新潮社のPR誌「波」で連載していた新野剛志さんの「中野トリップスター」が本になりました。連載時に挿絵を描いてたので、カバー装画も担当することになりました。ありがたや、ありがたや。
表紙の二人は主人公のヤクザ、山根(角刈り)とその弟分の誠(アフロ)、髪型が対照的です。カバーを全面ひらくと、中野の街(南口)に登場人物達があらわれます。(クリックするとおおきくなるので、お願いします!クリックしてくだせぇ!)道の向こう側のちいさく描いてあるのも皆登場人物です。この物語は、中野にある旅行代理店(その店の名前がトリップスターなのです)でシノギをするハメになったヤクザのお話なのです。
帯に描いた女の子は「まさこ」という登場人物の一人で、とても性格が悪くて、そこがかわいいです。ピースサインをしているのではなくて、目つぶしの手の格好です。
今回はめずらしくロケハンに行きました。中野駅周辺を歩いて写真をパチリ。それを元に描きましたが、あくまで絵は絵ですから…。
以前に連載していた「波」の挿絵はコチラです。中野トリップスター挿絵
この「波」での連載時と、今回の本の装丁は新潮社装丁室の二宮大輔さんです。おもしろデザインありがとうございました。
銭亀と呼ばれる亀の子供の可愛さったらない。7年前につい買ってしまった亀も、今では文庫本くらいの大きさに成長した。小学生のときにイシガメ一匹とクサガメ2匹を飼っていた。「生き物の飼い方」という当時の僕が最も愛読していた、身の回りの小動物の飼い方がまとめられた図鑑があり、そこには亀は雑食で、「どじょう、エビ、小松菜、バナナ、人参、リンゴ」などを食べると書いてあった。動物系のエサが好きなのは知っていたが、バナナとかも食べるのか?と思い、そこに書かれている食べ物やそこに書かれていない食べ物を色々与えてみた。
結果はバナナは3日経っても一口も食べず、人参やキュウリは真ん中や端っこを少しかじった跡を発見出来るのみ、そのかわりオタマジャクシは際限なく食べるし、バッタを与えると、水面を泳ぐバッタを水中から引きずりこんで食べる様子がワイルドであった。それらの結果をまとめた「かめの研究」という夏休みの自由研究は教育科学展で賞をもらって「カメ博士」気取りであった。しかし、その年に冬眠させようとして、失敗し、3匹とも死なせてしまった。春になって土の中から2匹の死骸が発見され、もう一匹は土にかえっていた。おかしい…。「生き物の飼い方」どおりにしたはずなのに。他の動物や昆虫にしても、その本の通りに飼ってもすぐ死ぬので「生き物の殺し方」と呼んだりした。たぶん子供ならではのずさんな管理のほうに問題があったと思うが。とにかく、捕まえて来ては結局死なす、ことの連続であったが、特に心を痛める事もなく、またハンティングにでかける毎日だった。
「かめの研究/い野たか行著」なぜ、名前が平仮名漢字が混ざっているかと言うと、「伊」と「孝」が小学三年では習わない字だったからである。もちろん自分では書けるけど。
今でもやはり冬眠は気を使う。ヒーターを入れると冬眠させなくてもいいのだが、エサやりと糞尿でよごれた水を毎日変えるのが面倒なので、冬眠させている。半年くらいは何も食べないで生きているのだから、本当に不思議。外国のおばさんで冷蔵庫を使って亀を冬眠させている人がいて、頭がいいと思った。真似出来ないけど。亀おばさんの冷蔵庫
ほとんど人間の役に立たない亀であるが、部屋の中に放すと、隅の方ばかり歩くので、普段は掃除機が届かない場所にも行く。そして体中にホコリを付けて来るので、今流行の無人自動掃除機と同じ効果がある。でも、ウンチもしちゃう時があるので気をつけなくっちゃ。
今月の「芸術新潮」の藤田一人さんのコラム「わたし一人の美術時評」は、少し耳が痛い。タイトルは「花盛りチャリティー展の憂鬱」。だいたいこれでピンと来る人も多いはず。僕も何回か震災関係のチャリティー展に出品したことがある。この震災に対して何が出来るかと問い、けれども無力を思い知り、それなら少しでもお金を被災地にまわそう、というささやかな小市民的良心。売れなきゃ意味がないし、売れなきゃ恥ずかしいから値段はお手頃。普段の個展の売値の10分の1くらいだったりして…。そんな目先の議損金集めより、藤田さんの書かれるように「この大災害を刻印する制作の模索こそが、有意義であるに違いない。」のである。
水木しげるさんがニューヨークタイムスに描いた絵(3月20日掲載)を見て、腰を抜かして以来、震災に関する絵は自分には描けないと思っていた。水木しげるNYタイムズ描き下ろし作品(都築響一さんのブログより)
今回のコラムの挿絵も震災がらみと言えなくもないけども…。
僕のような若僧はまだまだ修行がたりません…ということで。今回の他のアイデアはこんなのありました。

僕にとって「クレイジーキャッツ」は「ビートルズ」よりも重要なバンドであることに間違いはない。植木等さんの歌を口ずさむと、自分までもが運や天を見方にできる気になるし、たとえ失敗しても、♬そんなこたぁ、どーでもいいじゃねぇか♪と開きなおれる。特に植木等さんの笑顔がいいんですよね。
この絵は今日(8/30)からはじまるTIS(東京イラストレーターズ・ソサエティ)の恒例のG8展に出した絵です。今年は「スマイル」がテーマです。本秀康さんのポスターがかわいいです。
「スマイル」展はコチラです