「野生時代」に連載中の宇江佐真里さんの時代小説「通りゃんせ」は、三ヶ月に一度の掲載である。四回目を迎えたということは、一年が過ぎたということでもある。もう一年か…。
いままでサインペンで描いていて、その味の出にくさに苦労していた。サインペン自体は好きな画材なのだが、ポップな軽いものを描くときにはいいと思う。でも時代小説にはちと向かなかったかも。そもそもこの小説は、現代の若者が江戸時代にタイムスリップする話なので、サインペンをつかったのは狙いであったのだが。そんなことで、今回から鉛筆にかえてみた。コントラストをあげて線をサインペンと同じように濃くした。三ヶ月に一度だし、誰も気づいてないと思うのがだ、告白しておく。
仕事で描いた見開きを3つ。画像はクリックするとでっかくなります。1つ目はイーストプレスの「裁判傍聴マガジン」の見開き。
絵がデザインの都合で切れてしまったので、原画も載せてみます。
手前の左端は勝新、中央は貴乃花元審判部副部長、傍聴人の中には奥崎謙三、朝青龍、三浦和義、遠山の金さん、閻魔大王など裁判、裁きに関連した人物を入れてみたが、似顔絵的にはあんまり似てない。弁護士は天海祐希ですか?と担当編集者のYさんに言われたが、そのつもりじゃなかったが、そうです!と答えてしまった。裁判傍聴を劇場に見立てて描いた。ちなみに裁かれてるのはただのコソ泥である。
2つ目はJTの「FILT」というフリーペーパーに描いたもの。夏でビーチで開放的とくれば、どうしても湯村輝彦さんの数々の傑作が頭をよぎる。自分は自分、違うことをやらなけりゃと、こんな風にしたのだが、自信のなさが思い切りを悪くしたかな?
3つ目はポプラ社の「プシコ」で描いたもの。もう結構前の仕事ですが。「プシコ」ももうないし。30代40代の女性をターゲットにしてたと思うが、「心理学マガジン」とうたってたので、こんな女性誌らしからぬ絵でもOKをもらってた。現代の勘違いした自称サムライ達を、本物の武士達が天国から見て怒ってる図。他の号ではいつもはかわいい女性とか描いてたんですよ。自分なりにですけど…。↓こんな感じでね。
三島由紀夫を題材にした絵をよく描いているが、べつにおちょくっているわけではない。完璧に振る舞ってるようにみえて、ワキが甘い。三島由紀夫を尊敬すると同時に、ちょっと馬鹿に思うことってありませんか?やはりそこが魅力だと思う。深沢七郎は「馬鹿に思われるのも計算のうち」なのだが、三島由紀夫は計算外だろう。どっちにしろ人から馬鹿に思われるのは大事なことだ。

三島由紀夫と川端康成は面従腹背の師弟関係だった。金閣寺をバックにそんな二人を描いてみた。絵を描く時は、何も見ないで描くことも多いけれど、この場合、顔や建物は資料を参考にした。金閣寺の写真を探してたら、本棚からこんな雑誌がでてきたので構図もパクらせてもらった。(最近相撲ネタが続いてるな…。)

朝青龍が優勝したので、朝青龍を描いた絵でも載せておこう。

絵に描くぐらいなので、もちろん好きなのだが、優勝してうれしいというのはない。白鵬が勝っても別に良かった。贔屓の力士を応援するというレベルではなくて、全体的に相撲のファンなのである。朝青龍は、ハラハラするのも楽しみのひとつなので、品格をつけて欲しいだとかは思わない。今場所は、散々問題を起こしておいて、また力でねじふせたところが愉快だった。これからも問題を起こすことは、まちがいない。そんな彼のどこが好きかと言えば、朝青龍の短所がすなわち長所になっているところが好きなんだと思う。

「週刊金曜日」に連載されていたお医者さんのコラムに付けたカットです。「笑う門には」と題されたこのコラムは、笑うことでNK細胞(ナチュラルキラー細胞、天然の殺し屋細胞)が増えて、ガン細胞を退治してくれるという話を中心に展開されていた。普段より自然治癒力を信奉しているので、耳に聞こえが良かったが、実際自分がガンだったら心底笑えるかは、自信がない。ただ、最悪の状況を笑い飛ばすことは、安心立命の境地に近づく道であるとは思う。

左上、鏡の顔がピカソの「泣く女」になっていて泣いてるおばさん。右上、酒杯に映り込んだ顔が福笑いになってる。左下、必ず治りますように、祈願のダルマ。右下、すべては心の決めたままに…。
※クリックするとピンぼけが直ります。目が悪い人が眼鏡をかけるとくっきり見える、という気分を味わいたい方は画像をクリックしてみましょう。
金太郎がお昼寝中のクマのところにやってきました。

金太郎「ねえ、オイラと相撲をとろうよ!」
クマ「ん、相撲?よ〜し、いっちょやったるか。」




南伸坊さんの「のんき図画」の出版を記念して、青林工藝社「アックス」で「のんき特集」という特集があった。南伸坊さんの推薦もあって、僕も「のんきなイラスト」ということで参加させていただくことになった。この「金太郎全敗物語」は前にも発表したことがあるのだが(HBギャラリーの本で)、またまた登場ということになりました。「アックス」の前身はもちろん「ガロ」である。「ガロ」に漫画を描いてみたいというのは昔の夢であったが、「ガロ」はなくなり「アックス」に変わってしまった。その間に、僕も漫画家志望からイラストレーター志望に変わっていた。ずいぶん時間はたったが、こうやって寄稿することになって不思議な感じである。南伸坊さんは「ガロ」の編集長でもあったから、「ガロ」に載った気分にもなれました。※これは去年の話なので、今売りの「アックス」ではありません。あしからず。