞いているだけでいいのか。おしゃべりはお互いしゃべりたいことを言って盛り上がるのが楽しいので、藤田さんもきっと独演会にしたいわけではないはず。よし!僕も何かしゃべろう。そのためには、まずは酒。自分は日本酒が一番酔いやすいので、グラスに三杯くらいいきました。%ef%bc%91%ef%bc%96%e5%9b%9e%ef%bc%91%ef%bc%97%e5%9b%9e%ef%bc%91%ef%bc%98%e5%9b%9e酔ってきた僕は、藤田さんを目の前にした時の第一印象を伝えました。「藤田さんの似顔絵を描くときに、画像検索してるんですけどね、最近の藤田さんはちょっとオバさんっぽい感じがあったんですが、いや、実際お会いしてみるとすごくワイルドでカッコイイです!」

あえて失礼なことを言った方が懐に入りやすいんじゃないかと思って……。

「ひやひやしましたよ」と後で担当さんが言ってましたが、藤田さんは僕の失礼も喜んで受けてくれました。二軒目のバーではさらに酔いも回り、「私、今小説すばるでエッセイ書いてるんですけど、文章書くってホント難しいです」などと直木賞作家と文章について話す機会を得たいがために、ぽっと出駆け出しの分際で、そんなアピールをしてみたり……。とにかく何を言っても確実に受けてくれる安心感が藤田さんにはあるので、ついつい失礼を重ねてしまう夜なのでした。

以上。藤田さんと飲んだという自慢話オワリ!

プリンセスの物語

毎週ブログを更新すると決めてしまったので、仕方なく今週も更新します。

アクセス数も横ばいで、いつまでたっても無名なまま。有名になりたいなんて気持ちはとうに消えてしまったけど、それでも業界で生き残っていくには、ある程度名が知られていないと、仕事を頼むときに思い出してももらえない。

それに有名だと何かしら楽なところもあるのではないかと推測する。あつかいや何かの面で。

先日もとある展示のオープニングに行ったときに、平澤一平さんがそこにいた若いイラストレーター(女性)に

「あ、〇〇ちゃん、紹介するよ、伊野くんです、知ってるでしょ?」と紹介してくださったが「知りません」とにべもないお返事だった。

(いくら興味がなくても、せめて本人を目の前にしたら「すみません、存じ上げなくて。私〇〇と申します」くらい言うのがそういう時の八百長ではないんかい……)と内心では思ったが、自分の口からは

「いえ、知らなくて当然です。知ってる方がおかしいです。私は、無名な人間なので」という言葉がスラスラ出てきた。逆にペコペコ頭を下げておいた。

きっとこちらの内心などはバレバレだろうし、よくある出会いの一例にすぎないようなことも、サラッと流せない自分のこのウザイ性格が、ほとほと嫌なのであるが、同じ業界の若手にも認知されていないようでは、まだまだオレも頑張らねばならない……という燃料にもなるのである。

はい、今週の枕はこれにて終わり。書かなくてもいいことまで書いて、余計に人気がなくなっちゃうよ……。照手姫1今週はずいぶん前に描いた絵を載せます。去年の仕事です。主婦の友社から出ている「頭のいい子を育てる」シリーズ。今回の本は『お姫様や魔女がいっぱいでてくるおはなし』です。絵は『照手姫と餓鬼阿弥』より。照手姫3もう一つはギリシャ神話より『アドリアネーの糸』です。アリアドネ1アリアドネ2どちらもプリンセスが主役のお話です。はい、そんなわけで今週はネタに困ったから、アップする機会を失っていたものでお茶を濁しました。

ついでに告知。大阪の「オソブランコ」さんで『一筆箋展』が開催されています(台湾にも巡回するってさ)。私以外の参加者の皆さん、クォリティ高いです。「リソグラフ」という印刷機を使って作るのです。そうするといい感じのチープな出来になるのです。上が仕上がりで、下がデータ。ちょっと青の指定が濃すぎたな。ino3伊野B見本伊野A見本伊野C見本

「一筆箋展」

会場 オソブランコ
(大阪市浪速区幸町1-2-36 2F)
会期 2016年9月3日~30日
時間 12:00-20:00 (土日祝-19:00) 水曜、第二土曜休日
あともう一つ告知あった。
毎年恒例の銀座のリクルートG8で開かれているTISの展覧会も今日より始まります。今年は『158人の漱石 百年後ノ我輩、こゝろ、それから……』にも出品しています。
2016年9月6日(火)~ 10月6日

クリエイションギャラリーG8〒104-8001 東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F TEL 03-6835-2260

11:00 ~ 19:00  日・祝日休館  入場無料

ちくちく…正直は美徳なり

「サザエさん」って本当いつ見ても最高!あ、もちろん漫画の方ね。今月号の芸術新潮は『こんなに凄かった!長谷川町子と「サザエさん」』特集で、長谷川町子てどんな人だったかがなんとなくわかるけど、町子さん、なかなか怖そうです。へぇ〜、と思うこと多々あり。これは買って読むしかないでしょう。

さて、それはさておき、芸術新潮を買うとオマケで付いてくる(?)連載「ちくちく美術部」はお読みいただいているでしょうか。FullSizeRender 6
この連載も16回目。今月号では群馬県立館林美術館の『再発見!ニッポンの立体』をマンガで展評しております。
展覧会の感想を言う場合、あえて大きく二つに分けるなら、作家や作品の感想を言うのと、展覧会の企画、見せ方の感想を言うのがあると思います。以前、東京国立博物館で開かれた『黒田清輝 日本近代絵画の巨匠』を取り上げて(第13回)、黒田清輝をめちゃくちゃクサしたんですけど、展覧会自体は良い……ていうか、ちゃんとしてました。黒田清輝の人と作品や時代がよく分かるナイスな展覧会でした。
ところが今回の『再発見!ニッポンの立体』は展覧会としてどうなのかなぁ……っていう。我々は外国人の設定でニッポンの立体を発見しに来たという体です。ま、詳しくは芸術新潮で。FullSizeRender 5というわけで、今週は展覧会の企画や見せ方に注目して「ちくちく美術部」の過去の部活動を少し振り返り、あ、こんな連載やってんだな、と知らしめるためのブログでございます。
東京都現代美術館の『オノ・ヨーコ 私の窓から』(第10回)も、惜しかったネ。すべての人に革命を呼びかけるオノ・ヨーコのユニークさを伝えるためにも、美術館にはシェフとしてあとひと仕事かふた仕事して欲しかった……という意味で美術館をレストランに見立ててそこに行くという趣向。FullSizeRender 4FullSizeRender 3
世田谷文学館の『浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる』(第11回)は浦沢マンガのパロディで。FullSizeRender
え?お前ら何様だって?……はい、芸人くずれ(とに〜氏)とポンチ絵描き(わたし)でございます。でもさ、「美術館の広報かよ!」って突っ込みたくなる展覧会の記事なんて、読んでてまーったく面白くないじゃん。自分がどう思ったか、正直に書くのが面白いんじゃん。正直こそ我々に出来る唯一の美徳でございます。
だから、ちくちくの名折れではあるけど、褒める時は褒めますよ。だっていい展覧会を観た時ってこっちも嬉しいもん。
東京藝術大学美術館の『ダブル・インパクト 明治ニッポンの美』(第3回)は規模は小さかったけど良かった。会場がもっと広くて、作品ももっと集められたら……っていう希望もあるけど、展覧会を実際に作る人たちは限られた予算や、制約の中でやっておられるわけだから、あまり求めるのは悪いのでありますが、それでもちゃんとした展覧会でした。荒波に揉まれる明治美術を双六風に描きました。IMG_1973
平塚市美術館の『画家の詩、詩人の絵   絵は詩のごとく、詩は絵のごとく』(第7回)これもすごく良かった。美術館の解説プレート読んでると、言葉で絵を説明する虚しさをしばしば感じることがありますが、それがない。なぜなら……FullSizeRender 2
担当編集者のR氏と相方のアートテラーのとに〜氏と3人で展覧会を見た後に、あーだこーだ、感想を言い合うわけですが、この時間が楽しいです。(ここで、あんまり盛り上がらないと、では、次の候補の展覧会を見に行くことになる)で、意見が出揃った後、その場で私はだいたいのラフスケッチを考えます。で、家に帰って、ちゃんとしたラフに起こして、自分のセリフを考える。ラフの絵を見てとに〜さんも自分のセリフを考える。編集者の赤字が入る、もう一度練り直す。タイトルや展覧会の概要は編集者のお仕事。それでネームがまとまったら、デザイナーに文字を流し込んでもらう。ふきだしの大きさや絵の位置など調整して本番の作画に進む。ちなみに明らかに私の方が作業量が多いのだが、とに氏〜と私は同じギャラです(泣)。
フキダシの中のセリフだけが感想ではなくて、マンガ展評なので、絵もまた一つの感想だと思って描いている、つもりです。

三十にして笑う

子曰く「三十にして立つ」と。大げさに言うと自分の思想のようなものが固まるのがこの時期だとすると、当たっていなくもないですね。自分が何者なのかようやく気付き始める頃が三十……。

小説すばるで連載中の「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」、7回目の今回は西暦2000年〜2002年頃の話。私は29歳〜31歳。タイトルは「三十にして立つ」をもじって「三十にして笑う」です。

初めての仕事を経験したり、売り込みに行っても相手にされなかったり、いろいろ世の中に揉まれるうちに、ちょっとはあった自信もおおかた消えてしまい、ついでに自分もこのまま消えたいような悩みのどん底にいたわけでございます。

もう、そんな惨めな自分を笑うしかないな、という意味の「三十にして笑う」なのでした。でも、この自分を笑うという態度が、今の「絵で人を笑わせたい」という姿勢につながっているので、振り返って見れば、雨降って地固まる的な意味合いがあったわけです。でも渦中にいる当時はそんなことわかりませんからね。IMG_1940「三十にして笑う」というタイトルと共に微笑む女性は、明治大学刑事博物館におわします〈鉄の処女〉の鉄子さんです。人間を処刑する道具です。IMG_1942私のデビュー作は地方紙の新聞小説の挿絵!しかし原稿料は ナ、ナ、ナント1点2000円!IMG_1943たまにこういう街の様子も入れないとね。神保町物語だから。実際の風景と心象風景が重なるように。IMG_19447回目にしてようやく、文章の書き方が少しわかってきたような……いや、錯覚かな?この連載は私のエッセイデビュー作でもありますので、文章って難しいものだなと実感すること多しです。でも、人並みの原稿料はいただいてます。さすが天下の集英社です。

世界満腹食べ歩き8~13

小説現代で連載中の岡崎大五さん『世界満腹食べ歩き』に、毎月絵をつけています。ずっと前に第7回までアップしてありました。間が空きましたが、今週はその続きです。

第8回は「シルクロードを行く前編」

〈妻に写真を撮ってもらおうと立つと、ウズベク人の観光客たちが集まってきた。「俺たちも入れてくれよ」イスラムの国では写真を嫌がる人が多いのに、ウズベクでは女性でも積極的に写りたがるのだ〉

という場面を絵にしてみました。

スキャン 1スキャン 2第9回はもちろん「シルクロードを行く後編」

後編は扉絵をコマ割りにして、ワイロを渡すハメになる珍道中をコミカルに。

〈四十二時間後、ようやく接岸。これでアゼルバイジャン入国かと思いきや、髭面の太ったイミグレの所長ときたら、入国スタンプを紐に通して首からぶら下げて、賄賂が嫌ならスタンプ押してやんないからね、と一人五十ドル請求してきた〉

スキャン 3スキャン 4

第10回は「アムステルダム・プチステイ」

オランダにはコロッケの自動販売機があるんだって。

コロッケはベシャメルソースで作るのが伝統的。正式にはクロケット。日本ではクリームコロッケ。

〈日本には明治初期に入ったが、当時日本は乳製品が乏しく、ソースが作れない。そこでポテトコロッケという、日本独自のコロッケが誕生したとか〉

へぇ〜知らんかった。

スキャン 5スキャン 7オランダの市街地は運河があるので、地図がタイヘン。

地図って、元になる資料があるから、カンタンだと思うかしれませんが、略図にするってことがめ〜っちゃタイヘンなんですよ。だって、どこを省略していいかわかんないし。特に都市の市街地なんて、道や鉄道がごちゃごちゃ走ってて、おまけにオランダは運河もあるんだもん。私は地図が苦手なんで、デザイナー、編集者の力を借りてなんとか……。

しかし、掲載サイズが小さいので、毎回達成感が感じられないよ〜。でもいくらサイズが小さかろうが、地図は間違ってはいけない。すべてのイラスト仕事の中で私が一番苦手なのは地図だ!

はい、お次は第11回「インドかぶれ」

4コマ漫画でインドで出会ったカレーの達人を紹介。いろいろやってます。

この回に登場するのは南インド料理なのですが、岡崎さんに、この店の味が本場のものに近い、と教えてもらったのが練馬の「ケララバワン」というお店。最近、東京では南インド料理のお店も増えてきたが、ここが草分け的存在のようです。美味しかった。

スキャン 9スキャン 10第12回は「おいしい記憶」

今回の地図はカンタンで助かった。

料理を描くのはそんなにタイヘンではないけど、描いてて気づいたのは、料理ってほとんど茶色系が多いですよね。でも食材は色とりどり。調理しちゃうと色が似てくるんですね。鮨が色とりどりなのは食材をそのままご飯に乗っけているからだな〜。スキャン 11スキャン 12第13回は「みそ汁だけ注文すればいい」

〈メニュー表を見て悩んでいると、年配のおやじさんが、いきなり新聞の上から顔を出し、日本語で話した。「みそ汁だけ注文すればいい」〉

韓国に旅行に行った人はわかると思いますけど、おかずがいっぱい付いてくるんですよね。

スキャン 13スキャン 14今回の掲載分の中で、私が行ったことがあるのは韓国だけ。

「講釈師、見てきたような嘘をつき」じゃないけど、毎回、岡崎さんから借りた資料(写真とスケッチ。岡崎さんの奥様は画家なのだ。奥様が同行した旅は記録のスケッチがある。これを見るのが楽しみ)と画像検索で、なんとかその国らしさと文章の場面を演出しております。

毎回地図を描き、資料を眺めていると、けっこう思い入れが生まれてくるので、いつか行ってみたいと思うようになります。でも、私はとにかく尻が重いので、そんな旅行はいつになるのでしょうか。

※ブログを見直していたら「世界満腹食べ歩き」、前回は第8回「シルクロードを行く前編」までアップしていたようだ。ダブってしまった。なんかそんなような気もしていたが。でもこのままでいいや。

神社100選 カミとは何か

今売っている芸術新潮は創刊800号記念特大号として「神社100選」という大特集でございます。

今号でもちょこちょことお手伝いさせてもらってます。以下の絵は神様のお使いの動物たちです。他にもニワトリや、ウサギ、ウシ、オオカミ、ウナギなどがいます。鹿八咫烏蛇猿狐亀鳩え?いつもの私らしくない?輪郭線がないだけで、やってることはいつもと同じですね。小手先の変化に過ぎませんな。私はいつも思っています。いろいろなタッチで描いたって、ほとんど同じところを回ってるだけだって。IMG_1774あとはいつものポンチ絵です。IMG_1776「連載がお休みなんで」というのは「ちくちく美術部」のことです。大特集なので、いろんな連載がお休みです。連載って打ち切りになると悲しいけど、一回休みの時ってホッとします。ちょっと本居宣長先生の言葉が見えてますがここでは「カミとは何か」を知るページになっています。今の神のイメージとはだいぶ違いますよ。IMG_1781『常陸国風土記』をマンガにしたりしています。谷間を拓いて水田にしようとしたら、夜刀(やと)のカミが邪魔しにきます。マンガに描いてある蛇みたいなのが夜刀のカミです。夜刀とは谷間の意味だそうです。カミを人間は打ち殺し、追い払います。で、マンガのセリフにあるように、敬って祭りを行うようになります。ところが……IMG_1782それから150年あまり経ち、貯水池の堤防工事をしている時に、もう一度、夜刀のカミが邪魔にしにきた時は「かまわん、魚や虫の仲間にすぎん。恐れず皆殺しにしろ」なんて言われてしまいますからね。古代においても、神に対する人間の態度が微妙に変わってきております。

 

このブログではあまりお見せしていませんが、今号お休みの「ちくちく美術部」というのはこういうページ。これは先月号のものです。何号か前から最終ページに移動したので、目立つようになってしまいました。前は2色ページの中にあったので、人知れずちくちくしていたのですが。

この回は高島野十郎展の展覧会評です。感服してちくちくするどころではありませんでした。次号の「ちくちく美術部」は関東のとある美術館に取材に行ってきたのですが、ちくちくがほとばしることになると思います。発売されたらご覧ください。

本日はまた、ちくちくを求めて取材に出ます。電車に揺られること約2時間。どこに行くかはヒミツです。のんびりした夏の小旅行になりそうです。IMG_1778

昔話法廷2016

昨年の夏、「もし昔話の登場人物が訴えられたら?」という斬新な企画とシュールな着ぐるみ(私は再現VTRの代わりに挿入される絵を担当していた)で大いに話題を集めたEテレの『昔話法廷』が今年も開かれる。

今回の裁判は「アリとキリギリス」「舌切りすずめ」「浦島太郎」の3本。放送は明日8月3日から。

昨年の放送した「三匹のこぶた」はドイツのミュンヘンで2年に一度行われる子ども番組のコンクール「プリ・ジュネス」で、世界各国の子どもたちの投票により第1位となり、「国際子ども審査員賞」を獲得したという。そして何故かグッドデザイン賞にもノミネートされたとかいう話も聞いたけど、私は結果を知らない。アリとキリギリス1修正この昔話法廷は人間が入った着ぐるみで裁判を行うので、絵も着ぐるみに合わせている。つまり、アリとキリギリスはあまり身長に差がない。アリとキリギリス3修正アリとキリギリスは昔から仲が良かった。ほら、子どもの頃はこうやって虫取りに夢中になったものである。虫のくせに……。さ、どんな展開が待っているでしょうか。裁判を乞うご期待。

舌切り雀1はい、お次は「舌切りすずめ」。アメリカの肥満児がアイスクリームを食べるように、すずめはおばあさんが米で作った洗濯のりを全部食べてしまった。舌切り雀11当然、おばあさんは怒り心頭!ヘッドロックで首を決めてすずめの舌を切った!確かに舌を切るにはヘッドロックしないとなぁ。浦島太郎1お次はご存知、「浦島太郎」なぜ浦島太郎が竜宮城に行ったかというと……浦島太郎5助けた亀に連れられて、なわけですが。これらの場面は今までに絵本などで繰り返し描かれたことでしょう。でも絵本には載っていない場面が「昔話法廷」では見られます。

「“アリとキリギリス”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月3日(水) 午前9:00〜午前9:15(15分)

「“舌切りすずめ”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月4日(木) 午前9:00〜午前9:15(15分)

「“浦島太郎”裁判」
NHK Eテレ 2016年8月5日(金) 午前9:00〜午前9:15(15分)

みなさんよかったら見てね〜!再放送もあるし、ネットでも見られるようになる(教材番組なので)と思います。

手抜き/この一週間

最近ブログが手抜き気味ですが、今週も手抜きです。

ウラン堂の仲間たち20名の作家による“しあわせのスカーフ”展(期間/2016年4月30日〜6月19日……つまり、もう終わっている)に参加した時のスカーフとバンダナです。ウラン堂は兵庫県西宮市にあるギャラリーで、以前「画家の肖像」の巡回展をさせてもらいました。IMG_1752マン・レイのスカーフとゴッホのバンダナ。絵のチョイスもデザインもウラン堂さんにおまかせしました。IMG_1750続きまして、双葉文庫の早見俊さんの時代小説『千代之介御免蒙る 江戸の華』のカバー担当しました。デザインは長田年伸さん。花火こちらは販売促進用のポップ。デザインはビーグラフィックスさん。IMG_1729お次は「ダンチュー」で描いた東海道五十三次ならぬ東海道五十三杯の旅。IMG_1730IMG_1731IMG_1732IMG_1733IMG_1734IMG_1735はい、以上でございます。

【この一週間】

ふと、手抜きでは悪いな、と今思いついたが、このブログは毎週更新しているので、その週の出来事を毎回記しておけば、後で見返したときに、あぁ、あの時のことか、と思い出すよすがになるかもしれない。ブログを始めて8年近くになるが、かわりに日記を全然つけなくなった。

◯今週はポケモンGOでしょ。もちろんやってませんよ。私は永遠の少数派でありたい。主義とか関係なく少数派でいたい。ポケモンGOに限らず、他人に用意されたもので楽しむ、っていうのがなぁ。

◯芸術新潮の「ちくちく美術部」の取材で「しりあがり寿の現代美術 回・転・展」を観に行った。あまりちくちくポイントがなく(つまりそれは面白いってこと)来週また別件を取材に行く予定。練馬区立美術館と同じ敷地にある、公民館みたいな施設の2階の「月の風」というレストランが良かった。公民館みたい、と侮ることなかれ。

◯大橋巨泉さんが亡くなったとの報道。数年前、巨泉さんの本に似顔絵を描いたことがあった。巨泉さんから弟さん、弟さんから編集者、編集者から私へという経由で感想をもらったことがある。「こんなジジィに描かなくったっていいじゃない」とのこと。若い頃のイメージに近づけた。間接的であれ、巨泉さんが私の絵を見て感想をおっしゃったということは一庶民としては記念すべき出来事だ。

◯我らが灘本唯人さんがお亡くなりになった。90歳。数回カラオケをご一緒させてもらったことがあるが、私と灘本さんの歌いたい曲がかぶるようで、北原ミレイ「石狩挽歌」他、私のリクエストはよく灘本さんに歌われてしまった。「先生、それは私が入れた曲でして……」と言うと「あらぁ、それは失礼」と譲ってくれるのだが、今度は、私が歌っている最中に、歌唱に対するダメだしに励む先生なのであった。

※この近況のようなものは続くかな?続かないかも。巨泉扉

卒業

早いもので小説すばるで連載中の「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」も、もう6回目。当時の年齢でいうと28〜29歳のあたり。西暦でいうと1999年〜2000年。今回のタイトルは「卒業」ということで、居心地よすぎて、ずっといたかったセツ・モードセミナーからの卒業を書いています。卒業というか、セツ先生が突然亡くなっちゃったんです。自転車でコケて。ぼくに最後にかけてくれた言葉は「お〜い!おとーさーん」でした。なんだそりゃ。しかし、もう17年前の話か……。IMG_1726今回の枕は、駿河台の丘について書いています。歌川広重と宮田重雄の絵から、御茶ノ水を見てみると……。IMG_17271999年、最後の大原スケッチ旅行。先生は、自転車で移動中に転んじゃったのです。いくら元気でも80過ぎたら自転車に乗るのはあぶないね。

今の小説誌ではほとんど見開きの挿絵がないので、毎回無理やりにでも入れています。IMG_1728御茶ノ水界隈にあった文化学院。ここは長沢節の母校でもあります。今は、文化学院自体がここにない。

作文するにあたって、文化学院の創設者、西村伊作の評伝、黒川創著「きれいな風貌」を読んだのですが、長沢先生が通っていたのは、ちょうど校舎を建て替えている頃かな?というのは大正12(1923)年に関東大震災で一度壊れてしまって、その後、とりあえず簡単な校舎を建てて再開、挿絵に描いた校舎は昭和12(1937)年の完成。長沢節の入学は昭和10(1935)年だから、先生がいた時はずっと工事中だったかもしれない。

ドラゴンズ漫談

今まで一度だってプロ野球の試合を見に行ったことがありません。一度だけチャンス(?)はありました。中学の修学旅行で東京にやってきた時、後楽園球場で、日本ハム対南海だったかの試合を見る予定が組まれていたのですが、雨で試合自体が中止になってしまいました。東京ドームが出来る前の話ですね。当時のパ・リーグは、野球音痴の私から見ても人気がないように見えたし、事実、野球好きの友達の間からも、がっかりしたような様子はほとんど感じられなかったと思います。IMG_1719ドラゴンズ漫談1私の故郷、三重県津市では、野球ファンは大まかに、中日ドラゴンズファンと阪神タイガースファンで二分されていた記憶です。私は野球自体に全く興味がなく、運動神経もゼロでした。それでも人間の付き合い上、野球はしなくてはいけないものだったので、いやいや、やっていました。興味のあるふりをしないと付き合いが保てない気がして、野球帽もかぶっていました。でも、贔屓の球団があるわけではないので、古いアルバムを見ると、中日、阪神、巨人と節操なくかぶっています。このころの付き合いのしんどさを比べると、大人になってからの付き合いなど、屁みたいにたやすいものです。IMG_1720

今日、ブログに載せた絵はポプラ社の「asta」という広報誌で、企画されている「中日ドラゴンズ80周年記念企画」で広小路尚祈さんの読み切り短編小説につけた挿絵です。
ふだんあまり用いない技法で描いています。言うほどのたいした技法ではありませんので、秘技ということにしておきましょう。過去に玉袋筋太郎さんの文庫カバーでこの手を使いました。玉ちゃんの

うなぎと京都

「メンズクラブ」から初めて仕事をもらいました。女性誌の仕事もたまにしかないけど、男性ファッション誌となると、4、5年前に「ポパイ」に描いて以来……と言っても、絵の内容は、他の雑誌で描く時とおんなじですけどね。相変わらずのコマ絵です。うなぎ1「メンズクラブ」はうなぎの特集ページでした。うなぎの待ち時間を、接待相手や上司との濃密な会話に使うもよし、事前予約で、即うな重登場と仕込むもよし、という内容です。

私の実家のある三重県津市はうなぎが美味しくて有名なところなのです。昔は養殖が盛んだったんだっけかな?……忘れました。

味は関東のうなぎと違って蒸さないので、皮がカリッと香ばしい。特上にすると、うなぎがこれでもかってくらいに入っている。東京の店と比べるとものすごく安い。しかし、私は東京に来て、蒸してから焼く関東のうなぎを初めて食べた時は、別次元のうまさを感じました。うなぎって、やっぱり蒸してから焼く方が美味しいですよね?京都マナー1と2続いてこちらは「日経おとなのOFF」の京都特集に描いたマナーの絵です。なんにでも「さん」づけで呼ぶとか、一見さんお断りの意味とか、そんな京都ならではの独特のマナー。京都マナー3〜5ちなみに、私は京都人とか江戸っ子とか、そういうのって苦手だなぁ。はいはい、たまたま生まれたところがいいところで良うござんしたね。

早くも夏バテで、ブログもあっさり更新でございます。

当世百鬼夜行絵巻

福音館書店「母の友」8月号では「やっぱり妖怪が好き」という特集が組まれております。

実は「妖怪」という言葉は明治になって作られた学術用語だったというのを、みなさんご存知でしょうか?私はなんとなく知っていました。なぜなら、私の通っていた某三流私大の創設者が「妖怪学」というのを提唱したからです。創設者は井上円了という人です。しかし、妖怪学を提唱したからといって、水木しげるさんのような方を想像してはいけません。むしろ立場的には逆です。井上円了は近代化する日本において、迷信は排除するべきものとみなし、妖怪こそが迷信の最たるものだと、と主張したのです。なんだ、つまんねぇ奴じゃないかと思ってしまいますが、当時は病気になっても原因はキツネの仕業だと、マジで言ってた人もいたわけですからね。キツネじゃないよ、タヌキでもない、栄養をよく取り、衛生面に十分気をつけることこそが肝心じゃ、と蒙を啓いたことは、良いことであります。IMG_1660で、私は読み物のページで、6ページにわたり、「当世百鬼夜行絵巻」なるものを描いています。

「ここは、とある町外れの空き地。時刻は草木も眠る丑三つ時。乱暴にうち捨てられたモノたちが、不思議な力で妖怪になり、人間たちに復讐しようと行進を始めました……。」

IMG_1661日本の妖怪の百鬼夜行に欠かせないのは、付喪神ですよね。古道具の化け物です。作られてから百年経つと道具は妖怪に化けるらしいです。え?このギター、ビンテージ?なんて突っ込まないでくださいね。そこは当世流のゴミにしないといけないので。IMG_1662当世百鬼夜行に欠かせないのは、ビニール傘ですよ。これはもう絶対に外せない。骨がひん曲がって、妖怪みたいになった傘が捨ててあるでしょ?IMG_1663携帯電話ってのも、機種がどんどん変えられて、捨てられて、十分付喪神になる資格があります。しかし、そんな殺伐とした妖怪の世界にも小さな愛の世界があるかもしれない。別れても好きな人。IMG_1664ものだけじゃないんですよ、ペットも捨ててはいけません。最後まで責任を持って飼おう。でも、亀にとっては狭い水槽の中で一生を終えるより、池に放たれた方が幸せなのかもしれないですね。ミドリガメが幅をきかせすぎて、イシガメやクサガメが追いやられている現状が心配です。だってイシガメやクサガメって可愛いんだもん。日本の妖怪の造形が可愛いというのと通じるところがあるでしょうか。

追伸

【オトナの一休さん3本連続再放送のお知らせ】

7月2日(土)Eテレ 午後2:00〜2:15(3本連続)

7月10日(日)Eテレ 午前1:45〜2:00(3本連続)※9日(土)深夜

珈琲ボーイの日記帳

世の中のすべてのアルバイト青年に捧げる「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」は、今月もちゃんと「小説すばる7月号」に掲載されています。

ところで、アルバイトをしながら絵や音楽や芝居などをやっている人は、自分をなんと呼ぶのでしょうか。フリーター?……いや、食えてなくたって、「俺は画家だ!」「ぼくは音楽家なのさ!」「私は女優よ!」と胸を張ればいいのですが、それは画家やミュージシャン、俳優などの場合に限る、とぼくは思っていました。IMG_1643

だって、イラストレーターって仕事をする時の職業名だから、仕事を頼まれないと、そもそもイラストレーターじゃないでしょう?

たとえ一枚も絵が売れなくても、画家は画家だけど、イラストレーターは仕事がこないと、ただの無職の絵描きだもん。でも、イラストレーターになるための資格なんてないから、自分で名乗った時点で、その人はイラストレーターでもあるわけですね。また、画家の人が、挿絵を頼まれて描いたら、その時点ではイラストレーターなのだとも言える。……なんだか話がややこしいですね。

「画家でもあり、イラストレーターでもありたい」と言っている人は、ぼくの統計によると、結局どっちにもなれない場合が多いようです。一見、ジャンルに捉われないカッコイイ発言のように思えるけど、かえって、純粋芸術と商業芸術を分けて考えているのではないか……と最近は思います。ぼくはイラストレーションはそのまんま芸術だと考えているので、「イラストレーター=芸術家」で全然差し支えないです。

だからこのホームページは「イラスト芸術」という名前にしたのですが、「芸術、芸術ってうるさいな〜」と言われれば、ひっこめてもいいです。芸術かどうかなんて自分が勝手に決めればいいだけのことだから。でも一人前のイラストレーターになるのは自分だけでは決められないことですもんね。難しいですよ。IMG_1656

で、ぼくの話ですが、イラストレーターと名刺には刷ったものの、まったく仕事がありませんでした。ず〜っとアルバイトをしていました。たまにお店に友達のイラストレーターが来たりすることもありましたよ。それも編集者との打ち合わせでね。友達は僕を「彼、イラストレーターの伊野さんです」って編集者に紹介してくれたりするんですけど、全然イラストの仕事してないし、それに編集者の目の前にいるのは、完全にウェイターじゃないですか。

だからそういう時はこう言いました。「イラストウェイターの伊野です」ってね。

……ダジャレだよ!今月の「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」は日記帳仕立てです。

愉快痛快人生問答

ポプラ社より絶賛発売中の佐藤愛子先生(ただいま92歳)の『役に立たない人生相談』で絵を描いております。IMG_1637見よ、この美しいお姿を!

写真はほとんど何もいじっていないとデザイナーさんから聞きました。ブックデザインは岡本洋平さん+島田美雪さん(岡本デザイン室)。

佐藤愛子さんの似顔絵も描くことになっていたので、過去に某作家先生や某大物司会者から似顔絵をダメだしされたり、却下されたり、挙げ句の果てにはクビにされたりしたことのある私は、結構ビクビクしていました。本人チェックのある似顔絵は本当にやりづらいのです。似ていれば似ているほど、本人にとっては心騒ぐもの……それが似顔絵なのです。ところが、佐藤愛子先生は、先に挙げたお二方とは器が違いました。

逆に「ちょっと綺麗に描きすぎなんじゃやないの(笑)?」とおっしゃられたとか。確かに佐藤愛子さんの今までの本で、似顔絵を使っているのを見ますと、ずいぶんな描きようだなぁ……と思うのもありました。人間の大きさ、そしてもともと美人である余裕でしょうか。yaku1

右下の苦笑いは我ながらまったく似ていない。だって資料がなくて想像で描いているんだもん。yaku2なんのこっちゃわからないと思いますが、ある人生相談を一コマ漫画にしたものです。yaku3左上の頭に三角巾をつけているのは佐藤愛子さんです。92歳の先生に向けて放つ、私のジャブも喜んで受けてくださいました。yaku 4yaku5上の絵は地獄で迷子になった佐藤愛子さんを鬼が探しに来たところです。その下の絵はこれまたなんのこっちゃわからないと思いますが、ある人生相談を絵にしたものです。というわけで、本屋で見かけたら、よろしく!

3則19さて、Eテレで放映された『オトナの一休さん』みなさん見てくれましたか?ネットではすごく話題になってるみたいなんですが、ネットで話題、というのは実社会においてどれくらいの話題なのか……というと、全然話題になっていないも同然。私の友達ですら5人に1人、いや10人に1人くらいしか見ていないのではないか……しかし、再放送があるのもEテレのいいところ。未見の方は下記のサイトでチェックして見てね〜。

Eテレ『オトナの一休さん』のサイト

一休さんと曾我蕭白

昨日は「オトナの一休さん」第1則が放映されました。みなさん、見てくださいましたか?

私はテレビの前で緊張して待ち構えていたのですが、急にあくびが出て、眠くなってきました。緊張すると眠くなるタチなのです。IMG_1632

でも、はじまったらすごく集中して見ました(我が家には録画機器がないので、その分余計に)。大友良英さんの音楽とマレウレウさんの歌がつくと、雰囲気が変わりますねー。良い意味で気持ちの置き所を安定させない、つまり無縄自縛(むじょうじばく)から解き放ってくれる音楽と歌でした。
放送前からネットで話題にしてもらっていて、番組の制作に携わった人たちで集まった時に、「ありがたいねー」と話してました。どれくらいの人が見てくれたかわかりませんが、たとえば、視聴率1パーセントでも120万人の人が見たってことになる(この計算は合っているでしょうか?)わけで、そう考えただけでも頭がクラクラしてきます。私が普段、主な仕事場としている出版の世界とはケタが違うので、なんだかおっそろしいです。
……こうやって、注目されていると思っている自分がすでに恥ずかしいです。結局自慢話になっているところが、さらに恥ずかしいです。自意識過剰気味ですので、今週のブログはあっさりこのへんで筆を置くことにします。ではバイバイ。

と思ったけど、もう一つご報告。IMG_1621

先日「本の場所」で行われたトークショー、ご来場くださった皆様ありがとうございました。曾我蕭白の本物の絵を、ガラスケースも何もない状態で見ることができました。円山応挙も伊藤若冲も与謝蕪村も1点づつ出てました。コレクターの方の心の広さに感謝であります。トークは南伸坊さんが7割くらい喋ってくれました。まだまだ私のトークベタは改善されておりません。「オトナの一休さん」が始まるから気をつかっていただいたのでしょうか、会場のメインには曾我蕭白の描いた一休さんの肖像画(南伸坊さんと私の間にある絵)が飾られておりました。
曾我蕭白は「曾我蛇足十世」を名乗っていました。つまり自分は曾我派の開祖、曾我蛇足の十代目であると。これは蕭白による全くのデタラメなんですけど、実はこの曾我蛇足という人、室町時代に活躍した絵描きで、一休さんの弟子でもあったのです。そして一休さんは曾我蛇足の絵の弟子でもあったようです。お友達みたいな関係でしょうかね。一休さんの肖像画というのはいっぱいあるんですけど、曾我蕭白の描いた一休さん、全然似てないんですよね、笑っちゃうくらい。ハイ、おしまい。

特報!オトナの一休さん

Eテレで新感覚アニメ「オトナの一休さん」はじまります!アニメの絵を描いております。まずは6月に3本放映!

みなさんご存知の名作アニメ「一休さん」は日本だけでなく世界でも人気があり、特にお隣、中国では「最も親しみのある日本アニメ」というくらいに評判がいいらしいです。ところがちょっと待った!史実の一休宗純(1394~1481)は、ほんとは可愛らしいとんち小僧なんかではないのです!とんち小僧のイメージは江戸時代の説話集『一休咄』からつくられたフィクションなのです。

ZEN…それは究極の自由…すべてのしがらみにZENZENとらわれるな!

op2史実の一休さんは、禅宗の僧侶ながら、破戒の限りを尽くし、ぶっとんだパフォーマンスで室町時代の都びとをあっと言わせた人物であります。その、一見悟りとは無縁に見える一休の言葉や行動のすべてには、見てくれや形式にとらわれて安心する「無縄自縛(むじょうじばく)」な人々への身をもってのメッセージが込められているのでした。常軌を逸しためちゃくちゃな行いの中に、実は深〜い禅の教えがあったのです!「オトナの一休さん」は、知らず知らずに縛られている我々現代人の心を解き放ち、一日の終わりに見ることで、笑ってラクになれる5分間アニメなのです!1則−11第1則「クソとお経」放送予定日 6月6日(月)23時50分~55分 再放送6月16日(木)22時45分〜50分2則 −2第2則「雀の葬式」放送予定日 6月8日(水)22時45分〜50分 再放送6月20日(月)23時50分〜55分3則ー 5第3則「思春期の一休さん」6月13日(月)23時50分~55分 再放送6月22日(水)22時45分〜50分op4

「はまり役」という言葉がありますが、この「オトナの一休さん」の絵、120パーセント自分の素の部分で描ける感じがして、ノリノリです。「当たり役」にもなってほしい。そうすれば私もちょっとは有名になれるかもしれませんしね…。
「オトナの一休さん」は一休宗純の自作の漢詩集『狂雲集』や弟子たちがまとめた『一休和尚年譜』などを元にしています。
脚本はふじきみつ彦さんです。
まずはこの脚本がなければはじまりません。コント台本や不条理劇の脚本で活躍するふじきさんの書きおこす一休さんが、本質は外さないまま、アップトゥーデートされていて、すごくおもしろいです。
絵を動かしてくれるアニメーターは
野中晶史さん、幸洋子さん、飯田千里さん
のお三方が、一人一本を担当。それぞれの動きの持ち味の違いも楽しめます。この方たちに動かしてもらわないとアニメになりません。元祖「一休さん」がアニメなんだから、「オトナの一休さん」もアニメでなくてはならんのです!
そして豪華な声優陣!

一休宗純=板尾創路さん

蜷川新右衛門=山崎樹範さん

養叟宗頤=尾美としのりさん

そんでもって音楽は大友良英さん

みんな〜見てね〜!喝ーっ!1則−26

ちなみにこれが、本当の一休さんのお姿であります。一休さんのお弟子さんが写生して描いたらしいですが、私は日本美術史上屈指の肖像画だと思っています。早く国宝に指定すべきでしょう。
とんち小僧アニメ「一休さん」の中国人のファンの方が、この肖像画を見てこう言ったそうであります。「アイヤ〜!あの可愛い一休さんが、歳をとってこんなオジさんになっちゃったんだ〜」てね。IMG_1602

 

今月の露出情報

自分の文才の無さを噛み締めながら書いている「ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像」(「小説すばる」で連載中)も4回目。今回は「時代物(まげもの)発見」というタイトルです。私が20代後半の頃、時代物を描いている若者というのは、ほとんど見当たらなかったのでした。そんなら……

「オレが時代物挿絵の若手の旗手になってやる!」と心に誓ったものの、結果的に全くそうなれなかった。そんな悲しいお話です。時代物1時代物2今回の作文では、私の挿絵画家3大アイドル(小村雪岱、木村荘八、石井鶴三)のことを書いているのですが、読者様は興味あるでしょうか?興味がない人にもおもしろく読ませるのが文章のプロですが、私にそんな腕はまだありません。でも、絵を描く才能はきっと、たぶん、ある……かもしれない、と思って、3人の肖像画を入れておきました。石井鶴三の肖像この石井鶴三の肖像は描き下ろしです。なぜ、石井鶴三先生と私が温泉に入っているのでしょうか。興味のある方は「小説すばる」を立ち読みしてください。

喫茶店1はい、次行きましょう。今売っている「散歩の達人」は創刊20周年記念企画「喫茶100軒」です。前号が「食堂100軒」その前が「酒場100軒」でした。喫茶店2私が選んだ喫茶店はここ。どうしてこの店か?はい、もうみなまで言わない、言わない。

この特集、私のような世間的に無名な人間から、おお!あの人がこんなお店を!というビッグネームまで100人並んでいるのですが、個人的に感慨深いのは、大学の美術部の二年後輩だった沼由美子さんが、今や立派なライターになって、同じく紹介者として一緒に載っていることですね。

はい、次は談志もう放送は終わったけど、BS朝日の「ザ・ドキュメンタリー」で「天才落語家・立川談志」が放送されました。再放送もあるみたいですが、ウチはBSが映らない貧乏人なので詳しいことはわかりません。DVDをもらってやっと見れました。芝浜234談志師匠の名演「芝浜」の場面で絵が使われました。描き下ろしじゃなくてアリもんです。ネットで検索して見つけてくれたようです。ラッキーな不労所得でございます。

人生曼荼羅はつづく

プレジデント社の「WOMAN Online」というwebページでやっている人生相談の絵です。ひとつの人生相談に対して、本田健さんと河崎環さんのお二人が答えております。わたしは第三の回答者のつもりで絵を描いてます。一見、茶化しているような絵に見えるかもしれませんが、心から親身になっているのです。ではさっそく行ってみましょう〜!

【今回のご相談】
夫が実家に仕送りをしたいと言い出しました。義父母は浪費家で、仕送りをしても遊興費に消えるだけだと思われます。そもそも仕送りを考えられるような余裕が我が家にあるのは、共稼ぎで、さらに私がシビアに家計管理を行っているからですが、夫はその点に全く思い至っていません。私の両親は、身の丈に応じた質素な生活をしています。その姿を見る度に、夫に対するいら立ちが増します。どうすればいいでしょうか。4月14日b

【今回のご相談】
息子の保育園の送り迎えを、夫と分担しています。登園時の引き渡しで子供が別れをぐずると、夫は「お父さんが会社に行ってお仕事をしないと、○○くんはご飯を食べたりおもちゃを買ってもらったりすることができなくなるんだよ」とい言い聞かせますが、子供が「仕事とは、見返りのために嫌なことを我慢して行うもの」だと思いそうなのでやめてほしいです。私は「お母さんも○○くんと一緒にいたいけど、○○くんが保育園でお友達と一緒にいろいろなことに挑戦するように、お母さんも会社でお仕事を頑張りたい。一緒にお仕事をする人も待っている」と伝えています。本田さん、河崎さんはどう思われますか。4/21b【今回のご相談】
上司の能力が低く、かつ人格的にも問題があります。私は「人間関係とは、互いが互いに敬意を持つところから始まる」と考えているため、尊敬できない上司に意見伺いをしたり、その言葉に耳を傾けたりすることに強いストレスを感じます。上司が尊敬できない人物である場合、部下としてどのように受け止め、振る舞えばいいのでしょうか。4/28b

【今回のご相談】
40歳を目前に子供を授かりましたが、育て方に悩んでいます。思いやりのある子に育ってほしいなど願いにキリはありませんが、正直なところは「自分の食いぶちを稼げる大人になってほしい」と思ってしまいます。本田さんや河崎さんのように、自分の得意なこと、好きなことを仕事にして稼げる人に育てるためには、どうしたらいいですか。5/5b【今回のご相談】
嫌なことを後回しにしてしまいます。例えば、出社後メールチェックをする際に、順調にいっていない仕事に関するメールを読むのを最後にしてしまったりします。読んでみると、何の問題もなく、単なる取り越し苦労ということもよくあります。頭では嫌なこと、問題があることほど早くに着手した方がいいと分かっているのですが、気持ちと行動が付いていきません。どうしたらいいでしょうか。5/12b
 回答はこちらで読めます⇩

伊藤若冲のご近所さん

ただいま、絶賛発売中の「芸術新潮」の特集「若冲 水墨ニューウェーブ」で性懲りも無く絵を描いております。今回は伊藤若冲の近所には誰が住んでいたか?というご近所マップ、そのご近所さんとの交友録、若冲の年譜、の3パートを担当しました。IMG_1574写真が見にくいですね、これは本屋に行って買うしかありません。そうすれば18世紀後半の京都にはどんだけすごい人がひしめいていたかわかるでしょう。IMG_1576IMG_1577上の絵は年譜のパートに描いたもの。ご近所マップの人とはまた違います。エピソード1エピソード2エピソード3修正エピソード45修正ご近所さんとの交友録、「京都町絵師今昔物語」のマンガ。元になったエピソードをある程度脚色しています。なんとか読めるかもしれませんが、こんな荒い画像で見るより、買ったほうがいいですね「芸術新潮」を。マンガの「サザエさん」を見ると、絵も素晴らしいけど、字も読みやすくて感心します。私の字は読みにくい。研究しなければ。にわとり賑やかしのニワトリ。

ただいま東京都美術館で開催中の「生誕300年記念 若冲展」は東京では過去最大の若冲展だそうですが、待ち時間と混み具合を考えると怖気づいて、まだ行ってません。

らくがきみたいに

今週のブログは芸術新潮の5月号に描いた、伊藤若冲とご近所さん(与謝蕪村、円山応挙、池大雅、曾我蕭白、長沢芦雪……などの絵師をはじめ、そうそうたるメンツが目と鼻の先に住んでいた)の交友録(例によってマンガにしたもの)を紹介しようと思っていたが、昨日発売なのに未だ我が家に到着せず、仕方がないので、別のものにしよう。

しかし、特に見せたいものもなく……困った挙句に、壁に貼ってある「らくがき」でもアップすることにいたします。このブログは内容よりも、毎週更新することが目的だからです。本末転倒?いいんです。毎週火曜に決まって更新することこそが、私にとっては大事なのです。……と言いつつ、来週はゴールデンウィークで誰も見てないだろうから、更新は休もうかなぁ。 みんなこれは寝転びながら、らくがきしていたものであります。約一年ほど前に描いたもの。犬犬の顔ですな。お口口開けシリーズとなぜかタヌキ。お座りらくがきは頭よりもちょっと先に手が動くのがいいんです。これらは10年ほど前に描いた記憶があります。ぶしこれはもっと古い、15年くらい前だったでしょうか。

なんとなく捨てるに忍びないらくがきを、本棚の側面などに磁石でとめてあるのですが、別にどうってことないただのらくがきです。描こうと思えばいくらでも描ける。そして、らくがきに関しては恐るべきことに、ほとんど進歩がない。テキトーに描いてるから、努力とか進歩とかと無関係だし、むしろ無関係でありたい。しかし、仕事の絵となると、なかなからくがきのようには描けない。

ちょっと前に、茂田井武トークをご一緒した広松由希子さんに、「赤とんぼ」という古い雑誌(昭和21年8月号)を見せてもらいました。そこに長沢節の絵が載っていたのですが……まさにらくがきのような気持ち良さがあって良かったです。いわゆる長沢節の絵として知られる達者なデッサンではなく、むしろ達者を警戒している感じです。IMG_1265 IMG_1266 IMG_1272

 

おしゃべり/絵って何?

講談社の「ベストカー」(日本で最も発行部数の多い車の雑誌だという)で連載されている藤田宜永さんのエッセイに絵を添えています。タイトルは『僕のおしゃべりは病気です』。藤田宜永さんは、長髪にサングラス、ロッカー風ないでたち……にもかかわらず、文壇一のおしゃべり男であるらしいのです。

そんな藤田さんが、車の雑誌だけど、車とは無関係におしゃべりについて綴る文章が、これまた調子が良く、読んでいて気持ちがいいのです。スラスラ読めて、読み応えがあり、切実な気持ちも伝わってきます。さすがプロ!と毎回思います。

僕はおしゃべりな人が好きだし、自分もどっちかというとおしゃべりな人間かもしれません。実際、楽しいおしゃべりの時間に勝るものってそうそうないです。おしゃべり5回おしゃべり6回おしゃべり7回おしゃべり3おしゃべり8回おしゃべり9回担当さんからは、「藤田さんの文章に書いてあることを絵にしなくてもいいですよ。好きにやってください。ラフ?いりません、いりません」と、ありがたいことに、最高度の信頼を寄せていただいております。担当さんのメールの文章もこちらの気持ちを乗せるのがお上手で、楽しいのですが、褒めたついでにサラッと注文が入っていたりするのもニクいところです。おしゃべりの楽しさを絵に表そうと、幾分かラフなタッチで描いております。IMG_1550さて、プロ中のプロ藤田宜永さんとはうってかわって、プロの世界に横入りした私の拙い作文です。「小説すばる」で連載中の「ぼくの神保町物語」、第3回は「絵ってなんだろう?」というタイトルにしてみました。ずいぶん大きく出ましたね〜。

セツ・モードセミナーに通っていた頃の話を今回も書いています。長沢節は「デッサンは絵の基本じゃない、絵はデッサンからの解放だ」と言いました。デッサンは絵の基本だと思い込んでいた自分にとって、それは衝撃の言葉でした。では絵とはいったいなんなのでしょうか……気になる方は是非立ち読みでも。IMG_1551IMG_1552IMG_1553いやー、絵の話って書くのむつかしい。これが美術系の雑誌であったり、イラストレーションの専門誌だったら、読者もある程度限定されます。基本的に絵に興味がある人が読んでいるわけですね、そういう雑誌は。ところが文芸誌だと、絵に興味がない人にも読んでもらわなくてはならないのです。

最初に書いたものを担当さんに読んでもらったら、「なんか演説してるみたいだね〜」と言われ、全面的に書き直しました。通りすがりの皆様の足を止め、耳を貸してもらためには、まず主人公(私)に感情移入してもらわなくてはいけないのでした。そりゃそうだね。

人生曼荼羅/蕭白トーク

プレジデント社の「WOMAN Online」というwebページでやっている人生相談の絵です。ひとつの人生相談に対して、本田健さんと河崎環さんのお二人が答えております。わたしは第三の回答者のつもりで絵を描いてます。一見、茶化しているような絵に見えるかもしれませんが、心から親身になっているのです。前回から間があいてしまい、季節ネタがかなり古くなってしまいましたが、ちょっと時間を振り返りながらご覧ください。

では、最初の相談者の方、どうぞ〜!人生曼荼羅12-2あ【今回のご相談】
同僚から「クリスマスイブの日の遅番勤務を代わってほしい」と頼まれました。特に予定は入っておらず、断る理由もないため引き受けてしまいましたが、なんだか私だけ損をしているような気がしてモヤモヤします。理由がなくても、断った方がよかったのでしょうか?人生曼荼羅12-3あ【今回のご相談】
38歳、独身の会社員です。赤ちゃんや家族の写真が入った年賀状が届くお正月は、幸せ自慢をされているような気持ちになり、鬱々(うつうつ)としてしまいます。同時に、友人知人の幸せを心から祝えないことに自己嫌悪を感じます。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅12-4あ【今回のご相談】
私は年齢や肩書などを聞くと、特に自分より目上の人に対しては、つい力が入ったコミュニケーションになってしまいます。力を抜いて、誰とでもコミュニケーションを取れるようになるにはどうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅1−1あ【今回のご相談】
台所の洗剤の泡立ちが悪いと思っていたら、義母に水で薄められていました。義母は洗剤が毒だと思っており、使うのは最小限にすべきと信じています。実際、義母が洗った食器は汚れが落ちていないことも多いため陰で洗い直したりしているのですが、当て付けのようになってしまうので、おおっぴらにもできません。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅1−2あ【今回のご相談】
会社に、あいさつをしても無視する女性の先輩がいます。「何か悪いことをしたかな?」と考えてみたのですが、思い当たる節がありません。あいさつをしてくれない先輩に対して、これから先もずっとあいさつをし続けるしかないのでしょうか。またあいさつをし続けた方がよいのでしょうか。人生曼荼羅1−3あ【今回のご相談】
夫が人を見下すような態度や物言いをします。私の両親に対してもそうです。大人なので今更変わらないと諦めていますし、そんな相手と結婚した自分にも責任があると覚悟を決めています。ただ、小学1年生の息子が夫のような大人になってしまうのではないか、と心配です。子供に対して「お父さんみたいな人になってはダメよ」という言い方をするのも、教育上よくない気がします。何かいい方法はないでしょうか。人生曼荼羅1−4あ【今回のご相談】
バレンタインデーになると、夫が会社でチョコレートをたくさんもらってきます。お返しを買うのは私で、費用の出所は家計です。夫のメンツにも関わるため、女性が「おっ!」と思うようなお返しを毎年用意していますが、「なぜ私が義理チョコ騒ぎに付き合わねばならないのだろう」とむなしくなります。人生曼荼羅2−1あ【今回のご相談】
上司の言い間違いが多く、困っています。「シミュレーション」を「シュミレーション」、「コピペ(コピー&ペースト)」を「コペピ」といった具合です。何度も耳にするので、たまたま間違えたのではなく覚え間違いをしていると思います。いちいち指摘するのも差し出がましいので控えていますが、一緒に客先に出向くことも多く、上司が口を開く度にひやひやします。指摘した方がいいのでしょうか? また上手な伝え方がありましたら教えてください。人生曼荼羅2−2あ【今回のご相談】
お金を貯めるのが苦手です。20代の頃から貯めよう貯めようと思いながら、ズルズルと30代半ばまで来てしまいました。お金を借りたりすることはありませんが、お給料をもらったらもらっただけ使ってしまいます。使い道は洋服、友人との飲食、ジムや習い事の月謝などです。転職する前は、年収が今より3割ほど少なかったので、その少ない方の収入額でも十分にやっていけるはずなのですが……。どうしたらいいでしょうか?人生曼荼羅2-3あ【今回のご相談】
会社の後輩が優秀過ぎて困っています。私が彼女を指導しなければならない立場なのですが、一を聞いて十を知るタイプのため、指導する隙がありません。時には不十分なところもあるのですが、その点について私はさらに不十分なため、恥ずかしくて指導できません。毎日会社に行くのが憂鬱(ゆううつ)です。どうしたらいいでしょうか。人生曼荼羅2-4あ【今回のご相談】
人のアイデアを盗む同僚に腹が立ちます。私は人のアイデアを自分の仕事に使う場合は、「○○さんにアイデアをいただきました」など、言葉を添えるようにしています。しかしそうしていると周囲から「仕事ができない人」と見られてしまうのではないかと不安です。アイデアを盗むのと、出典元を明らかにするのとでは、どちらがよいと思いますか?3月17日あ【今回のご相談】
スマホが手放せません。会社で仕事をしている時間以外はスマホ漬けです。LINEやSNSで友人知人との交流を楽しむわけではなく、ニュースサイトや掲示板をひたすら見ています。一人暮らしですが、食事はコンビニで買って済ませており、家事は洗濯など必要最低限のことだけしかしていません。このままではあらゆる意味でダメになってしまいそうと恐怖を感じますが、やめられません。どうしたらいいでしょうか。3月24日あ【今回のご相談】
お金が怖くて使えません。先行きが見えない昨今、老後が不安なため、稼いだお金はほぼ貯金しています。もともと地味で、交友関係も広くないため、日々の質素な生活自体は苦になりませんが、何のために仕事をして稼いでいるのだろう、生きているのだろうという思いで胸苦しくなります。4月7日あ【今回のご相談】

人に頼ることが苦手です。何か課題を与えられたり、壁にぶつかったりするとすぐに「自分で解決しなくては」と考えてしまい、人に頼るということに思い至りません。人の力を上手に借りて、高いレベルで仕事の目標を達成している同僚を見ると、「ずるい」という気持ちとともに、自分もそうなりたいと感じます。どうしたらうまく人に頼れるようになれますか。

はい、お疲れ様です!最後まで読んだ人はエライ!自分でも記事を画像をアップしながら、長いよ〜!と思ってしまいました。

最後まで読んでくれた人には、とっておきの情報をお知らせしましょう。fa20120531a2a

来る2016年6月4日土曜日18時から

南青山の「本の場所」で「曾我蕭白肉筆画展」において南伸坊さんとトークします。曾我蕭白の本物の絵の前で蕭白についてしゃべる会。円山応挙の絵も出るそうです。参加料1000円ポッキリ。上の絵はボストン美術館にあるやつだから見れないですよ。

「本の場所」は川崎徹さんがお仲間とやっておられるスペースで、そのお仲間は川鍋暁斎や曾我蕭白のコレクターの方だそうです。というわけで、そのコレクションを眺めつつ、お話をする会です。

要予約↓

本の場所、蕭白トーク受付はこちらまで。

世界満腹食べ歩き5~8

去年の秋にMacを7年ぶりくらいに買ったのですが、以前から使っているMacが完全にぶっ壊れてからでは遅いので、余裕を持ったのです。しかし、古い方のはまだ使えるので、案の定、秋が過ぎ、冬が終わり、春が来て…このまま夏も終わって、そのうち新品のMacが箱の中で古くなってしまいそうに感じたので、先日思い立って、ついに箱から出してみました。

それでならべて使ってみたところ、モニターに映る色がかなり違った。新しいのはやけに濃く、たぶんこっちの方が正しい色なのでしょう。

色校のチェック時に自分のMacで着彩した絵の色と、印刷物になった絵の色に、けっこう差があると思っていたのですが、モニターで見ている色がおかしかったとは。印刷されるとどうも色が濃く、ややもするとどぎつく感じられる時もありました。ところが新しいMacのモニターで見直した絵と、最近印刷物になった絵を見比べると、ほとんど忠実に再現されていることがわかりました。印刷屋さん頑張ってくれてたんだ〜。

時々「モニターのキャリブレーション」ってのをやらなきゃいけないらしいのですが、よくわかりません……。

さて今日のブログは岡崎大五さんの「世界満腹食べ歩き」です。小説現代ではただいま13回まで進んでいますが、私のブログでは4回までしか紹介していませんでした。というわけで今日は5回から8回までの絵を載せましょう。アフリカ1アフリカ25回目は岡崎さんが海外専門の添乗員をやっていた頃にアフリカ・サハラツアーに行った話。とにかく苛酷です。バイキングの1バイキングの26話目はタラをめぐる冒険。タラという魚を追いかけて世界が出来上がった!?サーフ1サーフ27話目は岡崎さんが若い頃、ちょと鬱病っぽくなってインドネシアの島でサーフィンばっかりやって暮らしてた頃の話。スクーターに豚をくくりつけています。シルク1シルク28回目は近年、岡崎さんが奥さまとシルクロードを旅した時の話。こちらは前編。地図を描くとき、この国はここにあるんだぁ、と思う地理に弱い私。

岡崎さんの人生ってのはネタの宝庫だ。パソコンのモニターがどうしたこうしたなんて言ってる自分が小さい。しかし、言葉の通じない知らないところに行くとオドオドビクビクしてしまう私には、狭い世界で生きるのがお似合いだろうな。

行ったこともない国の写真を見て(岡崎さんから毎回資料が届く)、画像検索して、シコシコ絵作りをしていると、私までちょっと脳内トリップをした気分になります。

ハァ〜……今度生まれ変わってきたら旅行好きな人間になりたい。

パノラマ世界史1000年

大月書店から発売中「輪切りで見える!パノラマ世界史 第2巻」(監修:羽田正先生、文:内田力先生)にたくさん絵を描いております。このシリーズは全部で5巻あります。最近全5巻無事に完結したそうです。わたしが担当した第2巻は「さまざまな世界像」と題され、750年〜1350年の世界史をあつかっています。たーっくさん絵を描いたので、時々載せます。で、今回は1000年ごろの話。まずは「社会のしくみ」を約束と信仰をテーマで。1000年しくみ1騎士の忠誠1000年しくみ1-2知識と真理を求めて1000年しくみ2その宗教にします1000年しくみ④君主を囲んで1000年しくみ⑤試験管は皇帝陛下1000年しくみ3物語のなかへ

はい、続きまして1000年ごろの人々のくらしはどうなっていたかというと、この時期は地球の温暖化に当たっていました。「中世温暖期」とよばれるらしいですね。1000年くらし①差し替え領主様の畑を耕す1000年くらし1海のむこうへ1000年くらし2馬は相棒1000年くらし④差し替え石像づくりはじめました1000年くらし3断崖に住もう1000年くらし3-2税をあつめに行って来ます

絵と文章のタイトルだけ載せました。絵には、内田力先生のテキストがついています。絵だけ見ても、なんのこっちゃわからないと思いますが。本は下記のサイトでも買えます。

大月書店のサイトはこちら!

 

 

モランディ/長沢節

モランディを知ったのは20代の半ば頃、セツに通っていた頃だったかな?くわしい時期は忘れてしまったけれど、はじめて見た時はそりゃ驚いた。絵の冒険というのはチョモランマやアマゾンの秘境を訪ねなくても、ごく身近な庭のようなところで出来るんだなと思った。

練習曲がそのまま作品たりえるというか、細かい実験の差が、作品ごとの個性になっている。バッハの平均率クラヴィーア曲集を聴いてるようで気持ちいい。

バリエーションをつけまくった画家の絵よりも、逆にモランディの方が楽しめるかもしれない。同じような絵に見えるけど、みんな違う。間のとり方が無限にあるのを、目の前でやって見せてくれる。

先日、東京ステーションギャラリーにモランディ展を観にいったのだけど、意外に画集で見ていたときのほうが刺激的に感じた。ページをめくると次の作品がパッと現われる。その方がモランディの実験がくっきり見えた。

展覧会の広い部屋にずらっ〜と絵が並んでると、一つ一つの作品の差より、同じような絵が続くという空間の印象を先に受けてしまった。モランディの絵を並べるのはむつかしいのかもしれない。

いや、そのとき私は少し急いでいた。そもそもそんな見方はいけない。急いでいる奴には気づかない時間を押し広げて、そこで仕事をしているのがモランディなわけだから。モランディ静物画っぽくモランディの肖像を描いてみた。この絵は「画家の肖像」という作品集に入っている。「画家の肖像」はハモニカブックスより発売中です。クリック↓

「画家の肖像」はいつのまにかamazonで買えるようになっているではないか!

……なんだよ、モランディのことを語り出したと思ったら、おいおい、宣伝か〜い!

オマケにもうひとつ宣伝じゃーい。小説すばるで連載中の「ぼくの神保町物語」第2回は「長沢節信者」と題して、セツに通いはじめた頃の話を書いてます。IMG_1498IMG_1511思い起こせば昨日のことのよう……であるが、なんと22年も前の話であった。そして先生が亡くなってからもうすぐ17年。あの頃から気分は全然変わってないので、昔話をしている感じがまったくしない。最近は作文を書くにあたって、あの頃のことをよく考えているので、なおさら昨日のことのようだ。IMG_1512絵の隅に”This picture on Mr.HozumiKazuo’s work”と書き入れましたが、この挿絵はセツの第一期生、穂積和夫先生がかつてお描きになられた「セツ・モードセミナー案内図」を下敷きに、っていうかオマージュ、っていうかパクリ……はい、そんな絵です。IMG_1513細かいところは色々私なりに……描いてます。今年はこの作文のことで頭がいっぱいです。

ご近所さん/目黒の鰻

最近やった装画のお仕事をば。ひとつめはKADOKAWAから発売中の群ようこさんの新刊「うちのご近所さん」です。IMG_1493うちのご近所さん1なんでも、群さんのすぐご近所に担当編集者が住んでいて、その近所にデザイン事務所があって、そのまた近所に私が住んでいるらしいのです。というわけでタイトルにちなんでご近所さんで本を作ったというわけです。デザインはbookwallさん。IMG_1494うちのご近所さん2続きましては双葉文庫の新刊、早見俊さんの「千代ノ介御免蒙る 目黒の鰻」将軍様が手にしているのは番付です。江戸時代は相撲だけでなく、いろんな番付が作られていました。番付のまん中には「御免蒙る」って書いてあるんですよね。番付がどう物語に絡んでくるのでしょう。IMG_1495文庫のカバーデザインは長田年伸さん。下はPOP広告のカードです。デザインはビーグラフィックスさん。ポップ目黒の鰻確認用いつもとちょっと違う感じに描いてみたのです。線のスピードを弱めて。書店で見かけたら、よろしくおねがいします。

カラヴァッジョ人生双六

先週のブログの記事は、「美術手帖」の3月号で宮川香山の人生双六を描きました、という内容でした。で、今週は「芸術新潮」の3月号でカラヴァッジョの人生双六を描いてます、という内容です。

「美術手帖」と「芸術新潮」というすごく狭い範囲の中で、大活躍。しかも同じ3月号で、人生双六をどちらにも描くという……。これは私の人生双六では、「調子にのって3マス進む」という状態ですが、禍福はあざなえる縄の如し、露出が頻繁になると、飽きられることを心配しなくてはなりません。

イラストレーターなんつうのは服のような存在で、かつては毎日のように着ていたお気に入りの服も、ふと気づくと、流行遅れのような気がして、新しい服と取り替えられる……そういう立場であることを肝に銘じて、なんとか飽きられないようにしなければ生きていけないのです。

16世紀のイタリアで悪名を売ったこの男には、私のようなチンケな心配はあったのでしょうか。38歳で死んじゃったから、心配が人生に追いついてなかったかもしれません。なんてったって、美術史上もっとも素行の悪い画家でっせ。ka1ネームは編集部が考えてくれますが、この出だし、なかなかぴったり。勝小吉というのは勝海舟のオヤジで、自伝『夢酔独言』に書かれる勝小吉の人生もまたメチャクチャで痛快です。『夢酔独言』私は二回読みました。ka2ka3ka4ka5ka7ka6ま、カラヴァッジョ人生双六の全貌は「芸術新潮」で見ておくんなさい。国立西洋美術館では15年振りのカラヴァッジョの大展覧会も開催されているようです。ka8ka9同特集ではこういう、にぎやかしのカットも描いてます。

それと「芸術新潮」ではアートの語りべ、アートテラーのとに〜氏(元吉本芸人の好青年)といっしょにやっているマンガ展評「ちくちく美術部」も連載中。今月号で連載も11回目。名前のとおり、ちくちくするのが仕事なのです。内容とは関係ないけど、とに〜部長といのっち部員のボーイズラブなコマを入れてみました。描いていて気色悪かったです。chi

明治の超絶技巧!!

発売中の美術手帖3月号は「超絶技巧!!宮川香山と明治工芸篇」

〈2000年代以降、再評価とともに注目が高まる「明治工芸」。 それは、幕末から明治へという大きな時代の変化のなか、 職人たちが試行錯誤を重ねて生みだしたものだった。 金工、漆工、七宝、陶磁器などさまざまな分野で 空前絶後の写実性や細密さを誇る表現が花開き、海外で人気を獲得。 近代化を目指す日本の殖産興業を担った。 今年没後100年をむかえる陶芸家・宮川香山をはじめ、 明治の職人による超絶技巧は、今なお見る者を惹きつける。 時代背景や人物像を明らかにしながら、 明治工芸に宿る芸術の力に迫りたい。〉

……と美術手帖のサイトに書いてあります。興味のある方は是非、手にとって超絶技巧の作品に驚愕していただきたい。IMG_1426IMG_1427私は宮川香山の人生双六を描いています。宮川香山は今、サントリー美術館で没後100年を記念した展覧会をやっています。猫かわいいよ。

サントリー美術館/宮川香山

さらに、明治の超絶技巧の作家16人を必殺仕事人風に紹介するページも担当しています。このアイデア、なかなかオモシロイ。雑誌ならではの楽しい切り口で、超絶技巧工芸への入口にもなっている。12715922_927813747305925_6555247136151269660_oIMG_1429こうやって、仕事人とその作品が一見開きに載っています。

ざっと、私の描いた仕事人だけ紹介しましょう。その1左、濤川惣助 右、並河靖之

その2左、海野勝珉 右、正阿弥勝義その3左、川之邊一朝 右、鈴木長吉その4左、赤塚自得 右、白山松哉

その5左、安藤緑山 右、柴田是真その6左、石川光明 右、旭玉山その7左、錦光山宗兵衛 右、高村光雲 その8左、安本亀八と松本喜三郎 右、飯田新七

彼らがどういう必殺技を持っているか、それを知るには美術手帖を買うしかない!

ところで……私の手持ちの1978年筑摩書房刊行「明治大正図誌 第4巻 横浜・神戸」には宮川香山、旭玉山の作品が見開きで紹介されています。そしてそのページのタイトルは「スーヴェニール・アート」となっている。つまり「おみやげ」ですね。解説文では「……(前略)香山たち細密な技巧にたよる輸出品工芸作家の作品は奇をてらったもので、技術偏重という明治工芸界の傾向を代表している」という具合いに片付けられています。

四半世紀ほど前までは、明治工芸はこのような扱いしかうけていなかったわけですが、今は違います。こうやって美術雑誌で特集され、美術館で展覧会が開かれるまでになりました。美術史家の仕事は、美術史を書き換えることであります。歴史は書き換えられることを前提としてあるのです。

美術史家、学芸員の先生には、ぜひ次に、明治大正昭和の挿絵やイラストレーションをとりあげて、日本美術史の中に場所を作ってほしい。今はやっと、小村雪岱が人気出てきたところ。私の大好きな石井鶴三や茂田井武もまだまだ評価が足らない。なんつったって、日本国民のたくさんの人が普通に楽しんでいた絵じゃないですか。そこらあたりが、きっちり評価されると、ワテら、しがないイラストレーターにもおまけでラッキーなことがおこりそうな気がします、他力本願、他力本願。

 

荒川土手/下流老人

散歩の達人の3月号は「千住特集」。私は荒川の土手に行って人編観察をしてくるように頼まれました。

荒川土手といえば、そう、あの『3年B組金八先生』のオープニングでおなじみの土手です。たぶん日本で一番有名な土手といってもいいでしょう。2番目に有名な土手の名前がすぐに思い浮かんでこないので、だんとつ一番ですね。

そして金八先生のオープニングでは美しい人間のふれあいが次々にあらわれます。「まぁ、そこはドラマだから……」なんて言わないで、一度は自分の眼で見に行こうではありませんか。

ぼくは東京に暮らして四半世紀が過ぎていますが、荒川土手には、はじめて行きました。いんとろIMG_1416この画像でははっきり文字は読めないでしょう。これは本屋に行って買うかしかない!

ちなみに、取材のときに、土手のすぐ近くに「東京未来大学」という名前の大学があったのですが、そこは金八の舞台「桜中学」だったところなのでした。ま、私が知らなかっただけで、けっこう有名な話かも。下流老人1つづきまして雑誌、Wedge2月号の特集「下流老人のウソ」に描いたポンチ絵です。タンス預金にしがみつく人、下流老人特集を読んで不安になる人。「下流老人に老後破綻。老後リスク本はシニアの心に刺さり、不安が経済を冷やしている。ブームは政策を動かし、3万円の給付金も決まったが、実はこの老後の貧困、統計分析としては不正解だ」とリードにあったので、まるうつし。下流老人2シニアになっても働いたほうがいいらしいっすよ。自分のためにも、みんなのためにも。……どんなことが書いてあったか忘れましたが、この絵はそういう意図で描いた覚えがあります。下流老人3今の日本はこういう状態ですからね。貧困化が進んでいるのは高齢者よりも、むしろ現役世代。台車から降りて、「よっしゃ、ワシも手伝うぞ」と鉢巻きしめて後ろから押しているおじさんいますよね。このおじさん、カッコいいです。

読み物の連載はじまる

今日は2月16日、そして当たり前のことですが明日は17日。明日発売の「小説すばる」3月号で連載がはじまります。それも読み物の連載です。さっきポストをのぞいたら明日発売の「小説すばる」がすでに届いていて、どっきり。連載開始のおしらせは来週する予定でしたが、ゲンブツを見てしまって落ち着かなくなりました。来週までこの気持ちを引きずるのが嫌なので、今週の更新でお知らせしてしまおう。掲載誌が届いてこんな気持ちになるのは、はじめてイラストレーションの仕事をした時以来かも……。さいしょ掲載誌を手にとって、眺めてみましたが、表紙にも背表紙にも名前がなく、期待の低さがうかがえて、とりあえずひと安心。はじめてこの文章を読む一読者の立場になって、読もうと思いましたが、すでに何回も読んでいるので無理でした。おもしろいかどうか全然わからない……。

『ぼくの神保町物語 イラストレーターの自画像』と題されたこの読み物は、去年の秋に、人形町のビジョンズというギャラリーでやった展示が元になっています。わたしが19年間働いていた神保町の街のことを絵にした展覧会だったのですが、展示にあわせて原稿用紙で20枚ほどの文章も書き、冊子にして会場で売っていました。

展示を見にきてくれた集英社の編集者の方が、この連載の形につなげてくれました。第一回は「憂鬱なコーヒーボーイ」というタイトルで、神保町で働きはじめた頃のこと、つまりそれは、わたしがイラストレーターになる決心をした頃の話であります。まだ、物語自体が動いていないので、おもしろくないかもしれないです(いいわけ)。

神保町のことを書いた本は、これまでにもありました。ただ、それらのほとんどは古書店のことを中心に書かれているので、喫茶店のボーイの目から見た神保町の話は、今までにないはずです。そしてそのボーイはイラストレーターになりたい男で、なるまでにすごく長い時間がかかりました。同じところで延々と働いているのは情けない気分にもなりますが、おかげで街の定点観測ができていました。その間に街は変わりました。なにより自分も変わりました。街の話だけではなく、通っていた絵の学校セツの話や、絵の話、イラストレーションの話も入って、どちらかというと、そっちが主であるかもしれません。

これをうまく書き通せば、そこそこの読み物になることは自分でもわかっているのですが、いかんせん長い文章なんて書いたことがないので、一番の悩みの種。文章も書いて絵も描く、というスタイルは憧れでもありましたが、文章の方に慣れるまで時間がかかりそう。毎回8000字くらい書かなくてはいけないのです。書きあぐねたら、半分まで文章で書いて、残りは漫画にするのもアリ……それくらいの楽な気持ちで臨んだほうがいいですね。与えられたページ数だったら、文章と挿絵を自由にしていいと言われています。つづくそんなわけで、1年間くらい続く予定。本屋で見かけたら立ち読みでもしてください。